しき

第1話

 俺達の町にある廃墟となったショッピングモール。そこには夜中に複数人の子供の泣き声が聞こえるとか、不気味なキメラの様な動物がいるとか、なんか呪われて死ぬなど色々な噂がある。

 なんの面白味のないよくある都市伝説。こんなつまらない話でも暇をもて余している大学生である俺達からしたら宅飲みの後の丁度良い余興だった。仲間の内の誰かが言い出したのか分からないが、ともかく俺達は酒の席の新たな話題を求めてそのショッピングモールに向かった。

 その場のノリで来たので誰もろくな準備をしてなく、懐中電灯さえないのでスマホのライトを光源にしながら探索した。

 最初は夜の廃墟といういつもの日常とは違う場所の雰囲気を楽しんでいたのだが、俺らは特に何も起きない状況に直ぐに飽き始め、寒さに対する我慢も限界になってきていた。


「寒いし、帰るか」


 待ちわびていたが自らの口では言い出しにくかった言葉を仲間の一人が口にして内心ホッとした時だった。


 ピンポーン


 場違いな音がその場に鳴り響いた。その場の全員が音の方向に顔を向ける。それは動くはずのないエレベーターがこの階に止まった事を知らせる音だった。どうも地下からここに上がってきたらしい。ありえない事態に俺達はそのエレベーターを凝視しながら固まる。

 するとエレベーターのドアがゆっくりと開き始めた。何かが腐った臭いが辺りを充満し始め、それと同時にどす黒い大量の液体がそこから流れ始める。浸かっていモノが見えそうになった瞬間、仲間の一人がが悲鳴を上げてその場から逃げ出した。それに続き固まっていた全員が一斉にその場から逃げ出した。

 あまりの出来事に錯乱していていたが、しばらくして何とかある程度の落ち着きを取り戻した俺達はアレが酒に酔って見た幻覚ではないことを確かめるかどうか話し合いを始めた。話し合いは揉めた。結果としてアレが本当だった場合は放置するのは後々、問題になると考えて俺達は渋々だったが警察に相談した。自分達だけでまたアレを確かめる勇気がなかったのだ。

 警察も最初は酔っ払いのれ言だと思っていたのが対応が悪かったが、真剣に話す俺達を見て考えを改めてくれたらしく現場に人を向かわせてくれた。

 ここまでくると俺達も冷静になり逆になんだが申し訳なくなってきて、もしかしたら俺達の見間違いではと心配になってきたが、その心配は残念なことに杞憂きゆうに終わった。

 あのエレベーターは本当にあったし、その中にあったモノも見間違いではなかった。

 中にあったのは正真正銘の人間のバラバラ死体。それも複数人。黒く変色した血に浸されていた。これは後から警察の調査で分かったらしいがその遺体は8人の子供だったらしい。尚、この事件の犯人は捕まっておらず、動機や手口に関しては不明なままだ。


 余談にはなってしまうがこの事件に関わってから俺の体調はかんばしくない。昨日も大量の血を吐いた。病院で検査しても原因不明だ。アレは何かの呪いの儀式だったのだろうか?あぁ…子供達の笑い声が聞こえる……俺はもう長くはないだろう…。

それでも地下を見てしまった警官よりもマシに生きれただろう。あそこの地下には一体何が………………………………………………………………

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しき @7TUYA

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