第三章
🔮パープル式部一代記・第二十五話
〈
「きれい……」
「本当に麗しい……」
「……そうかしら?」
「そうですとも! 女院さまもお喜びになりますわ!」
そう言われていたのはもちろん
道長の腹違いの兄である
彼女は
「わたしが読んでいないときは、好きに好きな本を読んでいいわよ」
女房であるにも関わらず、女院さまにそう言われているくらいであった。なんとなく話し相手……そんな様子も透けて見える。
そんな
帝の行幸に向けて、
「ほら、お見舞いですから早く御几帳台(平安時代の天蓋つきベッドルーム)で寝ていてください」
「じゃあ、
「はいはい……」
そんな風に女院さまが
ちっ!
「あっ、そっ、かわいいわねぇ、
「おやおや、はじまったよ、道長さまの妻、頂上決戦……」「決戦ってそもそも
女房たちは、「コブラ対マングース」そんな対決? を陰でしばらく見守ってから、解散して行幸に備えて様々に頑張っていた。
「あれ?
「女院さまの暇つぶし……えっと、無聊をお慰めするのに呼び出しくらってた」
「あら大変……」
「もっと華やかな、できたら……せめて内裏の藤壺とかに勤める方が、まだお似合いなのにね……本物のお姫さまなのに……」
女房たちは、御几帳台の横で、延々と女院さまの愚痴に付きあわされているであろう、優しい人柄の
***
そんな
「これ読んで!」
「は、はい……」
あ、源氏物語……
「いづれの御時にか、女御、更衣あまたいらっしゃる中に……」
冒頭から読みはじめ……もう、喉が枯れちゃいそう……そう思い出した頃、ようやく女院さまはスヤスヤと眠り込んでいたので
「明日は、憧れの
「絶対に、絶対に明日はがんばってこれを
父、
「
「そうでございますか……」
そして翌朝の早朝どこからかやってきたらしき、すこし場違いな供人が連れてきた
「この子! この子が、
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