第7話 後宮の探索
宮女が歩みを進める。
深夜の宮殿。それもこの帝国を統べる皇帝のおわす『左豊宮』の後宮である。
幼い宮女。それは――
《なんでこんなかっこしなきゃいけないんだよ、まったく......》
それは、
『くれぐれも、バレぬように。この世界に生きている人間は、そなたを認識できる。怪しまれれば殺されるかもしれん』
「そんなんやだよ!」
『大丈夫、死んでも術が解けるだけだ。ただ、刀で切られたりすると痛いからな。そのあたりは現実と同じだ』
「より、悪質じゃん!」
『とりあえず、宮女の衣服を送った。それで変装するがよい』
しぶしぶ着替える
「で、これからどうしろと?」
こほんと咳払いが聞こえる。それは
隆朝は二百年以上にわたってこの大陸を支配した王朝である。
しかし、隆朝も皇帝一七代目に至り、様々な矛盾が生じるようになる。
国境警備のための軍団維持に使う莫大な費用。そして上から下まで汚職が横行し、人々の暮らしも困窮していった。
その一七代目の皇帝はのちに廃残帝と諡号される、
「聞いたことある。とても残酷でひどい皇帝だったって」
民に重税を課し、気に入らない文官にはことごとく極刑を与えた。
とりわけ、悪評の的とされるのが
贅沢と蕩尽にうつつを抜かし、後宮を淫蕩の渦に沈めた隆朝最悪の悪女とされている皇后である。
『結果、貴族の一人であった鳳朝の高祖、つまり
「それを調べろって事かい?いまさら何を――」
暗い闇の向こうに目を凝らす。
ゆっくりと近づいてくる人影――それは――
鳳朝偽書伝 八島唯 @yui_yashima
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