「まずは、マスコミ対策よ」

 そう言ったオトゥはわずかに目を細めた。


「燃え盛る街と、市外への避難で幹線道路を埋め尽くす車列の映像が、マスコミを通じて日本中にまき散らされたら、平和ボケで自分の血を流したくない、やわな日本国民は戦意喪失。左翼も暗躍して、日本政府はあたしたちとの交渉のテーブルにつかざるを得なくなると思うの」

 ドードは唸る。

「無差別で、民間人を標的にした攻撃は国際法違反。国連ひいては国際世論が我々を批判するじゃろうし、何よりも安保条約の履行を名目に、新兵器投入でその実用性を測り、国内軍需企業の受注チャンスとばかりに米軍が出てきたら非常に厄介じゃ」


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