第2話

 天気、晴天ナリ。


 勧誘にもってこいの日だ。


「おはようござ…」


「おはよう!!小田中君!!君に話があるんだ!!」


「藍上!?」


 小田中こたなか おり


 成績優秀のゲーム好き男子だが、技術の腕はたしかだ。


 彼とはロボコンとはまた別の大会で上位を争っていた仲、勧誘しやすく、とにかく優秀なのだ。


「小田中君、ロボコンやらないか?」


「ロボコン!?あのロボコン!?」


「そう!!そのロボコン!!」


 すると彼は少々悩んだ後、頭を上げた。


「入部届は…」


「秋谷先生が君の分昨日ウッキウキで書いてたよ。」


「その、もう少し考える時間をくれないか?」


「どれくらい?」


「大体2週間ぐらいあったほうがいいかも…」


 そりゃあそうだ。今、僕たちは高校3年生、大学受験の事も考えなくちゃいけない。


 時は過ぎ、午前の授業最後が終わり…


「昨日、藍上から教えてもらったぞ?小田中、お前、ロボット好きなんだって?」


「え、あ、はい、まあ…」


 午後の最初の授業前…


「お、秋谷先生から聞いたぞ?ロボットが好きなんだな!!ぜひともロボ研に!!」


 午後真ん中の方の授業…


「あ、小田中!!いやぁ、頼もしい!!」


 そして…


「分かった!!分かったから!!ロボ研入りますって!!」


 彼は勢いに押され、晴れてロボ研の仲間入りを果たした。


 放課後…


「と、いうわけで、新入部員の小田中君だ!!」


「よろしくお願いします!」


「じゃあ、俺は他の仕事があるから藍上よろしく。あ、伊達は今日は来れないそうだから2人でやってて。」


「分かりました~よし、じゃあまずは今年のロボコンのルールを理解してもらうところからだ!!」


 ロボコンのルールは基本、毎年変わる。


 ロボットが運ぶもの=アイテムも毎年変わる。


 去年は木の台に穴があって、そこに蓋がされていて、その蓋を開けてアイテム(ペットボトルorボール)を取り出す。取り出したペットボトルを別の場所に移すというものだった。


「今年のアイテムは3種類のボール(1種類につき6個)とメガホン、そしてバトミントンのシャトルだ。シャトルは遠くから投げないといけないんだけど…これは全国行ったら考えよう。今の僕たちの技術じゃできるものじゃない。」


 このルールを見た時、先生は見たことないほど目を大きくして驚いていた。そして、


『シャトルは無視でいいよ。県大会ではどこのチームも投げないだろうね。』


「シャトルは無視してボールの話をしよう。ボールは木で囲われた3つのエリアにそれぞれ種類ごとに分けて置き、メガホンは地面に四角く色が塗られたところの上に置いておくらしい。」


「それで、そのアイテムをどこに移すの?」


「3段の階段のようなところに短い筒が1段につき6つ接着されている。ボールは種類を分けて筒の上に乗せる。ただ、段ごとに種類分けされていれば、どの段にどの種類のボールを乗せてもいいらしい。」


「その階段の横幅は?それによってロボットアームの形も大きく変わってくるのでは?」


「ロボットの横幅の制限が500mmに対して会談の横幅が600mm。ボールを6個全部持って乗せに行くのは無理だな。」


「なるほど。」


「メガホンの移動場所は板の上に張り付いた棒だ。ただ、この板は地面と接着されてない。倒したらお終いだ。」


「分かった。それで、自動ロボットは?」


「よく知ってるな。」


 ロボコンにはリモコンロボットと自動ロボットの2機で出場する。


 去年はリモコンロボットを自動ロボットに乗せてもう1つのコースに橋渡しをするというものだったが…


「自動ロボットについては伊達がいる時に説明しよう。とりあえず今日は話したルールをもとにアームを考えていきたい。」


 僕たちのアームについての会議は部活終了時刻を過ぎた6時まで続いた。


「今日出た案はこんな感じです。」


 そして部活終了時刻を過ぎていることを伝えに来た秋谷先生に出た案を伝える。


「なるほど、じゃあ、次の部活の時に早速それぞれのCAD(3Dモデル)作っちゃおうか!」


「分かりました!!」


「よし!じゃあ今日は解散!!お疲れ様でした!」




「すごい、こんな時間まで残るのか…」


 部活が終わり、夕日が差す渡り廊下を歩く。


「まあ、本当は5時半終了なんだけどね。」


「なんか、1・2年の夏を思い出すなぁ。」


「今年の夏も同じような感じだぞ?ロボコンあるし」


「マジか…」


 そんな話をしている折、背後から肩をポンと叩かれた。


「藍上、生徒会と応援団について話がある。」


「あなたは…」

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