瓶詰の異世界
マサトは悪魔に願った
「異世界にいきたい」
遡ること1時間前
マサトは家の近くの山にきていた
山に登るのが最近のマイブームだ
お金もほとんどかからない
マサトは山のふもとで猫を見つけた
猫はなにやら黒いものを爪で転がして遊んでいた
何を転がして遊んでいるのだろう
そっと近づくとそれに気付いた猫は林の方に走っていった
転がっている黒いものを見てみると
それは小さな小さな悪魔だった
「いやあ、危ないとこだったよ」
手のひらサイズの悪魔は流暢に人間の言葉をしゃべった
真っ黒な体
頭には2本のツノ
背中には長いしっぽもあった
漫画やアニメでみる悪魔そのものだ
「おまえは一体なんなんだ?」
マサトは尋ねた
「俺は悪魔。願いを叶える悪魔だ」
「人の願いを叶えることを
「助けてくれたお礼に願いを叶えてあげよう」
こんなことが現実にあるのだろうか
マサトは考えた
アニメや漫画ではよくみていたが
実際にこんなことがあるなんてにわかには信じられない
寝ぼけているのかと頬を叩いてみると
とても痛い
どうやら寝ぼけて幻覚や幻聴などをみているわけでもなさそうだ
マサトは悪魔の存在を信じた
しかし悪魔が言っていることには疑いを感じていた
悪魔というのは人を騙す存在だとされている
そんなもののいう事を信じてよいのか
そもそも猫にやられるような悪魔が
願いを叶えられるのだろうか
まあ何かあったら踏みつけてやればいいか
「異世界にいきたい」
マサトはネット小説でみた異世界転生の話を思い出し
自分もそんな心躍る世界で活躍したかった
「異世界?そんなとこ聞いたことないな」
「まあそんなにがっかりするな、異世界はないけど君にぴったりの品はある」
そう言うと悪魔はどこからだしたのか体の半分ほどもある
「これは魔法の瓶だ。これを君にあげよう」
「この瓶の所有者になれば瓶の中に自由に出入りすることができる」
「瓶の中では所有者はなんでもできる」
「空を飛ぶことも時間を操ることも生命を創造することだってできる」
「異世界がないんだったら君が異世界をつくればいい」
面白そうだ
マサトは悪魔から瓶を受け取った
「これどうやって使うの?」
「頭の中で瓶に入りたいと念じればいい」
「瓶の中に入った後も念じればなんでもかなうよ」
マサトが念じると浮遊感を感じ
気が付けば空にうかんでいた
足元には平野が広がっている
ゆっくりと大地に降り立つと
マサトは大きな屋敷を想像した
するとポンっと想像した通りの屋敷が目の前に現れた
マサトのテンションは爆上がりだった
悪魔が言ったことは正しかった
この世界で俺は何でもできる
これから自分の思い通りの世界を創ってみよう
まずは人をいっぱい作って村や町そして国を創ろう
のちのちに現代知識で無双するためにはじめは発展はさせないようにして・・・
自分の事を好きになる可愛い女の子がいて・・・
意地の悪い領主もいるな
後で悪い領主をやっつけて俺がみんなから喜ばれるんだ・・・
瓶の外からマサトを見ていた悪魔は
両手で瓶を持ち上げると地面に叩きつけた
石にあたった瓶は粉々に砕け散った
砕け散った破片に太陽の光が反射して
キラキラと輝いていた
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