第4話


夏帆が立ち止まったことに気づいた私は振り向いて大きな声で夏帆を呼んだ。でも夏帆は私の声に対して無反応だった。

また夏帆のことを呼ぼうとした瞬間に強い風が吹いた。あまりにも強い風だったため、なにが起きたかわからなく周りを見渡したら海の方から大きな波が迫っていることに気づいた。

咄嗟に逃げなきゃと思い、私が慌て夏帆の方を見ているとただ突っ立ているだけだった。早く夏帆を連れて逃げなきゃと思い夏帆のほうに走った。でもなぜか思うように走れなかった。まるで体に重りがついているかのように体が重く全く前え進めない。もうすぐそこまで波せまっていることを確認した後に、また夏帆の方見た。夏帆と目が合った瞬間、私は大きな声で「夏帆!」と彼女の名前を叫んだ。すると夏帆は私に笑顔で手を振った。そのとき横から大きな波が私たちを覆い被さろうとした。「間に合わない!」と思い目を瞑ったと同時に私は目が覚めた。

私はゆっくりと体を起こした。夢のせいだろうか少し息が上がっており、汗もかいていた。そして直感だが嫌な予感がした。その日の学校の授業はなかなか集中できなかった。なぜなら早く夏帆のところに行きたかったからだ。

その日、帰りのホームルームが終わったとの同時に私は夏帆がいる病院に急いで向かった。

病院につき夏帆のいる病室に行くと、夏帆の両親が泣いていた。

“嫌な予感”が当たったということだけがその状況を見てわかった。

夏帆がいるベッドに近づこうと数歩歩いたら夏帆の両親が私に気がついた。

「さくらちゃん…」と、夏帆のお母さんがどこか気まずそうに私の名前を呼び、私に目線を合わせるように膝を曲げてくれた。

そして、次に私の目を見て発した言葉は「ごめんね」だった。

どうして謝られたのかわかった気がするけど理解したくなかった。

そんなこの世の終わりみたいな顔で謝られたらまるで夏帆はもう二度と目を覚さないことに対して謝ってるみたいじゃないか。

私はそれを否定したくて謝られた意味を考えたくなくて、理解するのをやめた。しかし、頭ではそうしたくても現実はそうはいかなかった。



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