賽子


 さいころ振った 壱が出た

 真っ赤な一つ目見ていたら

 窓辺の夕陽になっていた


 さいころ振った 出たのは弐

 空虚な双眸並ぶけど

 彼の人のふたつは綺麗だな


 さいころ振った 参が出て

 三つ子は今日も仲良うて

 じいっと此方を見つめてる


 さいころ振った 肆の目出た

 ちょいと聞こえが悪いから

 「し」を「詩」と、「うた」と、読んでみる


 さいころ振った 伍が出たら

 姐さん、間夫と碁を打って

 綺麗な簪もらってた


 さいころ振った 陸の目か

 六華舞う頃、息白く

 只管ひたすら彼の人想ってる


 ひふみよいつむ

 人不見世何時夢

 

 ねえ神様、一度で良いから

 ころりと賽子さいころ振りなんし

 あちき如きが振ったとて

 誰の願いも叶いんせん



 「あーがりっ」

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