第12話 クラスチェンジしよう


【スキルブック 魔術士】

 必要レベル : なし

 腕力 10%↘

 知力 20%↗

 俊敏 10%↘

 頑丈


 頑丈に補正が無く、知力が高いクラスだ。

 早速スキルブックを胸に当てると、光を発して消えた。


 まずはステータスの確認をしよう。


【ケント Human Lv.7】


〚クラス 魔術士 0/50〛⁡

 体力 : 640

 魔力 □□□□□□■■■■

 腕力 : 116

 知力 : 154

 俊敏 : 116

 頑丈 : 128



 無事にクラスチェンジ完了だ。魔力を結構使ってたんだな。

 

 次のページは……。



〚アビリティ〛⁡

 全属性適性

 混成

 銘記

 

〚固有スキル 戦士〛⁡

〈アクティブスキル〉

 強撃 剛健 Lv.1

〈パッシブスキル〉

 物理攻撃力上昇 Lv.1



 あれ……?

 戦士残ってるけど。


 よく見ると、ウィンドウ内の固有スキルがタブで分かれている。



〚固有スキル 魔術士〛⁡

〈アクティブスキル〉

 ファイアボール

〈パッシブスキル〉

 魔法攻撃力上昇 Lv.1


 

 あった。

 魔術士の固有スキルだ。


「えっと……先生」

「はい?」

「魔術士のスキルブックで戦士の固有スキルは消えますよね?」

「えぇ、もちろんです」

「……残ってるんですけど」


「……はぁ!?」


 エルミア先生は、少し間を置いて叫んだ。


「見間違いでは……? 確認してみなさい」


 何度見ても同じだ。

 間違いなく固有スキルが混在している。


「間違い……ありません」


 スキルブックを渡してくれた人族の男性は、口を開けたまま僕と先生を交互に見ている。

 

「ちょっと来なさい」

 

 先生は僕の手を引き階段を駆け上がった。


「えっ、どこ行くんですか!?」


 適当な部屋に押し込まれ、エルミア先生は息を整えた。


「まず聞きますね……あなた、全属性適性の他にアビリティ持っていないですか?」


 混成……は関係ないよな多分。

 どちらかと言えば。

  

「銘記というアビリティがありますね」


〚銘記〛⁡

 心に深く刻みつけて忘れないこと。


 あ……そういう事か。

 マルコスのフルネームを忘れないって意味で口走った言葉が、まさかのアビリティに……。


「このアビリティで本来消えてしまう固有スキルが消えないで残っているという事ですかね……」

「そうでしょうね……聞いた事のないアビリティだわ……ちょっと待ってなさい」


 先生はバタバタと部屋を出て、すぐに戻ってきた。


「聖職者のスキルブックです。取り込んでみて」


 言われるがままに胸に押し当てる。


 

〚固有スキル 聖職者〛⁡

〈アクティブスキル〉

 水弾アクア グロブス

〈パッシブスキル〉

 魔力継続回復 Lv.1


 

 タブが一つ増えた。


「全部残ってます」

「信じられないわね……ケント君、あなたこの世の全てのクラスを覚えられる可能性があるという事ですよ。実際は難しいでしょうけど……」


 なんて事だ、ここで思わぬ能力が……。

 ウィンドウを眺めていると、もう一つタブが並んでいるウィンドウを見つけた。


「先生、スキルセットも三つあります」

「なんですって……? 戦闘ごとにスキルセットを切り替えられるという事ですか?」

「はい、そうみたいですね」


 スキルセットのタブを切り替えると、合わせてステータスも変化した。

 三通りの戦闘スタイルを組めると言う事だ。


「上位のスキルブックを貰うには、ここに来るんですよね? 複数受け取るとなると変な顔されますよね……?」

「えぇそうね……分かりました。レベル20に達してその時が来たら、わたくしを尋ねて来なさい。用意しますから」

「本当ですか? よろしくお願いします!」


「……あと、あんまり人に言わない方がいいですね。もっとも、自分のアビリティを他人にベラベラ喋る人も珍しいですが」

「分かりました……」


 

 先生と受付カウンターに戻った。


「彼の講習が一日早く終わったの。請求金額の修正お願い出来るかしら?」

「分かりました。少々お待ちくださいね」


 二教科分が半額になり、31万ダルになった。


「それなら今支払います」


 明日はソロで狩りに行ってみる予定だ。明後日はララノアと行ければいいな。

 手持ちは数万ダルある、十分だ。


「先生、ありがとうございました。またよろしくお願いします」

「えぇ、いつでもいらっしゃい」


 先生と受付に頭を下げ、学校を後にした。


 もう陽が西に大きく傾いている。

 夕飯には早いが、クラスの把握とスキルセットが必要だ。いつものカフェに行こう。



 ◇◇◇

 

 

 アイスティーを頼み、オープンテラスに座る。


 明日はソロで狩りに行く予定だ。

 やっぱり防御力の高い戦士をベースにするのが良いか。


 ソロとなると魔力の管理が必須だ。

 まずは聖職者の固有スキルを確認しよう。


 

〚魔力継続回復 Lv.1〛⁡

 常時、自身の魔力回復速度がアップする。効果極小。


 

 これは嬉しい。

 通常時で魔力が1マス回復するのに3分かかる。剛健を使用して魔力を消費し、検証してみた。


 結果、一マス回復するのに1分半かかった。回復速度は倍になっているようだ。

 15分あれば全回復する。Fランクモンスターなら魔力が満タンであれば倒せる。


 

〚スキルセット 戦士〛⁡

 強撃

 剛健 Lv.1

 ――

 魔力継続回復 Lv.1

 物理攻撃力上昇 Lv.1


 

 魔術士はソロには向かないだろう。

 二つのクラスも同じように熟練度を得られるはずだ。

 

 よし、明日が楽しみだ。

 

 ハンターギルドに伝言を残そう。

 明後日の朝に待ち合わせできるよう、リザさんに声を掛けた。

 

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