第5話
「お嬢さんもう戻ってきたのかい?」
言われると思った。青い鳥を見つけられずにすごすごと帰ってきたのだから。
絶対にユキさんなら根性がない、能力がないと遠回しに言うだろうと思いつつも、それ以上に他の国に疲れて帰ってきてしまった。身構えていたのに、喉元に何かがせりあがってくる。必死に押さえつけなければ泣いてしまいそう。
惨め。こんな自分は酷く惨めだ。
「少し疲れただけです。」
事実と虚勢を混ぜたような苦しい返答で誤魔化そうとしたのに、
「私と一緒に行ってみるかい?」
思いもよらない返答に少したじろぐ。別に私は1人でいいのに。
「あ…」
1人でいいのに。なんで、私はホッとしてる?
「お嬢さん、あんたが行ってないところがあるはずだ。」
ユキさんは動揺する私を置いて話し始める。
「言い方を変えよう。私についてくる気はないかい?」
「…行きます。」
疲れていたはずなのに。ユキさんが来てくれるからなのかもしれない。
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