第5話 村人

 私たちが泊まった古屋周辺の田畑は人があまり手を付けなくなって荒れに荒れていた。もう殆ど使用しなくなったようで、多くの様々な雑草が生い茂っている。


 もう少し奥へと進むと、田畑は今までの荒々しさは途端に無くなり手入れされ使用されている状態が伺える。そこらで農作業をしている村人を数える程度、目撃しその人々は至って普通の田舎人だった。


 その先、ポツンとメインストリートの様に続いていた土系舗装の道の突き当りには「集会所」らしき他の木造の日本家屋とは全く違い、西のまるでのような建築物に何人かが集まっていた。その場違いで異様な建物はその場だけが異世界の様に感じ、なんだか身震いをする。


 開けた田舎の集落では人目に付きやすいので、そこまでの移動は困難だがその集会所から出てきた一人の男性の後を遠目に見張る様に追うことにした。



 男はどんどんと村の北へと向かい、山の麓へと行くにつれて集落は密集して行く。平地では米や麦等の農家を営み、山地ではまた別の標高の高い場所で実る作物や果物を育て、材木を伐採した林業をしていそうな家屋も見られ、村の活気を少し感じられていった。


 追っていた男はその山の斜面、家の裏側は竹藪が多く茂ってる場所に住んでいる様で、今の私にとって身を隠しながら行動が出来て好都合だった。

 このような場所に陣取るのなら、恐らく筍の収穫か竹細工を生業にしてるのだろう。


 私は少し深く藪に入り、男の家の背後からその家に近づいて行った。



 周辺の物、念のために物置っぽい小屋を調べ、地下室のような入口などを探してみる。本当にただの物置で地下への扉らしくも無く、特に異常は見られなかった。


 換気のための、恐らく台所と思われる下地窓から中を覗く。奥で先ほどの男性ともう一人、女性が何かを話している。その会話を聞けないかと、その部屋の外壁まで回って聞き耳を立ててみると

「・・・村のもの・・・本拠地に・・・大丈夫だ」


「でも・・・・・・やめて・・・危険な真似は・・・・・・」


 本拠地・・・恐らくさっきの集会場のことだろう。やはりあそこが怪しいことだけは分かった。


「〇✖@?▼■?」

「✖▼@@^¥■〇」


 ???


 後は、音声が聞こえても全く聴き取れない言語で終始、夫婦と思われるこの二人は会話をし出した。方言が激しいのか、まったくと言ってもいい程に日本語には聞こえなかった。


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