第104話 実は母親でした(その2)
「私の名前は月見里頼子。音羽は私の娘なの。仁君と始めて会ったのは……」
それから頼子は、音羽を守るために身代わりでデートに行ったことから始まり、今に至るまでの話を仁にした。
「……こんなおばさんだけど、仁君が好きな気持ちは嘘偽りもないわ」
最後に自分の気持ちを正直な気持ちを仁に伝えた。
「そっか、それで休日に会っているときと、学校で会っているときで態度が違ったんだ」
仁は頼子の話を聞き、今の態度と学校での態度が異なっていた理由を知った。
「頼子、2人の世界に入っていること悪いけど、1つ確認させてもらっていいかしら?」
「な、何かな? 恵子」
仁と頼子の会話を少し離れたところで聞いていた恵子は、突然、頼子に話しかけてきた。
「確認しておきたいのだけど、娘がいるって言っていたけど、まさか既婚の状態で仁と付き合っていないわよね?」
「それは大丈夫。娘が小さいときに別れているわ」
「そう。それならいいわ。話を続けてちょうだい」
恵子は頼子が既婚かどうか尋ねた。それは既婚の状態で異性と付き合うと不倫にあたるため、仁に不利益が被るためであった。確認を終えた恵子は再び口を閉じ、仁と頼子の話し合いを再開することになった。
「今までデートをしていた相手は、月見里さんということで間違いないんだね」
「そうね。それは全部私よ」
仁は今までデートした相手が頼子であることを確認した。
「そっか。それじゃ僕が好きになったのは、目の前にいる月見里さん、いや、頼子さんなんだ。年齢や子供がいるなんて関係ないよ。だから、今まで通りの関係を続けて欲しい」
「私もよ。仁君大好き!」
お互い好きになってしまうと、頼子の年齢や子供がいる何て言うことは、仁にとって些細なことのように感じられた。2人はお互いの気持ちを確かめた後、恵子が見ているのを忘れ抱き合いキスをした。
「話は終わったようね」
仁と頼子の話が終わったのを見計らって、恵子が2人に話しかけてきた。
「「あっ!」」
完全に2人の世界に入っていた仁と頼子は、恵子がいたことを完全に忘れていた。それに気が付いた2人は慌てて離れた。
「仁、少し彼女を借りるわよ」
「えっ?」
恵子は仁に対して頼子を借りると宣言してきた。仁はそれがどういう意味か判らなかった。
「久しぶりに会ったのだから、語り合うに決まっているじゃない。頼子も良いわよね?」
「で、でも」
「でも、じゃないわよ。そんなに嫌がるのなら、私のことをお義母様って呼ばせるわよ。ほらほら、親友のことをそう呼びたくなかったら付き合いなさい」
恵子は頼子の背中から手を回し、拘束してしまった。嫌がっている頼子であったが、呼び名のことを言われてしまうと、大人しくするしかなかった。
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