第6話 百年前の『世界』
そういいながら
部屋は様々な色の煙がたゆたい、何とも言えぬ香りが充満する。
思わず
「毒ではない。怖がることはない」
そう
「あの~これっていったい?」
「先ほども申した通り、これは鳳朝に伝わる古の『秘術』、その名を『
まるで音楽のような
「この『
《歴史書の時代......?別の世......?って?!》
目を開く。
頬に木板の冷たい感覚がする。どうやら床に横になっているらしい。
体を起こしてあたりを見回す
暗く、そして人気のない廊下。新しい床の木のにおいがやけにきつく感じられた。
「ここは......」
思わず声にする。
『ここは、隆朝が宮殿『左豊宮』の奥の院である』
頭の中に直接響き渡る声、それは――
『どうやら成功したらしいな、よかった』
「
頭の中に直接響き渡る
『何度も言う通り、これが『
「へ?」
『もちろん現実ではない。とはいえ夢というわけでもない。痛みは感じるし、腹も減る。この世界で起こったことはおまえ自身が体験し、介入することができるのだ』
なぜか、自慢げな
やはりやばい奴だったか......と
「それで――俺をこんなあやかしに放り込んでおいて、何が目的なんだ!」
大声が響き渡る。
『目的――そうそれは歴史の真実に迫ることだ」
「歴しぃ~?」
『先ほども申したではないか。『文字』に残された歴史が本当かどうかはわからないということを。それをお前に探ってもらう』
「なんで俺が!」
少しの沈黙ののち、
『この秘術を用いられる人間は完全にその本を覚えておく必要がある。すこしでも間違った暗記をしていると、完全な再現をすることはできなくなるのだ。私といえども数冊の本を完全に暗記することはなかなか難しい。中途半端な暗記で別の世界に行くことは――大きな危険をはらむこともあるのだ』
「だから俺を?!」
自分を指さしながら、そう
うん、と軽い返事がき答えた気がした。
見たこともない、この世界に一人で放り込まれたことに――
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