Birthday?(日本語)
この世界には電気がない。おそらく俺が呼ぶところの中世時代あたりだろう。
だからこの部屋で考え事をするのは特につまらない。夜に明かりを灯すのはランタンだけ。木の壁に石畳の縁取り。
質素な修道院だが、まあ役目は果たしているんだろうな……
……
これまでと変わらず、ただ考えていただけだ。この世界での俺の「平均的な日常」といえばこんな感じだ。まだ何をしたいか結論は出ていない。
ある日のこと、ミズキが部屋に来て食堂に行けとうるさく言ってきた。
なぜ行きたがっているのかわからないが、とにかくベッドから出て廊下を彼女の後ろについていく。
まあ、まだ病気だと思われているし、悪いことではないだろう。
食堂に入ると、修道女たちとテーブルの上にある小さなケーキが目に入った。ケーキにはアイシングで「9」と書かれている。
何だこれ?サプライズパーティーか?
皆期待するような目で俺を見つめている。でも……何が何だかわからない。
俺が戸惑って立っていると、修道院長のアルケミラが首をかしげて話しかけてきた。
「カイ……誕生日って、喜ぶものじゃないの?」
「えっ?誕生日……?誰の?」
「あなたの誕生日よ」
俺の誕生日?
そうか、時間の感覚が狂っていて忘れていたけど、確かに前世の9歳の誕生日もこの時期だった気がする。
きっと修道女たちはこれを計画していたんだろうな……気づきもしなかったけど。
「そうか、俺の誕生日か……えっと、ケーキありがとう?」
当然、無愛想な反応に修道女たちは文句を言ってくる。考え事してたんだから仕方ないだろ!
ミズキとアエラリアに急かされ、テーブルに座らされると、他の修道女たちが歓声を上げる。
どう見ても俺よりも彼女たちの方が誕生日を楽しんでいるように見える。チッ……本当におせっかいな連中だな。でもちょっと笑える。
ケーキを拒もうとするが、どうせ食べても吐く気しかしない。それでもアエラリアに痛い耳をひねられ、「感謝しなさい」と叱られる。
「わかった!わかった!食べるよ!」
しぶしぶロウソクを吹き消し、一口食べる。まあ、この世界の基準では悪くない味だ……日本で食べたほうがうまかったけど、気持ちが大事だよな?
本来ならここで写真を撮るところだが、この世界にはカメラなんてない。
だから俺は修道女たちに向かってサムズアップするだけだ。
ノエル: すべてをやり直すために (第二の並行世界にて) ZetsubØ @TachikomaNarou
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