私の代わりに

1回の量は3ミリリットル

その中に3億匹も泳いでいるんだって


透き通るように彼女は言った

湧き上がる入道雲を見つめながら


そのとき私が1番じゃなかったら

ここにいたのは別の私

名前も性別も同じだったかもしれないけれど

私じゃない私がここにいた


何を伝える表情なのか

彼女は少し顔を歪めて


3億もの私のなかで

なぜ私が1番になってしまったのか

この席を他の私に譲ってあげたい

私よりもうまく私をできる私に

自然と光に向かって歩けるような私に


学校の屋上は汗ばんでいる

立ち入り禁止の秘密の宇宙

彼女の引力にとらわれた僕は

少しの潮汐力を与えながら

くるくる近くを回るだけ

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