第3話
「藍上、俺もロボ研に入りたいんだが、どうすればいいんだ?」
翌日昼休み、唐突にそんな相談をされた。
「ん?君も、ロボ研に…入るのか?」
彼は2年生の頃、水中ロボコンという大会に出ていたが、それとこれとはまた違う。
しかも、あまりテストの点で人を判断するのは良くないが、彼は工業科目の点数はあまりよくない。
技術力は期待できないのだ…
「お前、ロボ研部長なんだろ?頼むよ!!」
「よし、放課後研究室来い。」
今日は活動日じゃないのだが、研究室に来た。
「では、志望理由を聞こうか。」
そう、面接だ。
この面接次第で先生に推薦するか否かを決める。
「志望理由は、小田中君がロボ研に入ったと聞いて、高3から部活に入ることなんてできるんだと感じ、今からでも技術を身に着けたいと思い、志望しました。」
なるほど、技術力の低い赤来だから言える志望理由か。
「で、本音は?」
「小田中君が入ったからだけど…おい!!何言わせんだ!!」
「不合かk…」
「ちょっと待ってくれ!!俺は、入学してから今まで、入部するタイミングを見失って部活で青春をしてこなかったんだ!!だから、なんでもするから!!俺を…!」
「今、何でもって、言ったな?」
「あ、あぁ、やってやる。」
「まあ、そんな感じで赤来も入部したいそうです。」
「…赤来?」
「はい、面接もしましたが問題はありませんでしたよ?」
「そう…」
「何でもするって言ってました。」
「ほほう、そこまでの意思があったとは…よし。」
「赤来!!お前、正式入部が認められたぞ!」
「おぉ!!まじか!!ありがとうな!!」
「それでお前、何でもするって言ったよな?」
「お、おう、まあ、言ったが…」
「お前を、ロボット研究部、プログラム担当に任命する!!」
「??」
「ロボットのプログラムは、3年間ロボ研をやってきた僕でも使いこなせないぞ。」
「!?」
「それじゃ、よろ!!」
「え、ちょ、ちょっと待ってくれ!!」
「なんだよ…」
「お、おい、お前が3年やってできなかったことをまだ初めてすらない俺に半年で習得しろというのか!?」
「大丈夫!!僕のプログラムは学校パソコンの共有フォルダに入れてるし、万が一困ったことがあってもある程度の質問には答えるから!!」
「わ、分かった。」
すまない、赤来、でも、お前ならできると思う。
多分…
「と、いうわけで2人目の新入部員、赤来でーす!!」
「こっちでもよろしく!」
「うお、赤来もやるんだ!!」
「なんか、俺の知らぬ間に部員が2人も増えてる…」
「今日は自動ロボットの説明をするぞ!!特に伊達は自動ロボット担当だからよく聞くように。」
「おう、分かった。」
「今年の自動ロボットのルールは去年に比べて簡単になってる。リモコンロボットが難しくなったからだろうな。今年の自動ロボットの大きさの制限は300×300×300〔mm〕以内だ。」
「ほう、で、コースはどんな感じだ?」
「坂道になっているところの壁を避けながら下りる。一番下まで降りたらそこにあるカゴを取り込んで下りてきた坂を上がっていく。」
「カゴを取り込む…か…」
「ただ、このカゴは坂を上がった後、シャトルを投げて入れるためのものだから、シャトルを投げられるようになるまでは坂を下ることだけ考えてくれ。」
「了解。」
「あと、みんなに言わなくちゃいけないことがある。」
「なんだ?」
「言ってみろ。」
「僕は来週から1ヶ月、生徒会と応援団と資格の課外で部活に参加できない!!」
「「「えぇ!!」」」
「小田中君も再来週あたりから僕と同じ資格の課外があるから行けなくなる。」
「おいおい、1つぐらい部活を優先できねえのかよ!!」
「すまない。自分で言うものじゃないが、生徒会は会長の僕以外みんな消極的だから、僕が消えたら成り立たなくなる。」
「応援団は…」
「応援団はもう再来週に野球応援が入ってるから団長の僕が一番頑張らなくちゃいけない。
資格の方は…
「資格は、僕も小田中君も去年落ちてるからもう後が無いんだ!!許してくれ!!」
「そういえばお前、ロボ研部長やって生徒会長やって応援団長やってんだったな。忘れてたわ。」
「まあ頑張って来てくれ。1か月間、何とか作業は進めておく。」
「そうだ、頑張って来てくれ!!」
「みんなありがとう。」
この世は意外と善人が多い。
「よーしお前ら!!写真屋さんが来たから卒業写真撮るぞ!!」
そして時は進み…夏休みが始まった。
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