🔮パープル式部一代記・第十二話
「せ、僭越ながら、かっ、漢籍は通常の博士に御簾越しでの学びにして……い、いかかでしょうか、物語を、すべて“仮名”にて、
冷や汗が止まらない……そもそも、やんごとなき身分である姫君の自分が、なぜこうも根暗姉妹とでもいうような、このふたりに人生を振り回されねばならぬのか……女房は、そんなことを、ぐるぐる考えていたが、意外にも
「み、帝のお渡りでございます……」
「え……?」
あのやろう……わたしよりも先に物語を読むつもりね……原本は父君が持っているはず……。そう思った
「あら残念、炭と間違えて、燃やしてしまったわ……」
根が暗くて思い詰めやすい、そんな
やってきて、唖然としている帝には、「実家に原本がありますので、作者に取りにゆかせて写本をさせます……」そう言って、こちらも珍しく唖然としていた、ゆかり、否、
「それにしても、藤壷の女御は、あんなにきれいな娘だったかな? 突拍子もないけど、根暗でもなさそう……」
「はい? お
がっかりして清涼殿に帰った帝は、蔵人少将に、そんなことをつぶやいていた。
道長の狙った、「ゆかりを横に置いて置け」作戦の効果は、本日の
そんな、
「親子して手のかかる……仮名で書き直せと? まったく……あ、もう
「女御さまからの使者……ひえっ!? 出たな妖怪!!」
「しっ!
そんなこんなで、
「ネタが多すぎて、書き留めがおいつかない……嬉しい悲鳴って、これね……」
そして、百〇八号になり損ねた? 女房のお陰で、「仮名変換」された物語は、写本専門の部署が後宮に出来るほどに、すぐにも爆発的なヒットを飛ばすことになるが、酔っぱらいの道長が告白してしまった、女絡みの話のせいで、女御の母、
物語の名のご紹介が遅れてしまったけれど、物語の名前は、『源氏物語』である。
ちなみに、
「女院さま、まだ、読んでいますので……」
「
***
「うるさい……」
目の前で、争われては、たまったものではない……
***
翌朝の
「ひえっ! 蔵が荒らされているっ! えっ?
警備侍たちは、とっちらかった蔵の前で、
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