第3話

サドルにまたがり、一番重いギアに切り替えて、僕は立ち漕ぎで鈴木さんを追った。



左に大きくカーブする橋が、湖にゆったりと架かっている。


鈴木さんとグラベルバイクが、すごいスピードでそこを行く。


気づけば僕は、スマホを取り出し、連写で写真を撮っていた。



その間も、鈴木さんは進みを止めることなく、はるか先を行く小さな点になっていた。


急いで追うのを諦めて、とりあえず点が行った方向に行ってみる。


湖沿いを一人、僕は自転車を漕ぎ続けた。




──「きれいだね」


突然、どこからか大きな声が聞こえてきた。


声の方を見てみると、鈴木さんが夕方色に染まって、湖畔に座っていた。



見つかって、ホッとしながら、鈴木さんに近づいた。


「きれいだね」と僕が言うと、「私のこと?」って笑いながら、鈴木さんはそう言った。

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