最終話 雨上がりの空と二人の明日


(寝室のカーテンを開けると雨上がりの夜空が広がっていた)



「これから寝るって時になったら雨が上がるんだから、もう」



「でも、この雨のおかげで予定より有意義な一日になったね」



(彼女が隣に立つ、あなたに寄り添う)



「……わかっていると思うけど、これから色々大変だよ?」



「勉強することも多いし、うまくいかないことも多いと思う」



「お互い、精神的にも肉体的にも疲れ果てるかも」



「……ふふっ、そうだね」



「そんな時は今日みたいに充電して癒やせばいいか」



「お互いを抱き枕に二度寝をして」



「ちょっと遅い時間に朝食をゆっくり食べる」



「いつもは手が回らない家事をしたら」



「二人でじゃれ合いながらゲームをしたり、映画を見たり」



「夜はお酒を飲みながら料理を堪能する」



「ささやかで平凡な、でも幸せな今日みたいな時間を」



「また、過ごせばいいね」



(カーテンを閉める音)



「……ベッドに入ろうか」



(二人でベッドに入る。マットレスが沈み布団をかける音)



「ふう。また明日からお仕事だね」



「好きでやっている仕事だから働くのは楽しいけど」



「夜まで彼氏くんとお別れなのは寂しいかな」//微笑しながら



「今日は一日中、一緒にいられたから特にそう思っちゃった」



「……ふふ、さすがにわかるよ」



「彼氏くんも同じこと、思ってくれたんでしょ?」



(彼女があなたの頬に手を伸ばす)



「でも頑張らないとね。夢のためにも」



「それにメリハリがあった方が楽しいでしょ?」



(彼女が伸ばした手を優しく握る)



「家に帰ったら彼氏くんがいて、おいしいご飯を食べて」



「甘えることが出来ると考えたら頑張れるよ」



「だから彼氏くんも頑張って。あたしがいっぱい、癒やしてあげるから」



「……そろそろ灯り、消すね?」




(枕元のライトを消す音)




「今夜は、いい夢をみれそう。それとも朝までぐっすりかな?」



「例え悪夢で目が覚めたとしても」



「隣にいる彼氏くんの顔を見たら大丈夫だと思うけど」//微笑



「……そうだ。今日はあたしの夢の話をしたけど」



「彼氏くんの夢って聞いたことないな」



「……特にこれといった夢はない?」



「うーん。確かに社会人にもなれば、あんまり夢ってないかもしれないけれど」



「強いて言えば一つある? 教えて教えて!」



「…………彼氏くんさあ」



「そういうとこだよ、本当もう」



「あたしの隣にずっといられるといい、なんて」



「聞いている方が恥ずかしいようなこと、いつもの調子で言うんだから」



「……もちろん嬉しいけど」//ぼそっと



「何でもなーい。それより今日二回目の抱き枕を所望しょもうしますっ」



(彼女があなたに抱きついてくる)



「うん、朝と変わらずいい抱き心地」



「それじゃあ、おやすみ。彼氏くん」



「明日の朝ご飯はお願いね。トーストと牛乳と、ヨーグルトと」




(唇が触れる音)




「あとベーコンエッグが食べたいな」//微笑みながら

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