第5話 歴史の真実
「すると」
「
少し照れながらも、
「......まあ、大体は。あんまり時間たったり、興味がないと忘れてしまうけど。もの探す時ぐらいしか役に立たない特技で――」
「ひぃっ!!」
「それこそが――私が望んだ、力なのだ――」
夜。
床には何やら見たこともない紋章と、数枚の護符そして香炉がおかれていた。
ちょこんとその真ん中に正座する
『この本を夜まで「覚える」ように。可能だろうか』
分厚い二冊の本。ペラペラとめくる。そこには
タイトルには『隆朝紀伝』、『黄伯氏日記』とそれぞれ記されている。
うなずく
そして今、
「私は歴史を研究している」
「歴史とは――過去に起こったこと。当然現代のわれわれが知る方法はない。唯一の方法は、過去の人間が残した『足跡』を探るのみである」
「その『足跡』は実際に過去の人が住んでいた住居や使っていた道具――しかしそれらは失われることも多く、その特定も難しい。もう一つの『足跡』は『文字』だ。『文字』は過去の出来事やその時の人々の言葉を再現してくれる。たとえ何千年前だとしても、『文字』によってその時代の世界をよみがえらせることが可能なのだ――ただ、その書かれた『文字』の内容が真実であれば」
「例えば、わが鳳朝。今から百年以上前に初代皇帝である高祖が前王朝の最後の
なんとなく
つまり、本に書いてある『事実』は往々にして、『うそ』であるということである。
『うそ』は何らかの目的、利益を求めるがために行われる。
「その事実を明らかにするために――これから、『秘法』を行う。歴史の真実に迫る『秘法』を――」
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