プチ王子の体
城に帰り、プチ王子は大王から説教を受けていた。
「プチ、まずは謝らなくちゃいけないよな?」
「おとうさん、心配かけてごめんなさい。」
「父さんだけじゃなくて、みんなに謝りなさい。プチの身に何かあったら大変だ、ってここにいる全員が不安に思っていたんだからな。」
「勝手に遠くまで行ってごめんなさい。」
「そうだぞ、よく反省しなさい。でも無事で本当に良かった。」
説教の後、プチ王子はせっかちな性格を直すことを決意した。話をよく聞いて、よく考えてから行動するようになった彼の姿は、子供といえど王族に相応しい物になっていた。
◇
ある日、プチ王子は王国の闘技場に来ていた。タイタニックセイバーを使いこなすため、剣術を学びに来たのだ。
「よろしくお願いします!」
「殿下の剣術指南役となれて光栄であります。まずは準備運動をしていきましょう。」
「はーい!」
準備運動の後、最初に始まったのは正しい剣の振り方からだった。
「大剣は重いので、正しい扱い方をしないと剣を振るたびに自分が体勢を崩すことになってしまいます。縦に剣を振り下ろす時は、剣を振ると同時に利き足の外側を前に向けて大きく踏み込み、踏ん張りを効かせることが大切です。それではやってみましょう。」
プチ王子はタイタニックセイバーを上段に構え、アドバイス通りに振り下ろす。
「さすが殿下、正しい振り方ができていますよ。」
プチ王子は剣の天才だった。あっという間に大剣の扱い方をマスターし、タイタニックセイバーと一体化しているような見事な剣捌きを見せた。
「…私が今までしてきた努力はなんだったんでしょうか…」
「何を言っているんだ、その努力と経験こそが最大の武器となるんだろう?弟はまだ実戦もしていないのだ、引け目を感じる必要はないさ。」
落ち込む指南役に話しかけたのは、弟の様子を見にきていたチビ王子だった。
「殿下…ありがとうございます!」
深々と頭を下げる指南役にチビ王子は微笑みを返すと、プチ王子にある提案をする。
「なあ、俺と勝負してみないか?俺も習った魔法を試してみたいんだ。」
「お兄ちゃんと!?やるやる!」
◇
「お互い怪我をさせないように気をつけてくださいね。」
「「はい!」」
「では、始め!」
「はああああ!」
遠距離攻撃の魔法を連発されると勝ち目はないと考えたプチ王子は、一気に間合いを詰める。
「もらった!」
「
チビ王子は瞬時に氷の盾を作り出す。攻撃を受け止めた盾が砕けるが、勢いを殺すには十分だった。
「何もないところから氷が!?」
「温度操作と初歩的な水魔法が扱えれば誰でもできるさ。」
「むー、ぼくはできない!」
「ははっ、ごめんごめん。それはそうと凄いパワーだな。」
チビ王子は内心恐怖していた。盾氷は本来滑る表面で攻撃を受け流す魔法である。弟の攻撃はそれだけ的確で重い一撃だった。しかし彼にも兄としてのプライドがある。
「ごめん、手加減はするけどちょっと痛むかも。
攻撃系の魔法は、魔法で作り出した発射物に多量の魔力を込め、その魔力が相手の体に流れることで成立する。体に大きな魔力が流れるとダメージになるが…
「冷たっ!」
「…え?それだけ?」
プチ王子の体は、魔力を通さない。
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