第2話 惟神について

 仄暗の中で最も大事なキーワードは『惟神かんながら』です。 

 本来の意味としてはシンプルに「神そのもの」、転じて「神意のままに」「神の本性のままに」といった意味です。

「ある行動が神様そのもののようであるさま」などという意味もあります。

 要は、神様の御意志、みたいな言葉なんですね。


「なるほどねぇ、これ使えるなぁ」って思いました。


 ちょうどその頃、瀬織津姫神について調べていたので、惟神と祓戸神を掛け合わせて何かお話作れないだろうかと考えていました。

 で、思いついた。


 『神様を背負って生きる人間、神様そのものである人間』=『惟神』


 いいじゃんいいじゃん、それでいこう。

 決めたはいいが、その設定で何を書くかまでは決まらなかった。

 だから、世界観とキャラ設定を作って終わってしまいました。


 なので、『惟神』の設定はオリジナルです。

 本来の意味合いとはかけ離れているので、ご注意ください。


 んでまぁ、作った設定を寝かせたまま三年の月日が経ち。

 オリジナルBLを書こうと思い立って、何かパンチがある設定ないかなと探していた時に、思い出した。

 昔作った惟神の設定使おうかなぁ、と。

 そもそもは只のファンタジーにするつもりで、主人公も別に作っていたお話でしたが、BLにするから主人公は新しく作ろうと思った。


 三年前の設定では祓戸四神しか作ってなかったから、その上位神である直日神を作るか。同時に生まれた枉津日神とか伊豆能売とかも出せそうだ。

 みたいな安易な思い付きで、祓戸大神最高神である直日神の惟神、瀬田直桜は生まれました。


 神様の力を使って神様の意志を代弁する人間がいたら面白い。そういう人間は、絶対に組織に囲われるから自由とかないだろうな。崇拝されるけど畏怖されもするだろうし、人間だったらさぞ生きずらかろう。そういう人間は、どんな性格になるだろうな。


 など考えて、直桜の設定が出来上がっていきました。

 仄暗Ⅰを書いている時点で、祓戸四神の設定も出来ていましたが、尺的に出せず。続きを書く気はなかったんですが、折角作り込んだ設定だし、と思って書いているうちに、四神どころか色々沢山立て来ちゃいましたね。


 実際、祓戸の神と言ったら、瀬織津姫神、速秋津姫神、伊吹戸主神、速佐須良姫神の四神です。


 直日神は大直日神と神直日神がいまして、黄泉の穢れから生まれた枉津日神の穢れを祓うための神様です。なので祓戸大神に数えられているし、祓戸の大祝詞にも名前が出てくるけど、神社の祭神とかにはなっていないことが多いですね。


 記紀には名前が出てきます。

 伊弉諾が死んでしまった伊弉冉を追いかけて黄泉に行って、伊弉冉のとんでもない姿を盗み見したのがバレて「見んなつったろーがぁ!」って追いかけられて必死に逃げて現世に戻ってきて、川で禊をした時に生まれた神様の内の一柱です。


 枉津日神→直日神→伊豆能売の順で生まれています。

 ちなみに、有名な三貴子(天照大御神、素戔嗚尊、月詠命)はこの禊の最後に生まれています。

 古い神様ほど性別がない神が多く、後世で後付けされた性も多い。直日神は無性だったけど、江戸時代くらいの頃に男性神にされてます。

 朱子学や儒教の影響を強く受けた時代ならではの矯正って感じがしますね。

 ですので、本作では無性にしています。


 この辺りはⅡの登場人物紹介にも同じことが書いてあるので、ご参照ください。


 さて、次回は「鬼」について。

 


本作はこちら↓

『仄暗い灯が迷子の二人を包むまで』

https://kakuyomu.jp/works/16818023212261037641


『仄暗い灯が迷子の二人を包むまで・Ⅱ』

https://kakuyomu.jp/works/16818093078564930840


『仄暗い灯が迷子の二人を包むまで・Ⅲ』

https://kakuyomu.jp/works/16818093081595698958


※現在Ⅳを執筆中(まだ非公開)。

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