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学校の授業が終わったところで、友達の山本虎が「兎。海に泳ぎに行こうよ」と言った。いつも明るくて元気な虎は、今日も朝からずっと笑顔だった。
「水着持ってきてない」と勉強道具をかたずけながら、兎は言う。
「わたしの貸してあげるよ」とうずうずしながら虎は言う。(幼馴染の虎とは小さなときから、水着の貸し借りをよくしていた。ほかの友達とはもちろん、そんなことはしなかった)
「いいよ。別に。それにそんなに泳ぎたくないし」と小さく笑って兎は言う。
「兎。泳ぐの好きじゃん」と虎は言う。
「うーん。どうしようかな?」兎は悩む。
海に行って、泳ぎたくないわけではなかった。
それから、元気な虎に押し切られるようにして、兎は「わかった。いいよ」と言って虎と一緒に海に泳ぎに行くことにした。
「やった!」とはしゃいで虎は言った。
兎や虎のように地元の子供たちが泳ぐ秘密の場所があったので、(小さな子供のころから、よくそこでみんなと一緒に泳いでいた)二人はいつものようにその人気のない砂浜に自転車を漕いで行った。
海辺に吹く風がすごく気持ちよかった。
いつものように砂浜に着くと兎は水着に着替えようとした。
すると驚いたことに、虎は白の上着と紺色のスカートという学校の制服の下に水着を着ていた。兎の横で虎は制服を大胆に脱ぎ始める。そして自分の鞄の上に制服を無造作にたたみもしないで置くと、競泳水着のような紺色の水着姿になって(あれを着たままで授業を受けていたのか。すごいな)「先に行くねー!」と兎に笑顔で言って、海まで走って行ってしまった。
そんな虎を見て、兎は目を大きくして驚きながら、相変わらず高校生になった今もずっと虎は小さな子供のままだな、と思った。(まるで本当の小学生みたいだと兎は思った)
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