意地悪 藍沢さんside

 初めて、振られた。


 立ち直りたいのに、嫌いになりきれないから、他の人を見れないんだ。


 知ってたんだよな、蒼ちゃんの視線の先、灯里の好きな人。


 分かっていて、無視していた。


 知らないふりをしていたんだ。


 灯里の好きな人・・・・・・親友の好きな人を私は好きになって、いや、親友が奪われるのが怖くて好きになっているんだ。


 蒼ちゃんには本当に色々気づかされるな。


 でも、好きだったんだよな。


 それでも。


 ずっと蒼ちゃんのこと見ていたし、恥ずかしがりながら笑う顔が一番好きだった。


 だから、ごめんね。


「灯里。振られちゃったよ」


「そう、なんだ」


 今にも泣きそうな顔を隠しながら目を擦る。


 灯里は辛そうな複雑そうな顔。


「ねえ、灯里。告白してきなよ。教室にいるよ、蒼ちゃん」


 私の言葉に灯里は驚いた顔。


 そんな顔しないでよ。


「じゃあ、帰るから」


 灯里の顔を見たくなくて急いで鞄を持って扉へ向かう。


「えっ・・・・・・、朋花、待ってよ!」


 止める言葉も無視して急いで玄関口まで向かった。



 次の日、癖でつい見つけてしまった蒼ちゃんの姿。


 隣には、楽しそうな灯里がいた。


 目から一筋の涙が溢れる。


 今更、自覚するなんて馬鹿だな。


 涙で崩れた化粧を直しに、一人でトイレへ向かった。

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