🔮パープル式部一代記・第四十四話
〈 時系列は元に戻る 〉
その日、
そう、計画通り、「
「母の……女院さまの厳しさは、子としてはどうかと思っていたけれど……その厳しさのおかげで、朕は、まともに育ったってこと?……え? 育て方を間違ったかな?」
「お
「う――ん、
「お
***
「いがぐりな――計算外……」
「殿? なんですのソレは?」
「地獄からのお見舞い……
「殿、
「そうかもね……」
妻の
***
〈 翌日の
「やれやれ大層な物を見舞いにやってしまった。また取材用に新しいものを用意せねば……あれまだ新しかったのに……」
そんな風に
「こ、これはっ! あの妖怪墨配りがくれた品……しかも今回は十二本セット! さすがは左大臣……しかしこの墨はなにやらよからぬ黒い権力の香りがする……ま、いいか……墨に罪はない……」
***
「ただいま帰りました――」
「おお、早かったな
「はいっ! 母君に頂いた様々に美しい形の揚げた菓子・唐果物も好評でございました!」
「そうか……」
幼い
さすがは、「人たらし」の娘。彼女の笑みは
産んだ覚えのない娘ではあるが、
「どうかなさいましたか?」
「いや、ほんにそなたは父に似ておるな……」
常人が見れば、ただの暗黒色の不気味な笑みであったが
「あっ! そういえば、近々、藤壺にいがぐりが届くそうですよ!?」
「いがぐり……秋でもないのに?」
が、もうそんな、「ご乱心」といった装束スタイルにもすっかり慣れ切った沢山の女房たちをよそに、
「ひとこと! ふじつぼのにょうぼうどもに~~! この さねすけが、ひとこと、あ、ひとこと、この さねすけが~~ものもうしまする~~」
それだけで、
「なんと、なんと、そのときでございました。さねすけどののまえに、あらわれたのは~~! はっ!」
あいの手が入り、小さな真っ赤な
「われら、ふじつぼ、さんれんせん! われらは、ちゅうぐうさまを、おまもりするおやくめ! そなたは、ちかづけさせぬ! まずは、われらと、しょうぶ、しょうぶ! さあ、いざいざ、いざいざいざ!」
そう言って、ちっちゃい
「なにこれ本当にやったの!? 再現度高すぎる!」
「これは、全貴族に見ていただきたい!」
そんな風な言葉と共に、藤壺の母屋には我慢しきれずにこぼれた笑いが広がっていた。そんな騒ぎのあとで、珍しく
「え? もうすぐ栗ご飯が食べられる? そんな話は聞いていないけど……季節外れだし……」
「そうか……まだ、考え中なのかな……残念……」
「それにしても、さすがは
「え?」
「このお話、
「へ――」
***
あとからみなに、「さすがは、
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