🔮パープル式部一代記・第十七話
さて、やたらと皇后・
***
『白波の よるにはなびく
(意訳:白波になびく藻のように、わたしの気持ちは揺れています。誰にもなびくことはない、そんな律儀な女ではないのです……)
***
その歌が示すように彼女には数人の子がいたが、「え? 誰の子かって言われても……う――ん……分かんない。産むには産んだから、わたしの子には間違いないです」そんな、女光源氏のような恋多く、ウワサに登ることも多い女である。
「ウワサを聞いてピンときたの……物語のいいネタが入るかもって……」
「中宮さまもお人が悪い……」
「ふ……ふふふ……」
そんな風に
幼い頃から内裏で鍛えられ? 酸いも甘いも分かってます……そんな様子の彼女は実に素晴らしい働きぶりで、藤壺の女房たちからも驚きと共に、すぐに一目も二目もおかれていたが、驚きはそれだけで終わらなかった。
「え……? 恋文が一日で……そんなに!?」
そう、藤壺、否、一条天皇の後宮はじまって以来! そんな衝撃が走るほどに彼女の
「おじゃまします……おや、だれもいない……そう、それならこのお宝の山(恋文の山)から少し失敬しても分からな……うわっ!」
積まれた歌の山に、こっそりと手を伸ばそうとしていた
「いくら女御さまのお気に入りとはいえ、ぶしつけでは……ありませんこと……?」
「…………」
手強い女……
「あの女、どうやって攻略したものか……なあ、道長、ちょっと行ってちょっかいかけてネタを拾ってきてくれない? たぶんその方が手っ取り早い……あの様子じゃきっと凄いお宝ネタを持っているよ、あの女……」
「ゆかり……いや、
そんなことを地位と名誉と権力が恋よりも大切な左大臣である道長は、物語の続きを受け取りながら言っていたが、ふと、いいアイデアを
「そういやさ、子どもの頃ってなんにも分かってないと思って、結構なんでも盗み聞きできたよな……」
「あ、それ、あるある話……」
ふたりの視線の先には、おびえた
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