鋼鉄の蟻は青い空を見る

作島者将

第1話

 一昨年の冬、ロボコン新人戦にて得点0点で敗退。


 去年の夏、先輩の機体の大破により得点はとれたものの敗退。


 同年冬、2度目の新人戦、先輩の協力もあり最高の機体で挑むも上位のチームの足元にも及ばず敗退…


「先生!!今年こそは全国制覇を…」


「その前に全国進出からだな。」


「はい…」


 紫峰工科高校ロボット技術科の下作られた部活

“ロボット研究部/通称:ロボ研”


 先輩が卒業してから部員数は2人である。


 それもそのはず、ロボット技術科…いや、紫峰工科自体、この代で無くなるのだ。


 僕の下の代は紫峰サイエンス高校と言われている。


 その影響で2年連続ロボ研新入部員は0人、栄華を極めたロボ研は静かに終わろうとしているのだ。


「よし、今日もやるかぁ~。」


 僕、藍上あいうえ こうは毎日研究室で部活動に励む。


「………。」


「………よし動いた。」


 僕はもう1人の部員と仲が良くない。


 彼は伊達だて 見佐雄みさお、副部長だ。


 彼は基本的にしゃべらない。ただ、喋っても大体の人は内容を把握できない。


 さらに彼はバスの関係上、部室に時間いっぱいいられない。そう、途中から完全に僕1人になるのだ。


「藍上、寂しくないか?」


 5月、顧問の秋谷あきたに先生からかけられたそんな言葉。


「平気ですよ。」


「次のロボコン、正直、今のお前ら2人じゃ厳しいんじゃないかと思ってる。そこでだ、もう1人部員を増やそうと思う。どうだ?誰か推薦したい人はいるか?」


 突然そんなこと言われても…


「推薦したい人ですか…」


四郷しごうとかどうだ?同じ生徒会だろ?」


「彼とは…あまり…」


「そ、そうか…」


 僕は頑張って記憶を辿る。


「先生、1人います。」


「お!!誰だ!?」


小田中こたなか君。」

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