かぶりを振ったオトゥの口元に、薄く笑みが浮かんだ。

「アメリカは手を出さないわ。我が国の諜報部員がそれを見越して、アメリカ議会にロビー活動を仕掛けているの。だから暮佐市内に弾道ミサイル迎撃システムを展開するのがせいぜい。アメリカ議会、アメリカ国民共々内向きで、来年の大統領選挙での再選を目指すドラッカー大統領は、地球の反対側の黄色い人種のために米兵に戦死者が出ることは何が何でも避けたいはずよ」

「うむ」

「短期間の局地的戦闘で済むわ。全面戦争にはならないはずよ」


 目を細めて聞き入っていたドードは、そこで二度頷いた。

「さすがは出来の良い我が娘。しっかりと手を回してあったか。感心じゃな」


 かくして、オトゥは追加攻撃の言質を取ったのであった。

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