第2話 湯渡り②
─────いっ、たぁぁ……
ふと水の流れる音がして意識があらわになった。身体が痺れて動きづらい、頭も目の前もぼんやりとしている。私は何とか仰向けに倒れている体を起こし、辺りを見渡してみる。
「私、どんなところに落ちたんだ……?」
というかとにかく暗い!かろうじて和風チックな街灯が石畳の道を照らしているおかげでギリギリ周りが見えるレベルだ。苔の生えた大きな岩が連なって道の両側をはさみ、岩から水が滴って流れている。もしかしたら山の中だったり……と考えたものの、早速改める必要があるみたいだ。
「空に星や雲がまったく見えない……やっぱり穴に落ちたってことかぁ」
上を見上げてみると、何も見ることができない程に暗闇が広がっていた。仮に谷底まで落ちたとしてもここまで暗くなるものでは……
「ん?そういえば私の身体、軽症というか何というか」
軽すぎる怪我な気がする。こんな深い場所まで落ちたとしてもこの程度で済むだなんて、まるで漫画やアニメの世界みたいだね〜なんて軽い気持ちで済ましてみる。
「とりあえず、道を進み続けようかな」
まぁ家に帰ってもおばあちゃんに叱られるだけだから、出口か何か見つかるまで進んでみよ。何か楽しいこと起きろ〜〜〜!
道を歩くこと体感十分くらい……まるで何も起きなかった、草木が生い茂ってきただけの同じ風景。家にあったレトロゲームでもここまで酷い風景は続かなかった気がする。
「まぁ説教よりはマシ…………ん?」
あれ、人じゃない?しかも二人だし学生服着てるし私と同年代かもしれない!何かちょうちんと木刀持ってるから少し違和感あるけど、ささっと近づいてひとまず声かけてみよ〜
「すみませ〜〜〜ん!」
「ん?」「何だアイツ」
「ぜぇ……ようやく人に会えた」
二人のいかつい女の子から怪しげな目で見られる。まぁ急に声をかければそうなるよね……
「何の用だ」
「聞きたいことがあって、この先に何か建物とかあるのかな〜だとか」
「なんだそんなことかぁ、それなら」
「おい、ちょっと待て」
「あー?なんだぁ人がせっかく説明するときに……」
「まぁこんな時だしさ、ごにょごにょ……」
あれ、何か急にコソコソ話し始めちゃった……土地のこと聞こうとしただけなのにな。
「よし……おいお前、教えてやるよ」
「ありがとうございます!」
「ただしアタイの刀でなぁ!!!」
ん?急になに
「ゔっ」
「おっ、避けるかと思ったら直撃か」
「あーあ、かわいいツラに傷付けちゃって……てかアタイの刀っていうかパクった木刀……」
「うっせぇ!!」
「いって!!こっちに攻撃することないだろ!?」
────あぁ……久しぶりに痛みが来た。壁まで吹っ飛ぶとは思わないじゃんか。何なのあの人たち本当に…………おでこ、うっ血してそう……とりあえず立たなきゃ。
「立ったな、さすがに一発じゃ気絶しないか」
「そりゃお前そこまで強くないし……」
「だぁぁ!うっせぇ!!!」
「とりあえずお前をシバクのは後だ!先に目の前にいるよく分からん奴をやる!!」
しまったなぁ、近くに木刀でも生えていれば対抗できたのかも……ね。無防備じゃ立ち上がった意味ないなぁこれじゃ。
「隙がありまくりだ!いただきぃ!!」
さよなら私の平穏な生活…………
バシィィィン!!!!
「……なっ!!?」「誰だお前!?」
「んぇ?」
「……間に合った、鍛錬したのが効いてるかもな」
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