🔮パープル式部一代記・第十四話
〈 引き継き、
「それは、よかったですね……あと、腕の痛みが酷いので、少しは書き溜めてあるのですけれど、物語の続きの執筆は、しばらく休みます……」
そんな、
夫婦は、帝の申し出で、後宮に無理やりつくらせた、写本専門の部署に寄って、写本で疲れ切った、美しい筆の跡だと推薦を受けて、ここに缶詰になっている女房たちに、激をとばしてから、やかたへ帰ろうと、豪勢な牛車に乗り込んでいた。
「殿? それは一体……?」
道長は、牛車の中で、ふところからおもむろに、紙の束を取り出していたのである。
「出来立てほやほや……さっき、
「さすが殿ですわ! 早く! 早く続きを!」
その頃、
「
「
「女御さまに訳を話すから、すぐに、
「はい?」
もちろん、新作の持ち出し話を聞いた
「きゃ――!」
「あたまが ぐらぐらする……」
「だいじょうぶ?」
「みどりこちゃん かわいそう あんなひとの とうばんに なったばかりに……」
「あ、わたし きのう えらいひとに いただいた かし みどりこちゃんにあげる」
後宮に戻った緑子は、同じように、藤壺の女御、
そして、緑子が寝込んでいる間、
「今日も寝不足だわ――」
「
「そんな嫌がらせ、気にする訳ないでしょ?」
「なにか良い嫌がらせはないかしら……」
彼女たちは、本を抱きしめて寝こけている
それから、かなり立って、万寿2年(1025年)、実は、血のつながらない、娘の
が、まだ、
そして、寛仁3年(1019年)出家した道長との付き合いは、相変わらずであったらしいが、『光る君』の本当の正体は、彼にも分からないままであったという。
まあ、とりあえず、
『その紙と墨を置いてゆけ……』
道長は、ゆかりに会ったその時、彼女に心まで置いていってしまったのかもしれない……。
そんなことを、臨終の間際に思ったとか、思わなかったとか……。
【 パープル式部一代記 第一部・了 】
追記:この場を借りて、「パープル式部」という、素敵な字名? を、ご教授くださった、洋の東西を問わず、読み出したら止まらない、素晴らしい歴史小説の数々を、絶え間なく生み出されている四谷軒さま https://kakuyomu.jp/users/gyro に、深く御礼申し上げます。あなたの読みたいが、ここに必ずあります。是非ご一読を!
かしこ
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