第5話
夏休みの展開は速く、大会まで半月を切った。
「夏休み 休むことなく 研究す」
「水中ロボコン 涼しそう」
「ロボコンの 機体完成 近づいて」
「夏の終わりも 近く感じる」
ついに僕と小田中君の頭のねじも外れ、いつしか部品を組みながら57577の連歌を楽しむようになっていた。
機体の組み立ては思ったよりも大変なため僕も手伝うようになった。
ロボットは先生が頑丈に設計した分、組み立てが地獄だ。
まず、ロボットのフレームの角が危ない。
この角のせいで手首に傷を覆い、リ〇カした人みたいになってしまった。
そして重い。
ジャッキなんて無いから2人で持ち上げ、1人が部品をつける。この組み立てだけで筋トレになるだろう。
「じゃあ、俺と伊達は今日午前上がりだから…」
「おう、じゃあな~…」
昼ご飯を食べ、再び作業を始める。
「藍上、助けてくれぇ~…」
プログラム担当の赤来が助けを求めている…
「ここのプログラムってどうなってんだ?」
「ここはな…」
どうしよう、自分で見本用に組んだプログラムなのに解読できない!!
「お困りのようだね。」
「
「えっ坂之上!?」
「誰?」
赤来が知らないのは当然だ。
昨年のロボコンにて、ロボットのプログラムと設計を担っていた伝説の先輩…
僕に設計技術とプログラムを教えてくれた恩師だ。
「先輩、紹介します。新人の赤来です。ちょうど困っていたそうなので、先輩直々に技術を伝授していただけないでしょうか。」
「よし、任せろ。」
かっこよ。
翌日
今日は久々にロボ研は休みだ。
まあ、学校説明会があったんだけど…
「あ゛~~~!!疲れた…」
「お疲れ様!!はい!差し入れ!!」
よく働いた後の弁当ほどうまいものはない。
「弁当余ったぞ!!」
「僕が頂く。」
「ふう、よく食べた…」
「先輩、あの……」
藤田さん?
気がついたら研究室に2人きりだ…
「どうした?」
「先輩って…」
すごい!!何この急展開!!
「先輩って、自販機のお金拾うって本当ですか!?」
あーこの噂は…
去年の水中ロボコンのメンバーだな…
「まさか、そんなわけ…」
「先輩、あと、このエナドリ、貰ってください!!」
お、これは…
上げてから下げて、また上げる戦法か!?
ジェットコースターかよ!!
だが、ここで嬉々として貰ったんじゃかっこがつかない。
「いや、いいよ、飲みな。いつも頑張ってるんだから。」
「いえ私はいらないです、先輩のほうが頑張っているんで!!私、尊敬してます!!」
なんていい子なんだ…
胸とかSIRIとか大きいとか思ってた自分が恥ずかしい…
ちなみに、エナドリは水中ロボットのアイテムのため、井戸水に10日ほど漬けられたままだったと知るのはまだまだ先の話である。
「君に、質問していいかい?」
「なんですか?」
「青春って、何だと思う?」
「“青春”ですか…」
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