第3話


 その日も学校終わりの放課後に夏帆のところに行った。今日も眠っている夏帆に「今日夢に夏帆が出てきた気がしたんだけど、私のところに来てくれたの?」と問うてみたけど返事は帰ってこなかった。夏帆の夢にも私が出ているといいなと夏帆の眠っている顔をみてそう思った。

最近は脈とかが安定しているからあとは目覚めるだけと夏帆の母から言われたので夏帆が元気になったらどこ行こうとかそんな呑気なことを考えながら軽い足取りでその日は帰った。

そして普通に学校に通い放課後になればお見舞いに行き、普通の日常を送っていた。

そしてまた夢を見た。


生暖かい風を感じた。

ここは海?心地よい波の音が流れてるなか私は周りを見回した。

海の上に人影が見えた。どうやら誰かを探しているみたいだった。よく見たらそれは夏帆だった。夏帆とわかった瞬間私は大きな声で夏帆を呼んだ。夏帆は私に気づくなり笑顔で私に駆け寄ってきた。

それから2人で先の見えない長い長い浜辺を歩いた。周りにはなにもなく見えるのはただの地球の丸さと穏やかな波だけだった。

しばらくしても夏帆はなにも話してくれないから、私が「夏帆がもし退院して元気になったら行きたいところ考えているんだけど、夏帆はどこか行きたいところある?」と聞いた。夏帆はその質問に答えるわけでもなく笑顔でただ「うん」と相槌をするだけだった。その後も食べたいのある?とか何個か質問をしたけど答えてはくれなかった。

気がつくと周辺は暗くなっており、今だにどこにつくかもわからない浜辺を歩いていた。すると夏帆が急に歩くのをやめて立ち止まった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る