2. 炉を囲む





――― 学校やすんでる間に、読んだんだよ。県の伝承、民話の資料。


――― 今日、お昼すぎに行ったお寺のカンバンに、書いてあったのも確認したしね。




 夏休み、歴史部の合宿だった。


 夕日もだいたいこんな感じで、今よりは早い時期だったけど、今年の夏ほどバカ暑くなかったから、気温もだいたいこのくらい、そんな日の夕方だった。

 人生初のヘタクソなバーベキューに奮闘するおれと先輩、二人をよそにビール片手に監督するフリだけしてたやる気ない顧問、そして合宿どころか毎週火・金の部活にも来ない幽霊部員ユーレイどもで構成されてた零細文化部。

 形ばかりの調査旅行に、先輩はいやにノリ気で、おれと顧問のケツ叩きながらほぼ一人だけであの夏の二泊三日を主導した。




――― 先輩、いったいどうしたんですか。




 おれが入部してすぐに、五月、六月と幽霊部員の一人だった先輩が、期末テストが見えたこの時期に、いきなりそんな必死になって。




 そんなことを思ってた自分を。

 あとから、叩き殺してやりたくなった。

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