説明:三話

「うん?」

目が覚めるとまだ床で寝ていたが、今度は明るい、それに魔女が住んでいると一目で分かるような部屋の中で寝ている

動き回る本棚、円い天井に書かれている丸太に描かれていた模様とは少し違う魔方陣、ぐつぐつ煮えたぎる鍋をかき混ぜる少し人間のような白と黒のネズミ

だが机は無い

「確かに『今までの常識はほぼ覆る』は合ってるな....」

「太郎さん何処にいるんですかー」

「はーい」

やっと声が返ってきた

「ちょっと待ってね~」

そう言うと天井から太郎さんが降りてきた

「えっ?何処から」

「天井の魔方陣」

そう言われて天井を見上げたが、模様が変わっていた

「そうですか....」

「昨日はしっかりと寝られた?」

「まぁ、はい」

「暗かった?」

「はい」

太郎さんは周りの明るさとか分かるのかな

「昨日の真っ暗な部屋ってなんですか?」

「.......。」

「中継地点だよ」

「そうですか.....」

切り株の魔方陣は瞬間移動の魔法じゃないのか....

てか、魔方陣ってなんだ?


「てか、それ君の友達?」

「へっ?」

「頭に変なの乗ってるよ」

「えっ?」

恐る恐る頭に手を伸ばしてみると

何かに指を舐められた

「えっ、太郎さん⁉何が僕の頭に乗ってるんですか⁉」

「わかんない」

えぇ....

「取ってくださいよ‼」

「無理、めんどくさい」

なんで⁉

「まぁいいんじゃない?」

「本当はここにいるものじゃないけど、見た目だけは可愛いから」

「それに生き物じゃないから....無視してたら勝手に消えるよ、多分」

そうですか....


その後、頭に乗っている何かを無視しながら太郎さんと話し合いする事にした

「まず、僕は何のためにここに来たんですか?」

「それは私の夢を叶える手助けをしてもらうため」

「もちろん、君の身の保証もするし、君の望みも一つだけなら叶えてあげる」

「契約しないとダメだけど」

「そうですか.....」

「ちなみにその夢っていうのは?」

「魔王の卵を破壊する事」

「えっ?」

急にゲーム的

「魔王の卵って言ってもほんとの卵じゃないからね?」

「へー」

「そして、その魔王の卵を破壊するのに必要なのは人間がいる」

「その人間って?」

「フリギッド、前に少し話した犯罪者」

フリギッド....日本人の名前じゃないのか

「それで、そのブリギッドさんってどこにいるんですか?」

「自分で滅ぼした国の跡地」

「.....。」

「人を殺しても心を無くしたわけじゃないから、手助けをしてくれると思うよ」

「多分」

「多分、ですか」

「うん」


「あと、君は魔法を使えないからね」

「はい....えっ?なんで?」

「まず、魔法は魔力という個を歪ませるエネルギーを操る事で使える力、人間なら魔法で戦えるようになるまで三十年はかかる」

「私達にはそんな時間は残されてないし、その三十年も才能ある人間が努力したからこそ得られた結果だから君には絶対無理」

「分かった?」

「はい....」

努力と才能が必要な力で時間も必要

ゲームじゃないから当たり前か....


「大丈夫?顔色悪いよ?」

「少し気分が落ち込んだだけですから....大丈夫です」

「そっか....」

「.....。」

「君の頭に乗ってた奴を君と混ぜたら、多分、魔法を使えるようになるよ」

「多分」

「どうする?」

デメリットとか聞いてないけど

「お願いします‼」

「それじゃあ、合体する前にちょっとした特訓をしようか」

「はい‼」

そういえば、頭の上に乗っていた何かって本当に何者?

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