🔮パープル式部一代記・第五十〇話
『うぬ~~! たかが にょうぼう ふぜいが!』
そう思ったいがぐりは、わざとらしく、「あっ! ひっかかっちゃった!」そんなことを言いながら
そして、小舟といえば方向を変えて、自分の頭の上にバラバラと振ってくる。
「あいたたたっ! え……?」
「お行儀が悪うございますよ……」
暗黒女房は、そんなことを言いながらにたりと笑っていた……。
『いま、いま、この にょうぼう、へんなモノもってた!』
「こ、この にょうぼう へん! へんなものもってた! それで、ながこに、ふねをぶつけた!」
いがぐりは必死に周囲に訴えてみたが、「
そう、
この程度、寝ぼけた
「やめろよ、ひとの装束に変なモノ隠すの……」
「州浜……まだします?」
「う――ん、まあ、見ている分にはおもしろいが、帝に見つからんうちに早めに切り上げるか……」
道長はそう言いながら、帝がまだ
「み、みえるわよっ! とうぜん! えっと、えっと……む~~この ものがたりは~~おひめさまね! ながいかみのひめぎみがいる!」
「そうそう……それから?」
「えっと、えっと、じゅだい! おひめさまは~~みかどの、おきさきさまになって~~」
「おやおや……本当に見えていらっしゃいますか?」
「~~~~」
そんなこんなですっかりやり込められたいがぐりは、おもしろそうに残してもらった小舟を、おもちゃにして遊んでいる
彼女は、史実においては一条天皇に、「ことのほか大切にされた品位に溢れた内親王」そんな記録が残っているが、その日、ようやく一条天皇が我に返ったときには、(
「は、はやく、むかえにきてね! いつも、えっと、えっと、ながこに、いろいろと ありがとう……」
「まあ……内親王さま。もったいなきお言葉……」
日がたつにつれ、なんだか随分と丸くなってきた
***
〈 ある日の藤壺 〉
「えっ!? ななしが、あの あんこくにょうぼうの てさき!? え、ちがっう!? むすめ!? きっと、ななしは、さらわれてきたんだわ!」
「そんなことありませんよ。優しい母ですよ?」
「え……どこにそんなところが? ななし、だまされてるってば!」
「ないしんのうさま……きびしさも、ときには愛なのですよ?」
「~~~~(こいつ、あんこくにょうぼうに、こころまで しはいされてるっ! はっはやく、ここから にげないと、わたしもいつか、こんなことに……)」
そんな会話を
「くそ~あの、あんこくにょうぼうめ~~」
なお、内親王にいつもついてきていた「
一条天皇の愛猫・
そんな事件があり彼女は、とにかく誰が見ても素晴らしい存在になって、藤壺へ通わないで済むようになろう! そんな目標を立てていたとか、いなかったとか……。
なお、一条天皇崩御のあと、彼女は道長と
「あんな女の思い出なんか絶対に思い出したくない!」
「へ!?」
無理矢理住み込んだ
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