第7話 第三章練習問題③ 作者の声から口語体へ


 

 

 


 滑空を重ね、思索を交わす鳥たちの声を聴く。

 大地を走る『人』の群れの意識の声を集める。

 全空に拡散していた視界が一点に集まる。

 赤い砂に金の砂、そして立ち上る緑の力の渦がある。

 風の手を捉えていた背の翼を前に傾けた。

 風紋ふうもん重力場じゅうりょくばが下への“道”を作る。

 

 落下よりも早く女神の体である大地に近づく。

 興奮、恐怖、歓喜、そう、全ての感情は匂うのだ。

 目の前に柔らかい手足をした『人』がいる。

 緑と金、この色は生を重ねても忘れようがない。

 羽は思う前に形を変えた。

 足が大地を踏み締める。

 『手』を伸ばすもあと一歩で届かない。

 手があるとどうしても惜しんでしまう。

 だから両手に『爪』を構えた。

 横に薙ぎ払う爪と幼体の牙が交差した。

 空間を裂いた音が響きあう。



口語体まだ行けないですね。

反対側からの動きです。


影もない一面の赤い砂漠から音が消える。

 少年はあたりを見回し、刃を構える。

 灰色の羽が青い空から舞い落ちる。

 赤い地面に降り立つ音が響く。

 影が迫り、風切り羽が鼻先を掠る。

 少年はそれが当たる手前でのけぞった。

 その羽の影から人の脚が現れる。

 魔だ、と本能的に悟る。

 灰色の羽が揺らめき腕が伸びる。

 足元の砂が沸き立ち沸騰した。

 造形だけは整った男の顔が現れる。

 両手に銀に光る刃を閃かせる。

 力を持つものが纏う圧があった。

 少年はナイフの背に左手を添える。

 引くことは死ぬことと一緒と悟った。

 一歩でお互いの間合いに入る。

 男の爪先がぐっと地面を掴む。

 少年は下腹に力を込めて刃を受けた。

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