特訓:四話

特訓の為に必要な物を取りに太郎さんはまた消えた

数分後


「じゃあ、まずはこの薬を飲んでみて」

ティーカップになんとも言えない色の飲み物が入っている

「何ですか?これ」

「骨を強化する薬だよ、魔法を使った時の反動に耐えるために必要なの」

「本当は基礎的な身体強化の魔法を最初に学ぶのが当たり前なんだけど、そんな時間は無いし、ただ薬を飲むだけだから楽だし、安心安全だよ」

「そうですか....」

匂いはちょっと栄養ドリンクに似ているが....

時々小さな泡が出てくる

「ちなみにこの薬はどうやって作ったんですか?」

「鍋で材料を混ぜただけだよ、材料については....まぁ気にしなくていいよ」

「はい....」

そう言われて鍋の方を見たが、ネズミ達はいなくなっていた

「味は知らないけど、クイッとどうぞ」

そう言われて思い切り飲んでみたが、ドロドロした液体がゆっくりと流れ、味としてはさっき食べたパンと似ているが、美味しいとは言えない

「飲みきった?」

「はい、なんとか....」

「頑張ったね~」

「あと、魔力が暴走しても塵にならないようにする薬、魔法が暴走しても爆発しないようにする薬、体に魔力に馴染みやすくする薬など全部で二十種類飲んでね」

「さあ、頑張ってね」

「はい、頑張ります....」

それからほぼ同じ味の液体を二十回、大きめのティーカップで飲み

何度か吐きそうになったが、休憩を挟みつつ飲みきった


「うん、全部飲みきったね」

「もし吐きたくなったら言ってね、無理矢理押し戻すから」

怖すぎる....

「はい...ウプッ、問題ないです....」

「ならいいけど」

キツい...数日間は何でも同じ味に感じそうだ

それにあの時食べたパンも同じ味だったし、もしかするとあのパンもなにかの薬だったのかな


「それじゃあ特訓は終わり、基礎を学ぶ為の十八年分は進んだと思うよ」

「ほんとですか....」

実感はあまりないが

「まぁ、今は魔法に耐えれる体になっただけだし、魔法が使える訳じゃ無いよ」

「へー」

まだ魔法が使えないのは少し気になるが、薬を飲むだけでそんな力を得られるなら

文句は言えないな

「それに今回はあいつと戦う必要もないし、理由も無いから大丈夫。まぁあいつの気分次第だけどね」

『あいつ』ってのはフリジッドさんの事を言っているんだろうか?

「それじゃあ、剣技とか教えてくれませんか?」

「....。」

「あの、太郎さん?」

「今の私がどんな状態か分かってるよね?今は人の形でもないし、それに私は昔から魔女だよ?剣技を学びたいならフリジッドに学びな、分かる?」

「あっ、すいません」


「それじゃあ明日に備えて今日は寝な」

「床で」

床で....

「この家にベットとかは無いんですか?」

「ないよ、使い魔の忠義と忠誠のベットだけ」

「そうですか」

まだ怒ってる....

それに忠義と忠誠、やっぱり太郎さんのセンスがおかしいだけだな

「それじゃあ、おやすみなさい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「不明」 山科宗司 @Impure-Legion

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ