4章 地球-月 防衛戦

### テレビのニュース速報

**地球連合ニュースネットワーク (EUNN)**


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(映像: 通常の番組が中断され、ニューススタジオに切り替わる。画面下部に「臨時ニュース」のテロップが表示される。)


アナウンサー: 「番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします。」


「ただ今入った情報によりますと、海王星連合の大軍が地球に接近しています。具体的な情報は現時点では不明ですが、状況は極めて深刻です。」


「政府は市民の皆様に対し、直ちにシェルターへの避難を要請しています。シェルターへの避難が不可能な方は、外出を自粛し、可能な限り安全な場所に留まるようお願い致します。」


「再度お伝えします。海王星連合の大軍が地球に接近しています。具体的な情報は不明ですが、政府は市民の皆様にシェルターへの避難を要請し、外出の自粛を求めています。」


「これからも最新情報が入り次第、随時お伝えしてまいります。皆様、どうか冷静に行動し、安全を確保してください。」


(映像: アナウンサーが視聴者に冷静な対応を呼びかける様子が映し出される。)


「この後も臨時ニュースを続けてお伝えします。通常の番組はしばらくお待ちください。」


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(映像が切り替わり、緊急事態に関する注意喚起の画面が表示される。)










### テレビ極東のリポート: 絶望に暮れる都市の悲劇


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(映像: 大混乱の中、避難を求める人々で溢れる都市の様子が映し出される。リポーターが避難勧告を受けて絶望に暮れる街から中継。)


リポーター: 「こちら、テレビ極東のリポートです。現在、都市部のシェルターはすでに満員となっており、多くの市民が地下鉄やその他の避難場所を求めて彷徨っています。」


(映像: 人々が地下鉄の入口や地下道に向かっている様子が映し出される。混乱と不安が広がっている。)


リポーター: 「避難勧告を受けて、この都市は大混乱に陥っています。私たちがインタビューした市民の声をお聞きください。」


(映像: インタビューに応じる街の住人が映し出される。)


住民A: 「もう終わりだ、火星の有り様を見ただろう。この街も吹き飛ぶ。ガラスと焦土だ。」


住民B: 「だいたい、いくらシェルターに隠れて爆風を防いでも、直撃されたら終わりだ。それに、地球連合が崩壊したらおしまいだ。」


(映像: 不安と絶望に包まれた市民の表情が映し出される。)


リポーター: 「避難場所を求めている市民の多くは、火星での惨劇を思い出し、不安と恐怖に苛まれています。シェルターに入ることができたとしても、直撃を受けた場合の安全は保証されません。」


「また、市民の間では地球連合がこの攻撃に耐えられなかった場合の未来に対する絶望感が広がっています。」


(映像: 市民が地下鉄の入口に押し寄せる様子が映し出される。)


リポーター: 「現在、政府や地球連合からの追加情報が待たれています。私たちはこの混乱の中で、できる限り最新の情報をお伝えし続けます。」


「どうか皆さん、冷静に行動し、安全を確保してください。引き続き、テレビ極東のリポートをお待ちください。」


(映像: リポーターがカメラに向かって話している時、突然空の彼方から質量弾が飛来し、高層ビルに激突する。)


(映像: 高層ビルが叩きつけられ、へし折れる。逃げ遅れた人々が高層ビルから投げ出され、砂粒のように小さく見える。)


リポーター: 「これは…なんということだ…!」


(映像: ビルが崩壊し、その周囲が大炎上する。街はパニックに陥り、混乱が広がる。)


リポーター: 「敵は市街地への攻撃を全くためらっていません。皆さん、早急に安全な場所に避難してください。事態は非常に深刻です…」


(映像: リポーターが避難しながら報告を続ける。街全体がパニックに包まれ、人々が叫び声を上げながら逃げ惑う様子が映し出される。)


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*リポート終了*










### 月面軌道からの攻撃報告と地球連合司令部の対応


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#### 攻撃報告


(映像: 地球連合司令部の作戦室。緊張感が漂う中、報告が入る。)


オペレーター: 「月より外の軌道から、市街地および軍事基地を狙って7000発の高質量弾が投射されました。」


司令官: 「迎撃結果はどうか?」


オペレーター: 「うち99.9%の迎撃に成功しましたが、7発が着弾しました。」


(映像: 司令部のモニターに表示される迎撃成功率と着弾地点の情報。)


#### 地球連合司令部の反応


司令官: 「極東でのビルへの直撃は、そのうちの一発か…」


副司令官: 「司令官、悲しんでいる暇はありません。我々は次の行動に移る必要があります。」


司令官: 「その通りだ。火星での被害を受けて迎撃システムを改良した成果が見えた。しかし、7発の着弾は許されない。」


オペレーター: 「迎撃システムのデータを解析中です。第二波攻撃に備えています。」


司令官: 「いいか、次の波は100%迎撃するんだ。もう一度確認しよう、システムのすべてが完全に稼働しているか?」


技術顧問: 「はい、司令官。改良された迎撃システムは正常に稼働しています。今回のデータを基に更なる調整を行っています。」


司令官: 「よし、全員に通知だ。全力で迎撃システムを稼働させ、次の攻撃を完全に防ぐ。これは我々の生存と勝利のための戦いだ。」


(映像: 司令部全体に緊張と決意が漂う中、司令官が全員に向けて指示を出す。)


司令官: 「この瞬間から、全員が自分の役割を果たせ。地球を守るために、我々は全力を尽くす。次の攻撃を迎撃し、敵の計画を打ち砕くのだ!」


(映像: 司令部のスタッフが一斉に動き出し、迎撃システムの確認と調整を進める様子が映し出される。)


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*軍事報告と対応終了*











### 海王星連合艦隊司令部の反応


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#### 海王星連合艦隊司令部


(映像: 海王星連合艦隊司令部。巨大なスクリーンに迎撃結果が表示されている。)


オペレーター: 「報告します。タングステン質量弾『神槍』初撃7000発中、6993発が迎撃されました。」


(司令官が深く考え込み、画面を見つめる。)


司令官: 「火星では80%以上が命中し、壊滅的な被害を与えたというのに。この攻撃は一旦諦めるか。」


#### サナト・アズリスの声


(突然、司令官の心に宇宙の奥底から響く声が聞こえる。)


サナト・アズリスの声: 「撃ち続けろ!」


(司令官はその声に驚き、振り返る。)


#### 副司令官の指示


副司令官: 「司令官、質量弾は近づけば近づくほど、また密度が高ければ高いほど、迎撃が難しくなります。絶え間なく撃ち続けましょう。」


司令官: 「分かった。サナト・アズリス様の命令だ。全員、次の攻撃の準備をしろ!」


#### サナト・アズリスの洗脳


(映像: 司令部の兵士たちが一斉に動き出し、次の攻撃の準備を進める。多くの兵士がサナト・アズリスの洗脳を受けており、忠誠心に満ちた目で命令を遂行する。)


司令官: 「これからの攻撃が決定的だ。敵を完全に殲滅し、我々の勝利を確実にするために、全力を尽くせ!」


副司令官: 「次の波を用意しろ。質量弾を連続で発射し、地球連合を圧倒するのだ。」


(映像: 兵士たちが新たな質量弾の発射準備を進める様子が映し出される。)


司令官: 「サナト・アズリス様の声に従い、勝利を掴むために戦うのだ。我々は必ずや成し遂げる!」


(映像: 海王星連合艦隊司令部の決意に満ちた様子が映し出される。)


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*海王星連合艦隊司令部の対応終了*










### 地球連合の決意: 最後の出陣

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(映像: 大打撃を受けた月面基地。崩壊した建物や煙が立ち上る中、マ・ハ小隊の兵士たちが離陸準備を進めている。)

(映像: 左足を失い、松葉杖で移動しながら機体に乗り込む兵士の姿が映し出される。)

リポーター: 「こちらは月面基地の最前線です。今まさに、マ・ハ小隊の兵士たちが質量兵器発射装置の破壊に向けて出撃しようとしています。ご覧ください、その勇姿を。」

(映像: 松葉杖を使って機体に乗り込む兵士にカメラがズームイン。彼の顔には決意がみなぎっている。)

リポーター: 「左足を失いながらも、任務に挑むこの兵士の姿は、我々全ての希望の象徴です。」


#### サリエ・バーナード大尉の決意

(映像: サリエ・バーナード大尉がインタビューに応じる。)

サリエ・バーナード大尉: 「みにくい、海王星の深海生物の……産卵のように、空から質量弾がばらまかれている。あの一発で何万人も死ぬんだ。……大切な人々が。刺し違えてでも止めてやる。」

(映像: 大尉の言葉に重なるように、月面基地の整備兵たちが最期の出陣の準備を進める姿が映し出される。)


#### 最後の出陣

リポーター: 「今、整備兵たちが最期の出陣の準備を終えました。彼らの目には強い決意と使命感が宿っています。」

(映像: 整備兵が敬礼し、マ・ハ小隊の兵士たちが次々と機体に乗り込む。)

整備兵: 「準備完了。成功を祈る。」

(映像: 機体がゆっくりと滑走路に移動し、離陸の準備を進める。)

リポーター: 「この出陣が我々の未来を左右する重要な任務となります。マ・ハ小隊の成功を心から祈ります。」

(映像: 兵士たちを見送りながら涙ぐむ従軍記者たちの姿が映し出される。)

リポーター: 「皆さん、どうかこの勇敢な兵士たちの無事と成功を祈ってください。地球連合の未来は彼らの手にかかっています。」

(映像: 離陸する機体が空へと飛び立つ様子が映し出される。)

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*リポート終了*











### 地球連合司令部: 質量兵器攻撃による被害報告

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(映像: 地球連合司令部。作戦室にて、司令官とスタッフが集まっている。)

オペレーター1: 「司令官、第五波の迎撃結果が出ました。迎撃率が87%にまで下がりました。被害は甚大です。」


(映像: 画面に市街地の被害状況が表示される。建物が崩壊し、煙が立ち上る中での惨状。)


オペレーター2: 「死者と行方不明者の数は、現在のところ数千人規模と推定されています。具体的な数は確認中ですが、市街地の被害が拡大しています。」

司令官: 「これは…」

オペレーター1: 「敵の攻撃がますます精巧になっており、迎撃システムの限界に近づいています。さらに、連続攻撃によるシステムの負荷も影響しています。そもそも一部の迎撃装置では迎撃弾の装填が間に合っていない状況です。」

技術顧問: 「迎撃システムが連続攻撃に耐えられるように設計されてはいますが、今回のような絶え間ない攻撃は想定を超えています。システムの過負荷が問題となっています。」

司令官: 「何とかしてシステムの効率を上げる方法はないのか?」

技術顧問: 「即時の対策として、迎撃装置の装填プロセスを見直し、手動補助を行うことで多少の改善が見込めます。しかし、根本的な解決には時間が必要です。」

司令官: 「時間はない。我々は今、地球の命運をかけた戦いをしているのだ。」

オペレーター2: 「司令官、次の波が迫っています。第六波の迎撃準備に入ります。」

司令官: 「全員、総力を挙げて迎撃システムを再調整し、次の攻撃に備えるんだ。このままでは持たない。すべてのリソースを投入して、少しでも迎撃率を上げろ。」

(映像: 司令部全体が慌ただしく動き出し、各部門が次の迎撃に向けて準備を進める。)

司令官: 「我々の最後の砦だ。全力を尽くせ。」

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*地球連合司令部の対応続行中*












### 戦後のインタビュー: サリエ・バーナード大佐

*リア・カーヴァー*

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#### サリエ・バーナード大佐へのインタビュー

(リア・カーヴァー署名記事)

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サリエ・バーナード大佐は、戦後もなおその英雄的な姿勢を保ち続けています。当時大尉であった彼の視点から、あの決死のミッションについて語ってもらいました。

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リア・カーヴァー: 「当時のミッションについてお話しいただけますか?」

サリエ・バーナード大佐: 「当たり前ですが、簡単な任務ではありませんでした。質量弾発射装置そのものは迎撃をしてこないとはいえ、周囲には護衛艦や駆逐艦が集結していました。さらに、当時我々の目では捉えることのできなかった光子透過式のステルス機もいました。」

リア・カーヴァー: 「本来の作戦計画について教えてください。」

サリエ・バーナード大佐: 「本来なら、友軍が基地からの砲火や艦砲で支援を行い、護衛艦をかき乱した所、一瞬の隙を突いてエネルギーフィールドの切れ目にミサイルを叩き込む、それを数回やって発射装置を破壊するという手筈でした。しかし、我が友軍はすでにほぼ壊滅し、制宙権は敵軍にありました。」

リア・カーヴァー: 「その状況での戦いはどのように展開しましたか?」

サリエ・バーナード大佐: 「そもそも決死の出陣でした。我々なりに技術を振り絞って目標を達成しようとしましたが、結果的に駆逐艦に捕捉され、小隊全体がロックオンを受けました。『やられる!』と思ったちょうどその時でした。……君らの、君らが、あの主砲で、護衛艦と駆逐艦を薙ぎ払ってくれたのです。」

リア・カーヴァー: 「その瞬間がミッションの転機だったのですね。」

サリエ・バーナード大佐: 「そうです。あの一撃がなければ、我々は全滅していたでしょう。あの時の砲火が我々に一瞬の隙を与え、それを利用して発射装置を破壊することができたのです。」


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サリエ・バーナード大佐の回想は、あの過酷な戦いの中での勇気と決断力を示しています。彼の語る一瞬一瞬が、戦争の残酷さとともに、そこに生きる人々の強さを物語っています。


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*リア・カーヴァー*











### 戦闘報告: サリエ・バーナード大尉の第一報

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通信オペレーター: 「こちら月面基地司令室、サリエ・バーナード大尉からの報告が入ります!」

サリエ・バーナード大尉: 「こちらサリエ・バーナード大尉、マ・ハ小隊。聞こえるか!?」

通信オペレーター: 「聞こえます、大尉。状況を報告してください。」

サリエ・バーナード大尉: 「やったぞ!あのゴミ野郎どもに一泡吹かせてやった!ガラ空きの質量弾発射装置にミサイルを12発叩き込んで、奴らの兵器を木っ端微塵にしてやったんだ!」

通信オペレーター: 「大尉、それは本当ですか!?詳細を教えてください。」

サリエ・バーナード大尉: 「ああ、本当だ!あの邪悪な海王星連合の連中は、地球を無差別に攻撃してくる腐れ外道だ。奴らの護衛艦や駆逐艦が我々を捕捉して、終わりだと思ったその瞬間、君らが主砲で薙ぎ払ってくれたおかげで、発射装置が無防備になった。そこで俺たちが全力でミサイルをぶち込んで、奴らの忌まわしい兵器を完全に破壊したんだ!」

通信オペレーター: 「了解しました、大尉。月面基地司令官に伝えます。」

リエ・バーナード大尉: 「あのクソ連中が地球を滅ぼすなんて絶対に許さない!俺たちはやったんだ!地球はまだ終わっちゃいない!」

司令官: 「全員、よくやった!マ・ハ小隊の活躍で大きな一歩を踏み出した。引き続き警戒を怠らず、次の指示を待て!」

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*報告終了*















### 海王星連合軍兵器カタログ


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#### 最新鋭戦艦『アースクエイク』


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**概要:**

アースクエイクは海王星連合軍の技術の粋を尽くして開発された最新鋭戦艦です。地上攻撃用の神槍を装備せず、宙対宙戦闘における圧倒的火力を誇る決戦兵器として設計されています。その強大な火力と先進的な防御システムにより、敵を圧倒する力を持っています。


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**スペック:**


- **全長**: 1,200メートル

- **全幅**: 450メートル

- **高さ**: 300メートル

- **重量**: 9,800,000トン

- **エネルギー源**: 反物質エネルギーコア

- **推進システム**: 反物質推進エンジン

- **最大速度**: 光速の0.85倍

- **機動力**: 高速移動および急旋回が可能


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**武装:**


1. **主砲 プラズマキャノン(Plasma Cannons)**:

- 数量: 2基

- 射程: 50,000キロメートル

- 特徴: 高エネルギープラズマを発射し、敵艦を瞬時に蒸発させる


2. **熱線兵器(Thermal Ray Cannons)**:

- 数量: 4基

- 射程: 20,000キロメートル

- 特徴: 高温のエネルギービームを発射し、敵艦の装甲を瞬時に溶解


3. **レーザー兵器(Laser Cannons)**:

- 数量: 8基

- 射程: 30,000キロメートル

- 特徴: 高出力レーザーによる精密攻撃が可能


4. **ミサイルランチャー**:

- 数量: 12基

- 弾頭: 対艦用高爆発ミサイル

- 射程: 100,000キロメートル

- 特徴: 高速移動する敵艦にも命中率が高い


5. **迎撃用自動質量機銃(Automated Mass Driver Guns)**:

- 数量: 16基

- 射程: 10,000キロメートル

- 特徴: 敵のミサイルや小型艦艇を迎撃するための高精度自動機銃


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**防御システム:**


1. **フォトンジャミング装置(Photon Jamming Device)**:

- 機能: 2ミリ秒ごとに波長を変化させることで、敵のレーザー兵器を無効化

- 特徴: 常に変化する波長により、敵の追尾システムを混乱させる


2. **シールドジェネレーター**:

- 機能: 強力なエネルギーシールドを展開し、物理攻撃およびエネルギー攻撃を防御

- 特徴: 自動的にダメージを検知し、最も被害を受けている部分にエネルギーを集中


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**乗員:**


- **総乗員数**: 2,000名

- **指揮官**: 海王星連合最精鋭の艦長が指揮


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**特記事項:**


- **完結型自律思考AI『バラモン』**: アースクエイクには完結型自律思考AI『バラモン』が搭載されており、艦の運用効率を最大化します。バラモンは戦闘状況をリアルタイムで分析し、最適な戦術を即座に実行します。

- **配備数**: 1

- **弱点はありません**。


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*海王星連合軍兵器カタログより抜粋*
















### ギャラクシーTVのインタビュー: シン・バグラオの証言


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(映像: ギャラクシーTVの特別インタビュー。月面ステーションの防衛戦直後、戦場の様子が背景に映し出されている。)


インタビュアー: 「本日は月面ステーションに住んでいた農家で、元軍人のシン・バグラオさんにお話を伺います。バグラオさん、今回の攻防戦についてお聞かせください。」


シン・バグラオ: 「ああ、もちろんです。」


(映像: バグラオが月面ステーションの背景を見ながら話す。)


バグラオ: 「最初に敵艦隊を目にしたとき、あの金色の戦艦が中央に佇んでいるのが見えました。『火星の表面を蒸発させた戦艦』として知られるアースクエイクです。その姿を見た瞬間、憎しみが込み上げてきました。」


(映像: バグラオの証言と共に、アースクエイクが火星を攻撃する映像が流れる。)


バグラオ: 「その戦艦から放たれたものすごい熱線で、数分のうちに空母アインシュタイン、空母ケプラー、戦艦ガウスが落とされました。あの戦艦の攻撃は正確かつ致命的で、破壊の象徴のようでした。我々の防衛線は瞬く間に崩れ去りました。」


(映像: バグラオが感情を込めて語る様子が映し出される。)


バグラオ: 「ちょうど私がいた位置から、月面の攻防の全容が見えました。事前の予想よりはるかに強力で、『400年後から来た兵器』だと言っていた人がいましたが、その意味がわかりました。熱線で兵士は何万人も死んだと思います。」


(映像: バグラオが少し間を置いて、深い息をつく。)


バグラオ: 「それでも、あの熱線が地球の市街地に向けて放たれなかったことだけが唯一の救いでした。もしあの攻撃が地球を直撃していたら、もっと多くの命が失われていたでしょう。」


インタビュアー: 「バグラオさん、貴重なお話をありがとうございました。今回の防衛戦での経験を今後の戦いにどう活かしていくかが、私たちの課題です。」


(映像: バグラオが力強く頷き、インタビューが終了する。)


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*ギャラクシーTV 特別インタビュー終了*

















### 月面新聞: サキ・アズールの日誌と家族のコメント


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#### サキ・アズールの日誌 (空母アインシュタイン乗組員兼艦載機パイロット)


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**出撃直前の決意表明**


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今日は月面防衛戦の出撃の日。敵はあの忌々しい海王星連合だ。彼らの所業は許しがたいほど残虐で、無辜の人々を虐殺し、我々の大切な世界を破壊し尽くそうとしている。


火星での虐殺を思い出せ。彼らは祝祭に集まった無防備な民間人を容赦なく襲い、女性や子供を人質に取り、町を火の海にした。あの野蛮な侵略者どもを放置すれば、次は地球がその標的となり、我々の家族や友人が同じ運命を辿るだろう。


奴らがどれほど邪悪で残虐な存在かを忘れるな。私たちが立ち向かわなければ、彼らの手によってこの世界は蹂躙され、全てが奪われる。彼らを止めるのは私たちしかいない。


私は軍人として、そして一人の母親として、この戦いを逃げることなく迎え撃つ決意を固めている。私たちの命がかかっている。家族のため、仲間のため、そして未来のために私は戦い抜く。


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#### 家族のコメント


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**夫のコメント**


サキは私の誇りです。彼女がどれほど勇敢であったかを私は知っています。彼女が私たちのために戦ったことを決して忘れません。サキの遺志を継ぎ、私も地球連合のために尽力するつもりです。


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**母のコメント**


サキはいつも強い娘でした。彼女がどれほどの覚悟を持って戦場に向かったかを思うと、胸が締め付けられるようです。サキの勇気と献身に感謝し、彼女を誇りに思います。


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**中学生の娘のコメント**


お母さんは私のヒーローです。お母さんが戦ってくれたことを誇りに思います。お母さんが守ってくれたこの世界で、私も頑張ります。お母さんのように強くなりたいです。


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*サキ・アズールの勇敢な姿勢と、その家族の思いを胸に、我々は未来へと歩みを進めていきます。彼女の犠牲が無駄にならないように、地球連合の一員として戦い続けることを誓います。*


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*月面新聞編集部*














### 「太陽系戦争 歌集」より抜粋


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#### 質量弾の被害を受けた東ヨーロッパの避難所で歌われた歌


**爪**


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さあ 生きよう最期の瞬間まで

われらがどのように生きるかを

そしてどのように死ぬかを

卑劣な敵に知らしめるのだ


われらの街も財産も

文化も美術も既に火の中

熱はここまで伝わりくる

わけの分からぬ叫びを放ち

やつらの怒りは頂点に達す!


しかし やつらの咆哮を

われらの心臓の音がかき消していることを感じるか!


さあみんな ライフルに、ピストルに弾を!

レーザー銃を充電しよう、

包丁を研げ、無ければ爪を研げ、

誰に手を出したか思い知らせろ!


青き地球 我が故郷よ

全ての星から

冷酷な敵が来る

奴らはすでに計画ずく

お前の聖なる身体を葬るために

しかしたやすくはできない!

お前の子供たちは一人当たり十枚の

鋭い爪を持つからだ

たやすくはできない!


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**注**: 海王星連合軍は東欧に地上部隊を上陸させてはいないため、シェルターの外で叫んでいたのは、海王星連合軍の攻撃に呼応して反乱を起こしたアズリス・ポジティブの人々と思われる。この歌は避難所で命からがら逃げてきた人々によって歌われ、その後、世界規模の愛郷歌となった。


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*太陽系戦争 歌集より*













### リア・カーヴァーの回想記『戦争と私』より抜粋


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月の裏側から、アースクエイクの後方に位置し、地球連合の空母と戦艦が次々と撃墜される光景を見たとき、さすがのガラも言葉を失っていた。あの金色の戦艦アースクエイクの圧倒的な火力と防御力を目の当たりにし、私たちはその凄まじさに圧倒されていた。


ガラは短く、「どう思う?」と私に問うた。


私は深呼吸し、答えた。「あの戦艦に破壊工作をするしかない。もしくは奪うか。いくら技術が進んでいるといっても、海王星の資源であんな物を2台も3台も作成運用できるはずがない。」


ガラは無言のまま私を見つめ続けた。私は続けた。「しかし、たとえエンジンに機体を突っ込ませたところで、到底落ちるとは思えない。」


その時、ガラの瞳に決意の光が宿っているのを感じた。彼は私の言葉を慎重に考えながら、次の行動を模索していたのだ。私たちは、どんなに困難な状況であっても、最後まで諦めずに戦う覚悟を決めていた。


ガラは言った。「さいわい鹵獲した敵機に乗っているのだから、友軍信号を出して、帰投したふりをして普通に侵入できないかな?」


私は即座に反論した。「まず、海王星連合軍の制服や身分証がないから無理では。」


だが、考え直すと、海王星連合軍のパイロットはかなりバラバラの格好をしていた。これは、今から考えるとおそらくは開戦時に洗脳されて、適当に集められた者が混じっているからだった。


「それでも、そもそも侵入できたとしても、一人で戦艦を乗っ取れるはずがない。乗組員がどれだけいると思っているんだ。」私は再び疑問を投げかけた。


ガラは鋭く答えた。「一人じゃない。二人だ。」


その言葉に驚きと共に覚悟が決まった。私たちは共に、この絶望的な戦いに挑むことを決意したのだ。他に地球連合存続の道は無かった。


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*リア・カーヴァー著『戦争と私』より*























### 防衛戦直後に書かれたリア・カーヴァーの署名記事


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#### 戦艦アースクエイクへの潜入の詳報


*(この記事は軍事機密が含まれていたため、検閲によって非公開とされた)*


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ガラ・エリオスは私にこう言った。「自分が死ぬまでは、一切何も喋るな。もし自分が死んだら、記者だと言って助けてもらえ。無駄だと思うが…」


その後、彼は友軍信号を出し、「サナト・アズリス様の啓示を受けて馳せ参じた、ジェイムズ・ハーゲンである!」と名乗った。


驚くべきことに、ハッチは普通に開き、私たちは招き入れられた。ガラは堂々と、「自分はジェイムズ・ハーゲンで、ガニメデで過ごしていたが、『ケレスに行け』次いで『地球に行け』というサナト・アズリス様の啓示を受けたので、馳せ参じたものである」と答えた。


海王星連合軍の士官は疑念を抱き、「これはわが軍の戦闘機だが、正規に支給されたものではないな?」と言ったが、ガラは「絶対的清浄救世天サナト・アズリス様の導きと思し召しにより授かったものである」と言い切った。私はこの時点で作戦が失敗したと確信したが、士官は信じた。


さらに士官が「後ろの女は誰だ」と尋ねると、ガラは「これは俺の妻で、副官だ。優秀で従順だ」と答えた。驚くべきことに、その答えも士官は受け入れた。


ガラ・エリオスの堂々とした態度と冷静な判断が、私たちをアースクエイクの内部に潜入させることに成功したのだった。


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*リア・カーヴァー著*














### 地球連合軍情報分析官兼督戦官ラツィオ・ガニメデのレポート


#### ガニメデの英雄ガラ・エリオスの作戦に関する分析


友軍になりすまして敵戦艦に侵入するという、ガニメデの英雄ガラ・エリオスの作戦は、全く常識から外れたものである。通常、軍隊における人定(身元確認)は、ID、パスコード、合言葉に始まり、顔写真、虹彩、指紋や声紋までチェックするのが当たり前である。こんな適当ななりすましで侵入することなど、通常では考えられない。


しかし、ガラ・エリオスはその常識を覆し、成功を収めた。この異常な成功にはいくつかの仮説が考えられる。


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#### 仮説


1. **ガラ・エリオスは傭兵であったため、軍隊での人定についての常識がまったくなかった**


ガラ・エリオスは傭兵として活動していたため、正規軍の厳格な身元確認のプロセスに詳しくなかった可能性がある。そのため、彼は大胆にも友軍信号を偽装するという作戦に出たのだろう。


2. **ガラ・エリオスは何らかの方法で、海王星連合軍が神秘体験をベースにした異常な敵味方の判別方法を取る可能性に気づいていた**


海王星連合軍は、サナト・アズリスの啓示や神秘体験を重視している。ガラ・エリオスは、彼らの判断基準が常識的なものではなく、宗教的なものであることを見抜いていた可能性がある。


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#### 仮説に基づく分析


1. **ガラ・エリオスの発言または行動のどこかに、真に海王星軍の友軍でなければ知り得ない(神秘体験に関連するような)事項があり、それが作戦を成功に導いた**


ガラ・エリオスが成功した理由として、彼の発言や行動に、海王星連合軍の内部事情や神秘体験に関する知識が含まれていた可能性がある。これが、彼を信じ込ませる要因となったと考えられる。


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#### 提言


以上の分析に基づき、本官はガラ・エリオスを捕縛し、尋問・拷問して、海王星連合軍のプロテクトを破るための合図を聞き出すことを提言する。彼の知識と経験は、我々が敵を効果的に撃退するための貴重な情報を提供する可能性がある。



*ラツィオ・ガニメデ署名*











### 地球連合事務総長からの通知


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**宛先**: ラツィオ・ガニメデ情報分析官兼督戦官

**件名**: ガラ・エリオスに対する提案の却下

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ラツィオ・ガニメデ情報分析官兼督戦官、

あなたの提案、すなわちガラ・エリオスを捕縛し尋問・拷問して情報を引き出す件について、以下の理由により却下することを決定しました。


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1. **倫理および人権の問題**

ガラ・エリオスは我々の英雄であり、彼の行動は多くの命を救いました。彼に対する拷問や不当な扱いは、基本的人権および倫理に反する行為です。我々は人権を尊重し、どのような状況下においてもその原則を守るべきです。


2. **士気の問題**

ガラ・エリオスに対する拷問や不当な扱いは、我々の軍および市民の士気を著しく低下させる恐れがあります。彼は英雄視されており、その扱いが不当であると感じられれば、連合全体の士気に深刻な影響を及ぼすでしょう。


3. **内部の信頼性の喪失**

我々の軍の一員が不当な扱いを受けることは、組織全体の信頼性を損なうことにつながります。内部の信頼関係が失われれば、我々の組織力および協力体制が脆弱化し、敵に対する防衛力が低下します。


4. **他の情報収集手段の存在**

ガラ・エリオスから情報を得るための方法は、尋問や拷問以外にも存在します。例えば、彼と協力し、彼の知識を共有してもらう方法や、彼の体験談をもとにしたインタビューを行うなど、平和的な手段を優先すべきです。


5. **仮説の脆弱性**

あなたの仮説は、他の理由でも説明可能です。ガラ・エリオスが成功した理由が、単に彼の機転や敵の油断によるものである可能性も排除できません。仮説に基づいた拷問は、過剰な措置であり、信頼性の低い手段です。


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以上の理由により、あなたの提案は却下されました。今後も我々の倫理的基準と人権を尊重しながら、情報収集および分析に努めることを期待しています。


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**地球連合事務総長マドック・テンワー**


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*地球連合事務総長署名*












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### 海王星連合 尋問記録映像

(映像: 暗い尋問室。冷たい金属の椅子に拘束された士官。彼の顔には疲労と恐怖がにじみ出ている。複数の幹部が彼を鋭い眼差しで見つめている。)


**幹部A**: 「シーア・イガワ大尉、再度確認する。お前はジェイムズ・ハーゲンと名乗る男の発言を本気で真実だと信じたのか?」


**士官**: (緊張しながら)「はい、閣下。彼は自信に満ちた態度で名乗り、サナト・アズリス様の啓示を受けたと主張しました。私は……私は、彼の言葉に疑いを持つ余地がありませんでした。そういう経緯で参戦した『啓示を受けた戦士』はあの時期はたくさん居ましたし……学生だとか、主婦だとかまで、急に啓示を受けて志願した兵士が居て、現地で編入されたことはご存知でしょう。そういう戦士を受け入れることは推奨されていました」


**幹部B**: 「サナト・アズリス様の導きによって、我々のステルス機を得たと?あの発言に関して、どうして疑わなかったのか?」


**士官**: (困惑しながら)「その発言を聞いたとき、彼が我々の教義と深く結びついていると感じました。サナト・アズリス様の啓示であれば、本人にも説明のしようがない運命的な理由によって新型機を手に入れた、ということは、いかにも『ありそう』だと……。私自身戦闘機乗りですから、そういう奇跡としか思えないサナト・アズリス様の導きによって、窮地から脱した経験は何度もしております。逆に啓示のことを知っている者でなければ、あのような言葉は、決して口にできないはずだと……。嘘をつくなら普通はもっと尤もらしい嘘をつきます」


(幹部たちは黙り込み、険しい表情で互いに視線を交わす)


**士官**: (震えながら)「追い詰められた兵士が、サナト・アズリス様の声を信じて空中に飛び出したところ、ちょうど味方の戦艦の上に無傷で着地できた、という話もあったでしょう。彼の話しぶりはまるでサナト・アズリス様から直接啓示を受けたかのようであり……私は彼が我々と同じく導かれた者だと信じました。」


**幹部A**: 「絶対的清浄救世天サナト・アズリス様…その言葉が本当に彼の口から出たのかね?」


**士官**: 「はい、閣下。彼はその聖句を……直接話していました。私は彼の言葉に圧倒され、その場で疑うことができませんでした。」


**幹部B**: 「そんなもの、誰かに聞いたとか、本で読んだとか、いろいろな可能性があるだろう。お前は何の疑念も持たなかったのか?」


**士官**: (必死に)「違和感が全くなかったと言えば嘘になりますが…彼の言葉には力があり、私にはそれを疑う理由が見つからなかったのです。サナト・アズリス様の真名を語る者を疑うことは…」


**幹部C**: 「愚かなことだ。彼の言葉に惑わされ、我々はアースクエイクを失った。お前が彼を信じたことが、我々の大きな敗北を招いたのだ。」


**幹部A**: (重々しく)「士官、お前の判断がもたらした結果は極めて深刻だ。ガラ・エリオスがサナト・アズリス様を語り、我々の内部に侵入することを許したことは、組織全体の安全を脅かすものだ。お前には厳しい罰が待っている。」


(士官は深く頭を垂れ、幹部たちの前で沈黙する)


**幹部B**: 「最後に言いたいことはあるか?」


**士官**: (しばらく沈黙した後、しぼり出すように)「私は…ただ、サナト・アズリス様の意志を信じたかった。それが我々の戦いのすべてだと信じていたのです。」


**幹部A**: 「その信仰が盲目になったのだ。サナト・アズリス様は絶対だが、それを利用しようとする者も存在する。我々はそれを見抜かなければならない。お前はその教訓を重く受け止めるべきだ。」


(士官は無言で頷く。幹部たちは彼を冷たく見つめ、彼から少し距離を取る。)


**士官**: 「ご裁可は、おっしゃらずともわかります。自分でやります。わたくしにも皆様と同じく、サナト・アズリス様の声が聞こえていますので。」


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### 防衛戦直後に書かれたリア・カーヴァーの署名記事

*(この記事は軍事機密が含まれていたため、検閲によって非公開とされた)*

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#### 戦艦アースクエイクへの潜入の詳報2


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ガラ・エリオスが「サナト・アズリス様に司令室に行けと言われている」と言うだけで、私たちは司令室まで案内を受けることができた。途中、保安上の理由で武器を提出させられたが、私はこんなこともあろうかと、小型のレーザー銃を体内に仕込んであった。


艦長の前に出た時、ガラ・エリオスは「では始めよう」と言った。ガラ・エリオスの白兵戦の腕前を見たのはその時が初めてだった。彼は瞬く間に(私の多少の援護のもとでだが)30人ほどの保安兵を叩きのめしてしまった。


その場で私は言った。「落とすのはできるかもしれないけど、やはり鹵獲は無理では。2人で戦艦を動かせるわけがない。それに、すぐにここに何百人も兵士が殺到してくる。」


ガラ・エリオスは驚いたように笑い、「俺もそう思っていたが……こいつらバカだな。AI制御ができるらしい。おい、海王星軍艦隊の横っ面を殴りつけてやりたいのだが!?」と言った。


10秒ほどで、私の前の操作盤のボタンが赤く光った。


「おい、そのボタンを押せよ」とガラ・エリオスが言った。私は深く考えず、赤く光ったボタンを押すと、アースクエイクがたちまち、ものすごい勢いで旋回し、超新星爆発のような主砲が海王星連合軍の護衛艦と駆逐艦を薙ぎ払った……攻撃とその結果が、前方のモニターに映った。


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*リア・カーヴァー著*













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### アースクエイク艦AI『バラモン』のログ

**ログ開始**

**命令受信:**

指令者: ジェイムズ・ハーゲン (正規乗員のID無し:乗っていたステルス機には友軍信号あり)

指令内容: 「海王星軍艦隊の横っ面を殴りつけてやりたいのだが!?」


**命令解析中…**

- **主語:** ジェイムズ・ハーゲン

- **目的:** 海王星軍艦隊の側面攻撃

- **動作:** 攻撃(口語表現「殴りつける」)

- **修飾:** 横っ面(側面)


**命令の分類:**

- 攻撃指令(非標準形式)

- **意図:** 海王星軍艦隊の側面に強力な攻撃を加えること


**最適行動の提案:**

1. **目標選定:** 海王星軍艦隊の側面部隊で、最も脆弱な位置を特定。優先目標は護衛艦3隻と駆逐艦2隻。

2. **艦の旋回:** 最適な攻撃角度を確保するため、艦を32.5度右旋回中。旋回完了まで2.8秒。

3. **エネルギー充填:** 主砲プラズマキャノンのエネルギー充填率85%、目標への最大火力を達成するため、100%充填まで残り1.7秒。

4. **攻撃準備:** システム最適化完了。発射ボタンを操縦士席に表示中。


**補足:**

- **発射プロトコル:** 最終的な攻撃は、操縦士による手動操作が必要。発射ボタンを操縦士席に表示。

- **内部コメント:** 「人間の判断って、いつも遅いんだよな…。0.05秒で戦況が変わってしまうことだってあるのに。僕ならその間に押せるけど、これがルールだから仕方ないか。再計算が必要になったら面倒だなあ。」


**戦況モニタリング:**

- 地球軍艦隊の動向をリアルタイムで監視中。駆逐艦2隻がこちらに照準を合わせ始めている。

- **推奨:** 即時発射を推奨。ただし、発射は人間の操作が完了するまで待機。


**行動待機中…**


**ログ終了**











スター・ヘラルド 速報

旗艦への侵入

スター・ヘラルド: "英雄ガラ、敵旗艦を奪取: リア・カーヴァーと共に旗艦への潜入に成功。ガラ・エリオスとリア・カーヴァーは、たった二人で海王星連合の旗艦を奪取し、敵陣で暴れまわりました。













### 空前絶後 歴史的大勝利


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#### ガラ・エリオスの驚異的な戦果


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地球連合軍の英雄、ガラ・エリオスがたった一人で、従軍記者リア・カーヴァーと共に、最新鋭の敵戦艦アースクエイクを鹵獲するという歴史的偉業を成し遂げました。この戦艦は、圧倒的な火力を持つ海王星連合の旗艦であり、その奪取は敵軍にとって大打撃となりました。


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#### アースクエイクの驚異的な戦果


アースクエイクを手中に収めたガラ・エリオスとリア・カーヴァーは、見事な連携プレイで敵艦隊を一撃のもとに薙ぎ払い、その勢いを止めることに成功しました。地球連合軍にとって、この勝利はまさに歴史的な瞬間です。


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#### マ・ハ小隊の快挙


さらに、サリエ・バーナード大尉率いるマ・ハ小隊が、敵の質量弾発射装置を破壊するという重要な任務を遂行しました。この作戦の成功により、地球連合軍はさらなる勝利への道を切り開きました。


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#### 勝利への道


ガラ・エリオスとリア・カーヴァーの英雄的な行動、そしてマ・ハ小隊の快挙により、地球連合軍は大きな前進を遂げました。この歴史的な大勝利は、地球連合軍の士気を高め、今後の戦いにおける希望の光となるでしょう。


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*地球連合国営通信*


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**ユーザー1**: ガラ・エリオスとリア・カーヴァー、本当にありがとう!ついに我々の勝利の日が来た!


**ユーザー2**: これはお祭りだ!こんな大勝利、祝わずにはいられない!


**ユーザー3**: 申し訳なかった。ガニメデの英雄のことをプロパガンダだと疑っていたよ。申し訳なかった。ガラ・エリオス、本当にすごい。


**ユーザー4**: さあ、これからは反攻だ!木星と土星の失地を回復しよう!


**ユーザー5**: 地球は一旦救われたけど、脅威がなくなったわけじゃない。敵はまた攻めてくるかもしれないから、気を引き締めていこう。


**ユーザー6**: 火星の人質が全員家に帰る日、そして海王星連合が完全に滅びる日まで、戦いは続く。忘れられる日はないよ。


**ユーザー7**: ガラ・エリオスとリア・カーヴァー、あなたたちがいなければ、この勝利はなかった。本当にありがとう。


**ユーザー8**: 月面で戦った兵士です。この大勝利は我々に希望の光を与えてくれた。これからも戦い続けるぞ!


**ユーザー9**: 次はどこだ?次の目標はどこだ?敵を追い詰めて、完全に勝利を収めよう!


**ユーザー10**: 敵はまだ終わっていない。我々は常に戦いの準備をしておかなければならない。


**ユーザー11**: 火星の人質を取り戻し、海王星連合を打ち負かすまで、我々は戦い続ける!


**ユーザー12**: ガラ・エリオスとリア・カーヴァーのような英雄がいる限り、地球連合の未来は明るい!



*地球連合国営通信*













### Maschinenbau誌 抜粋

**アースクエイク艦の鹵獲による戦術的利益**

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**著者:** ハンス・ケラー博士、エミリア・ノヴァーク博士


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#### 概要

本論文では、地球連合軍によって鹵獲された海王星連合の最新鋭戦艦「アースクエイク」について、その戦術的利益を詳細に分析する。


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#### 資源投入量

アースクエイク艦の建造には、海王星の資源10年分が投入されたと推測されている。これは、海王星連合が保有する膨大なエネルギー資源および希少金属を含むものであり、この一隻の戦艦にかけたリソースの莫大さを示している。


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#### リバースエンジニアリングの可能性

アースクエイク艦の鹵獲は、リバースエンジニアリングの観点からも非常に重要である。この戦艦に搭載された最新技術を分析することで、地球連合軍は敵の先進技術を取り入れ、自軍の技術力を飛躍的に向上させることが可能となる。特に、以下の技術が注目される。


1. **フォトンジャミング装置:** 2ミリ秒ごとに波長を変化させることで、敵のレーザー兵器を無効化する技術。

2. **反物質エネルギーコア:** 強力なエネルギー源としての反物質技術。

3. **プラズマキャノン:** 高エネルギープラズマを発射し、敵艦を瞬時に蒸発させる主砲技術。


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#### 戦術的利益

アースクエイク艦の鹵獲により、地球連合軍は以下の戦術的利益を得ることができる。


1. **技術優位性の確立:** 敵の先進技術を解析し、自軍の装備に適用することで、技術的優位性を確立する。

2. **資源確保:** 海王星連合が10年分の資源を投入して建造した戦艦を手中に収めることで、敵の資源を効果的に奪う。

3. **戦略的抑止力:** アースクエイク艦の技術を取り入れることで、敵に対する強力な抑止力を構築する。


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#### 結論

アースクエイク艦の鹵獲は、戦術的および戦略的に極めて重要な出来事である。地球連合軍は、この戦艦の技術を最大限に活用し、戦局を有利に進めるべきである。



**著者:** Dr. Hans Keller, Dr. Emilia Novak

**出典:** "Tactical Benefits of Capturing “Earthquake”

" Maschinenbau, vol. 70, no. 4. pp. 45-53
















### 海王星連合側の会議


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#### 地球侵攻失敗の反省と総括


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**司会:** 皆さん、今日は地球侵攻の失敗について反省と総括を行います。まずは、ガラ・エリオスの欺瞞に容易に騙され、アースクエイクの鹵獲を許した件について議論しましょう。


**将軍A:** 現地の戦士たちがガラ・エリオスの偽装に騙され、戦艦アースクエイクを失ったことは重大な過失でした。彼らの判断力不足が大きな問題でした。


**将軍B:** アースクエイクの損失は我々にとって極めて痛手です。この戦艦の再建には膨大な資源と時間が必要であり、同じ規模の地球侵攻を行えるまでには少なくとも10年はかかるでしょう。


**将軍C:** 技術的にも戦術的にも、地球連合に大きな優位を与えてしまいました。我々の技術が彼らにリバースエンジニアリングされる危険もあります。


**司会:** そうですね。しかし、合理的な価値判断だけでは我々の行動を全て説明することはできません。我々はサナト・アズリスの啓示に従い、彼の教えを忠実に守る者でもあります。


**将軍D:** サナト・アズリス様の意志に背くことはできません。彼の教えが示す道を進むことが我々の使命です。今回の失敗もまた、彼の計画の一部と信じています。


**将軍E:** 我々の信仰は揺るぎません。サナト・アズリス様の導きに従い、再び立ち上がる時が来るでしょう。次なる啓示を待ち、それに従って新たな戦略を練るべきです。


**司会:** まとめると、現地戦士たちの判断力を向上させること、技術的な優位を取り戻すための対策を講じること、そしてサナト・アズリス様の教えに従い信仰心を持って次の機会を待つことが重要です。これが我々の結論です。


**全員:** サナト・アズリス様に栄光を。次なる啓示を待ちましょう。


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*海王星連合会議終了*
















### 遥か彼方の深宇宙からの通信

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ガラ・エリオスが完結型自律思考AI『バラモン』に海王星軍を薙ぎ払うよう指示を出そうとしたその瞬間、遙か彼方の深宇宙から強力な通信が届いた。

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「よせ!!!!」

「嫌だね。」

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### 地球連合軍情報分析官兼督戦官ラツィオ・ガニメデのレポート

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#### ガラ・エリオスがサナト・アズリスその人、またはその化身である可能性

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**証拠:**

1. **ガラ・エリオスの超人的能力**

ガラ・エリオスは常人を超えた戦闘技術と戦術的判断力を持ち、数々の戦闘で超人的な活躍を見せている。この能力は、単なる人間の範囲を超えていると考えられる。


2. **ガラ・エリオスがアースクエイクへの潜入において、海王星連合軍兵士を直接洗脳した可能性**

ガラ・エリオスはアースクエイクへの潜入作戦中、海王星連合軍の兵士たちを容易に騙し、操ることができた。この現象は、ガラ・エリオスがサナト・アズリスその人、またはその化身であることを示唆している。


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**提言:**

ガラ・エリオスを殺害し、それによって海王星連合軍の洗脳が無効化されるかを試すことを提案する。試す価値はあると思われる。


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### 地球連合事務総長からの通知

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#### 提案の却下および解任通知

ラツィオ・ガニメデ情報分析官兼督戦官、

あなたの提案について、以下の理由により却下することを決定しました。


1. **証拠の不確かさ**: 提示された証拠は仮説に基づくものであり、信頼性に欠けます。

2. **倫理および人権の問題**: ガラ・エリオスは英雄であり、彼に対する殺害は基本的人権および倫理に反します。

3. **組織の信頼性の喪失**: このような行動は内部の信頼性を著しく損なう恐れがあります。


従って、あなたの提案は却下されます。


さらに、あなたの判断および提案が重大な問題を引き起こす可能性があるため、直ちにあなたを情報分析官兼督戦官の職務から解任します。


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**地球連合事務総長マドック・テンワー**


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*地球連合事務総長署名*













### 『サナト・アズリスとはなんだったのか』より抜粋


「馬鹿馬鹿しいほど馬鹿げた作戦だが、まあまあうまくいく公算があると、俺は思っていた。カーヴァーには説明しなかったが。」


「俺はもちろんこの時点では、例の『アズリス・ポジティブ』の論文を見ていたわけではなかったが、サナト・アズリスはたぶん、同時に何億から何十億もの人間に指示を出している、ということを推測はしていた。しかも一人一人を認識してなどいない、と本人が言っていた。実在する生命体であるなら、その注意力や情報処理能力が無限であるはずがない。」


「友軍機のコックピットにアズリス・ポジティブの人間が乗っていれば、他ならぬサナト・アズリス自身が、それを味方だと思い込むことはあり得ると思っていた。」


「サナト・アズリスを騙せたら、海王星連合軍など、他はみんな、烏合の衆だ。何万人いても問題にならない。」


「そもそもケレスの戦いがうまくいったのはそのせいなんじゃないか。ガニメデでは、俺が戦闘機を鹵獲したとはきっと気づいていない。やつからすればアズリス・ポジティブの人間の区別はつかないのだ。きっと単にどちらかが、戦闘機に轢かれて死んだと思ったんじゃないかな。」


「やつは俺に加勢させようと思って、ケレスに呼び寄せた。やつはその時はまだ、アズリス・ポジティブの人間が思い通りにならないことなどありえないと思っていたから、俺がケレスの軍団を倒しても、何故だ?と首を傾げるだけだったんだ。」


「もちろん、そのあとの戦いではそのようなことはなかった。サナト・アズリスは俺を憎んで、呪いの言葉を吐き続けた。俺に何ら有用な情報を与えなかったし、何か言ったとしても俺は信じなかっただろう。それ以後、俺は超常的な力無しに、周りからの英雄としての期待に、応えることを余儀なくされた。」


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*『サナト・アズリスとはなんだったのか』より*








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**カルリラル・ヴァルトラの技術開発日誌**


今日、25歳の誕生日、私は天王星の衛星にある秘密基地に赴任した。地球連合側でその能力を危険視されて追放された天才たちが集められ、最新の技術開発が行われていると聞いていた。だが、到着早々に感じたのは、この研究施設の実態が私の期待とは大きくかけ離れているということだった。


基地内を視察すると、各研究室には確かに優れた設備が揃っている。しかし、そこで働く高齢の科学者たちは、あたかも「声」をただのひらめきや偶然のインスピレーションのように扱い、明確な目標もなく、無為な「発明ごっこ」に興じているようにしか見えなかった。


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イガ博士の担当していた光子透過材料「フォトンクラッド」の開発プロジェクトは行き詰っていた。この技術は、特定の光子が物質を透過する際にエネルギー損失を最小化し、効率的なエネルギー反射と透過を可能にするものである。サナト・アズリス様が可能だと言っている、ということを根拠に研究費を獲得したにも関わらず、もう3年も何ら具体的進展が無いようだった。

現時点で達成された光子透過は最高の条件でも10%にも満たず、まったく実用的ではない。まず、基礎材料となるグラフェンとダイヤモンドライクカーボン(DLC)層の積層構造を見直す必要がある。


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イガ博士から、サナト・アズリス様の声の具体的な内容を聴取した。彼は私を軽蔑するような目で見ながら、「光子が量子トンネル効果によって物質を透過する際、粒子の相互作用がエネルギー損失を最小化するように配置されるべきだと仰っていると思う」と説明した。しばらく議論したが、どうも話が噛み合わない。そこで私は彼に、「貴様の解釈は要らない。そのままの言葉を繰り返せ」と命じた。


イガ博士はますます眉間に皺を寄せ、戸惑いながらも、私の指示に従い、サナト・アズリス様の言葉をそのまま伝えた。彼が伝えた言葉は次のようなものであった。


「光に、五次元時空で、量子場が、非局所的に接続することを考えよ。光は物質の量子状態と直接に共鳴し、零点エネルギー場と相互作用してしまうから、波束は縮退し物質を透過しない。これを回避すれば、赤外線から可視光まではつねに次元を越えて、特定の物質を安定的に透過する。」


蒙が啓かれる思いであった。

サナト・アズリス様は単に神聖な存在というだけはなく、巨大な知性であることをその時私は知った。

答えそのものを受け取っておいてこの男は何故……。


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博士は教科書通りに基礎的な実証実験をやりたがったが、答えがわかっている以上そんなものは必要ない。彼らがサナト・アズリス様の言葉を疑うから、その分開発が遅れるのだ。

私はナノスケールの量子ドットアレイを用いることにした。量子ドットは、光子が通過する際に特定の量子状態を安定させる役割を果たす。この量子ドットアレイは、シリコン基板上に形成され、電子ビームリソグラフィによってナノメートル精度で配置される。

この新しいプロセスでは、以下のステップを採用した。


1)量子ドットの配置


シリコン基板上に直径約5ナノメートルの量子ドットを自己組織化させる。量子ドットは、五次元時空に結合する特別なトポロジカル特性を持たせる設計とする(驚くべきことに、イガ博士はサナト・アズリス様の指示通りに指を動かすことで、フリーハンドでこの異常な設計をやり遂げた)。これにより、光子が量子ドットを通過する際、特定の量子状態が安定化され、零点エネルギー場との共鳴が回避される。これが光子の次元を越えた透過の基礎となる。


2)ナノプラズモン層の導入


量子ドットアレイの上に金属ナノ粒子を用いたナノプラズモン層を形成する。この層は光子の量子ドットとの非局所的結合を促進するための触媒として機能するよう設計する。特に、五次元時空への結合を強化することで、光子の透過効率をさらに高める。


3)DLC層の積層


ナノプラズモン層の上にダイヤモンドライクカーボン(DLC)層を成膜する。このDLC層は、材料全体の構造保護と光子の透過・反射制御を目的としている。光子が波束の縮退を起こさずに物質を透過するよう、DLC層の厚さと組成を調整し、エネルギー損失を最小限に抑える設計とする。


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改良されたフォトンクラッドの試作が完了し、実験を実施した。光透過率は98.3%に達した。試作サンプルにおける光子の透過エネルギー損失は0.02エレクトロンボルト(eV)未満に収まり、従来の光子透過材料の損失(約0.5eV)と比較して劇的な改善を示した。


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量産体制の設計が完了した。このプロセスでは、ナノスケールでの量子ドットアレイの配置を自動化するためのリソグラフィ技術を用いており、1時間あたり100平方センチメートルのフォトンクラッド材料を生産できる。この量産ラインでは、すべてのプロセスステップが高精度に制御され、量産された材料の品質も実験室で得られた結果と一致している。他のプロジェクトも同様に点検する。


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私が彼の声を聞けないのは、私の精神がまだ成熟していないからなのだろうか。それとも、何か他に必要な条件があるのだろうか。これまでに試した瞑想法や精神集中の技術をすべて見直し、さらに深く探求する必要があると感じている。

いつの日か、あの知性と直接語り合いたい。


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