第9話:盗賊が現れた!
早朝、俺たちが入ってきた場所とは真逆の門に向かうと、商人だろう馬車が集まった一団があった。
依頼を受けた冒険者だと話すと代表だろう人に合わせてくれた。
「本日は依頼を受けてくださりありがとうございます」
「俺はテオ。こっちは連れのエイシアスだ。俺たちも王都に行こうとしていたところだ。だから気にしないでくれ。それで」
「はい。馬車は三台。あちらにあなた達とは別に受けた冒険者がおりますよ」
「わかったよ。ありがとう」
「はい。よろしくお願いします」
俺たちは集まっている冒険者のところに向かい声をかける。
「あんたらが依頼を受けた冒険者か?」
男性二人、女性二人のパーティのようだ。
「ん? もう一つのパーティはあんたらか--ってえらい別嬪さんを連れているな。噂の二人組ってもしかして……」
男たちが俺とエイシアスを見てまさかといった表情だ。
「まあ、な。連れが迷惑をかけた」
「主よ、なぜ私なのだ? 弱いやつが悪い」
「少しは悪く思えよ……」
俺は大きな溜息を吐く。
「それで俺たちは前二台の場所を守ろうと思うが、二人は後ろで大丈夫か?」
「それでいい」
それから自己紹介と少しの雑談をして馬車が王都に向けて出発した。
一緒に乗っている商人の話しでは王都までは三日とのこと。
「赤丸ならすぐ着くのだがな。馬車の何がいいんだか」
「こうやってのんびり旅をするのがいいんだ。その方が旅をしている感じがするだろう?」
「私には理解できなんな」
「さようで」
一日目は何事もなく終わった。
二日目の昼時。
「ん?」
横になって昼寝していた俺はふと目が覚めた。
一緒に横になっていたエイシアスも目が覚めたようだ。
「魔物ではないな」
「だね」
俺の言葉にエイシアスが頷いた。
商人に伝えると、すぐに戦闘の馬車に伝えられ警戒しながら進むことに。
エイシアスは再び目を瞑ってしまった。
しばらくすると馬車は二十人の盗賊に囲まれた。
「荷物すべてを置いてけ、抵抗しなければ命だけは助けてやるさ」
なんとも胡散臭い。
「アニキ、あの女はどうします?」
「ん~?」
エイシアスに顔が向けられ、笑みが深まった。
盗賊が何を考えたかは理解できる。
エイシアスもその視線を感じて不快さを顔に出す。
「そこの女。お前は抵抗しなければ――」
「喋るな」
指を鳴らすと口を開いた盗賊の首が弾けた。
うん。容赦ないけど、当然だよね。
目の前の光景にすべての者が押し黙った。前方でも見えていたのか場が静かになる。
「俺は前のやつらをやってくる」
「わかった」
俺は移動する。
「ま、魔法使いの女を先に殺せ!」
盗賊の合図で戦闘が始まった。
始まったのだが、エイシアスがいた場所からは悲鳴が聞こえた。
「盗賊は任せて馬車を護衛してくれ」
「だがあんたはFランクだろ! この数を相手に無茶だ!」
「そうよ。私たちも戦うわ!」
「いいって。すぐ終わるから」
盗賊は先頭に立った俺に向けて剣を振るった。
「死ねぇ!」
「話の邪魔をするな」
殴り飛ばすと盗賊の上半身が消し飛んだ。
血は重力を操れるので俺にかからない。
「任してもらうぞ?」
「あ、ああ……」
冒険者たちは目の前の光景に驚くのと同時に、俺の言葉に頷いた。
「さて、汚物は処分しないとなぁ?」
俺が腕を振るうと一人の盗賊を残して消し飛んだ。
残った盗賊は尻もちを着き、ゆっくりと近付く俺を見て完全に怯えていた。
「さて、根城はどこだ?」
「し、知らね! 俺たちで全員だ!」
「へぇ……アニキって呼んでいたからてっきり根城があると思ったんだが? 教えてほしいなぁ?」
「だ、だから知らない!」
なおも否定する盗賊の顔に近づく。
「この俺が丁寧に頼んでいるんだ。話さないと殺すよ?」
「ひぃ⁉ は、話すから! 殺さないでくれ!」
「いいから話せ」
威圧すると盗賊はべらべらと喋り出した。
「ぜ、全部話した! これで俺を助けてくれ――」
瞬間、盗賊の身体が弾け飛んだ。
その光景に冒険者が目を見開いていた。
「……助けるって話じゃないのか?」
「殺さないとは言っていない。それに、盗賊は死んで当然の害虫だ」
「そうか……」
「お前たちは少し待ってろ。話だと根城に囚われた人がいるらしい。少し行ってくるわ。エイシアスはどうする?」
戻ってきたエイシアスは「寝る」と言って馬車に戻ってしまう。
俺は一人で根城へと向かうのだった。
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