第3話
まあ、ああいう思考を持った人が変わるには、相当な力が必要です。
だから、まだあまりにも幼く、無知なあの時の彼には、変わるなんてことは到底無理な話でした。
そして、そうした行動は、彼が成長するにつれてさらにエスカレートしていくことになります。
ある日、彼は施設の皆と一緒に河原でバーベキューをしようと言うイベントに参加することになりました。
ところが、ひどいうっかり者がいたものですね。なぜか肉を誰も持ってきていないという事態が発生したのです。もうバーベキューどころじゃなくなり、せめてもと職員たちは子供達を河原で遊ばせていました。
しかし、またまた事件が発生しました。
彼が突然いなくなってしまったのです。
ついさっきまで河原に、一人でボーッと突っ立っていたのに、気づいた時にはもう行方不明になっていたのです。
さあ大変。皆はもう大騒ぎして彼を探しました。
まあ、最終的に彼は見つかったんですけどね。
でも、あまり歓迎されませんでした。
なぜかって?そりゃあ、5歳くらいの男児が、動物の死骸だらけの森で、血に塗れた姿でニコニコ笑っていたら誰だってプラスな気持ちにならないですし。
もう少し具体的にお話ししましょうか。
なぜ、彼が動物の死骸だらけの中にいたのかって。
捜索活動中、通報されて駆けつけた警察官のうちの一人が、河原近くの森の中を探していたら、どこか奥から奇妙な鳴き声、
ギャギャギャギャギャギャギャ
否、変な叫び声が聞こえたのです。
当然、その警察官は、慌ててその声がする場所へ急ぎました。すると………………………
思わず鼻を覆うほどの臭気が漂う、首があらぬ方向に曲げられ白目を向いている獣たちの死骸。死骸。そこらじゅうに横たわる死。
そして、彼が、ギャー、グエー、ボボボボと訳のわからぬ悲鳴をあげる鳩の首を絞め、同時に本当に楽しそうに笑い声を上げている。楽しそうに、喜ばしいことのように…
そういう現場を、「普通」の人間である若い警察官は嫌というほど目に焼き付けられました。
まだこの話は終わりじゃありませんよ。
彼は次に、呆然とへたりこんでいる警察官に気づくと、こう言ったのです。
『これで、みんなお腹いっぱいお肉を食べられるね!!』
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