第8話 ラクダ

 青い空から燦々と光注ぐ砂漠を渡るにはラクダしかなく、金色の砂が波打つ、赤い大地を確かに踏み分けるラクダ、砂漠の船、そして歌を好むもの。ただはてなく続く砂の海、そして恐ろしい暑熱、蠍、そして蛇

をものともしない。ラクダ、唯一の水と命を運びながら悠然とラクダがリズムを刻み、暖かく毛が硬いその背に乗るものは優雅なステップに合わせて歌を作りラクダに聞かせる。長いまつ毛をしたラクダは歌を聞けば力を強め砂嵐を恐れずに進むという、そして願いを込めて作る歌は人の心を照らす。砂漠には歌と恋しかない。ラクダはその運び手、闇も恐れずに進む夜の娘たち。もしラクダが砂漠を好まず人がラクダを求めなければ、この優雅なコブが水を溜めておかなければ、どこまでも旅を求めるものたちがこの砂漠を渡ることもなく、私の手元にこの布が届くこともなかった。

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