第7話

「完成いいい!!」


「やっとだな!!」


 大会前々日夕方、全ての組み立て作業が終了。


 ここからは点検作業に入る。


「先生、動作確認してみます!!」


 また先生に車体を持ってもらい、モータを動かす。


 タイヤはメカナムホイールというものを使用しているため、普通のタイヤとは多少動作が異なる部分がある。


「タイヤが…1つ動かないのがあります…」


 一歩進んで十歩下がる世界だ。


「基盤、別のに着けなおし。」


 ロボットの構造上、基盤を取り外すにはかなり時間がかかる。


「結局、ロボコンは直前までロボット完成しないんだなぁ…」


 配線を一度全て取り外し、基盤を交換する。


 事前に時間を持て余した小田中君が配線表を作ってくれたおかげで配線は大丈夫そうだ。


「今日はもう遅いから続きは明日にしよう。大丈夫、明日の午前中で完成させて、午後に走行練習をすればいいから!」


 一体、いつになったら完成するのだろうか…




 翌日


「よし、今日は9個やることあるぞ!!」


「前日なのに!?」


「仕方ないだろう…終わんなかったんだもん。」


「えぇ…」


「伊達、お前は自動ロボットを何とか動くようにしてくれ。せめて10点はとりたい。赤来、お前はプログラムチェックだ。PWMとかの値間違えてないか、ちゃんと確認してくれよ。僕と先生と小田中君でこのリモコンロボットを組み上げていく。OK?」


「さあ、やっていこうか!!」


「「はい!!」」


 時間の流れは速い。


 もうお昼になってしまった。


「なんとか、なんとか完成だな。動作確認もした。あとは操作練習だけだ。小田中君。」


「あぁ、俺のゲーム脳が火を噴くぜ。」




__ガシャアァァァァ…


「えぇっと、もう少しゆっくりジョイスティックを倒す感じで…」


「操作難し!!」


 そりゃそうだ。普通のゲームはジョイスティックを倒すだけなのに対して、この機体はゆっくり調整しながら倒すという滅茶苦茶高度な操作技術が必要になってくる。急に倒そうもんならフルスピードでアイテムに突っ込んでいってしまう。


 1ミリ度のジョイスティックの傾きが生死を分けるシビアな制御。


 そして競技時間は5分、そんな時間で繊細かつスピーディーな操作をして、確実に点を入れなくてはならない。


 普段ゲームをやらない僕ではこれを1日で使いこなせだなんて無理な話だ。


「時間的に、メガホンを掴んで棒に挿すだけしかできなさそうだ。ボールアームは無視していてくれ。」


 そうして時は進み…


「それじゃあ、5分計るぞ。」


「っしゃ来い!!」


「スタート!!」


 練習は現地の会場でもやらせてくれるが、一応、ここでじっくり練習はしておく。


「いいぞ!!」


 僕の作ったアームが開き、メガホンを握る。


 アームについている輪ゴムはメガホンの外径に合わせて変形し、しっかりホールドする。


 リフトが最高まで上がり、メガホンに棒を通す。


 そこでタイマーが鳴り、タイムアップ。


 自動型ロボット無しの記録だが、メガホン1個で20点。


 ロボコンの多くのチームが大体0点~10点前後しか得点を獲れない中での20点だ。


「すごいな…これ、まさか全国行くんじゃ…」


「小田中君、いい調子だ。本番は今日の通り落ち着いてやれば大丈夫。」


「ああ、分かったよ。」


「それじゃあ、明日の準備だ!!」

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