刀創の輝き

天ク遊

プロローグ

第1話 湯渡り①

 石畳の通路を歩き続ける。しかも四方とも石に囲まれている、狭い地下道の空間がずっと続いてるのだから、こわくてたまらない。


 いつになったらこの風景が終わるのか、そもそもさっきまで私は何をしていたんだと、一人頭を悩ませていたら、突然まぶしくなって──



 さっきまでの地下道とは一転して、夕焼けの空と入道雲、すすき野原が視界を埋め尽くす。


「■■■■■■」


 突然背後から雑音混じりの言葉が聞こえた気がして後ろをふり返ろうと




「ゆとも!起きなさい!!」


「ん……んんっ?」

 急にお母さんに起こされた、あれ……つまり今のは……


「夢、ね……」

「夢ね、じゃないわよ!」

「ふぁぁ〜もう朝……」

「早く支度して学校行きなさいね、お母さんは先に仕事しに行くから」

「はぁ〜い、気をつけて……」

「おばあちゃんにも挨拶してから学校行きなさいね〜!」

「はぁ〜い」


 お母さんに返事をすると今の状況に気づく。ほんとだ……8時になってる、このままだと学校遅刻するからやっちゃった訳だけれども……


「おばあちゃんかぁ……」

 おばあちゃんと話すの苦手なんだよなぁ、おじいちゃんが亡くなってから一緒に住んでいるけれど、たまに当たりが強くて無愛想だからこわくて全然慣れないや……


 とりあえずそそくさと身支度を済ませて玄関を出ると、おばあちゃんが門の前で掃除をしていた。挨拶しなきゃな……


「おばあちゃんおはよう、学校いってきます」

「……おはよう、今日はいつもより遅いね。寝過ごしたのかい?」

「うっ……そうだね、寝過ごしちゃって」

「そうなんだねぇ……ふむ」


 おばあちゃんが急に黙り込んじゃった。

いつもの朝とはちょっとちがう雰囲気だ。


「ゆとも、今日は学校が終わったら早く帰りなさい。詳しい話はあとでするよ」

「……は〜い」


 どうやら今日は家に帰ったらおばあちゃんから話があるみたいだ。説教かな……いやだなぁ。とりあえず私は駆け足で学校まで向かった。




「おわったぁ〜〜〜」

 ひとまず授業が終わったけれど、ここからが問題なんだよね。このまま家に帰ったら説教の時間が始まる……

 普段私が何か失敗するたびにおばあちゃんが叱ったりしてくるものだから……う〜ん………


 そうだ、すっぽ抜かそう



 というわけで、私は今山の方にある神社に向かっています。今日ぐらいは許してほしい、ここの神社からの眺めはきれいなんだから!どんな田舎でもきれいな夕日は最高なんですよ〜


 おばあちゃんの件なんか忘れて石造りの階段を鼻歌交じりでステップ刻みながら渡っちゃう。


「ふんふんふ〜〜ん、んんっ!!?」



 急に足場が消えたかのような感覚がしたと思ったら、私の目の前が真っ暗になってしまった。


 これもしかしなくても、落ちてる……???

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