3.5章 アズリス・ポジティブ
### 地球:人類の揺り籠
人類の発祥地であり、豊かな歴史、文化、自然美に満ちた地球へようこそ。太陽系の住人や宇宙の彼方からの訪問者であろうと、地球は古代の遺産と未来の驚異が調和するユニークな魅力を提供します。地球の最も有名な観光名所や隠れた宝石を一緒に探検してみましょう。
#### 東京のスカイガーデン
東京に位置するスカイガーデンの驚異を体験してください。この広大な垂直庭園は、空高く何百メートルも広がり、緑豊かな庭園と街並みの壮観な景色を兼ね備えています。吊り下げられた歩道を散策し、賑やかな街の上で自然の静けさを楽しんでください。
#### パタゴニアのクリスタルケーブ
南アメリカの南端、パタゴニアのクリスタルケーブを発見しましょう。この地下の驚異は巨大な結晶形成で飾られた広大な洞窟を特徴とし、まるで別世界のような景観を作り出しています。ガイド付きツアーでは、この自然の宝の美しさと地質学的重要性を紹介しています。
#### 浮遊都市ヴェネツィア
ヴェネツィアの浮遊都市を探検し、その古代の運河の魅力を現代の持続可能性の実践と融合させたエンジニアリングの驚異を堪能してください。ソーラーパワーのゴンドラに乗って水路を滑走し、都市を浮かせ続ける歴史的建築と最先端技術の融合を賞賛してください。
#### 文化と芸術の宝
地球は多様な文化と芸術表現のモザイクです。パリのルーブル美術館を訪れ、数千年にわたる傑作を収蔵した館内を探索しましょう。古代芸術を没入型の体験で蘇らせる最新のホログラフィック展示は見逃せません。
ニューヨークのメトロポリス現代美術館では、現代の芸術作品が展示されており、地球と宇宙の影響が融合した現代の芸術を堪能できます。
伝統芸能を楽しみたいなら、ロンドンのグローバルシアターを訪れてください。ここでは、シェイクスピアの演劇がホログラフィックで再現され、最先端のバーチャルリアリティパフォーマンスと共に楽しむことができます。
#### 自然の驚異と絶景
地球の自然景観は比類なき美しさを誇ります。北アメリカのグランドキャニオンは、地球の地質学的歴史を物語る壮大な証です。その広大で色とりどりの風景は、探検と冒険の機会を提供します。
オーストラリアのグレートバリアリーフは、鮮やかな海洋生物とサンゴの形成で今もなお輝きを放っています。エコフレンドリーな潜水艦による水中ツアーでは、この生きた驚異を間近で見ることができます。
#### 伝統と革新の調和
地球は伝統と革新が出会う場所です。京都では、古代の寺院や庭園が最先端のロボット工学とAI研究センターと隣り合っています。伝統的なお茶の儀式を体験した後、近くの先端技術研究所を訪れて人間とロボットの最新の相互作用を目撃してください。
人類の歴史の謎を解き明かしたい方も、多彩な文化や景観を楽しみたい方も、地球は皆さんを温かく迎え入れます。この人類の揺り籠が、なぜ宇宙で美しさとインスピレーションの灯であり続けるのか、ぜひご自身の目で確かめてください。
### 火星:未来の観光地
ようこそ、未来の観光地である火星へ!高度なテラフォーミング技術によって居住環境が整えられたこの惑星は、自然の地形と先進的な都市設計が見事に融合したユニークな観光地です。ここでは、火星の観光名所や魅力的なスポットをご紹介します。
#### 超巨大タワー「アレス・タワー」
まず訪れるべきは、火星のシンボルともいえる超巨大タワー「アレス・タワー」です。数キロメートルの高さを誇るこのタワーは、火星全体を一望できる展望台やレストラン、ショッピングモールがあり、観光客に絶景と充実したエンターテインメントを提供します。夜になると、タワー全体がイルミネーションで輝き、幻想的な雰囲気を醸し出します。
#### 未来都市「オリュンポス市」
火星の首都であるオリュンポス市は、オリンポス山の麓に位置しています。この都市は火星の政治、経済、文化の中心地であり、美しいビル群と整然とした街並みが特徴です。特に、火星の赤い砂を使用した独特の建築様式は訪れる者を魅了します。
#### 火星国際空港
火星国際空港は、未来的なデザインと最先端の技術が融合した美しい空港です。透明なドーム状の天井からは火星の空が見渡せ、到着する瞬間から観光客を魅了します。空港内には、火星の伝統工芸品や最新の宇宙技術を展示するミュージアムもあり、到着後すぐに火星の魅力を体験することができます。
#### 火星建築様式のホテル
オリュンポス市には、火星ならではの建築様式を取り入れたホテルが多数存在します。特におすすめなのが、「オリュンポス・リゾート」。このホテルは、火星の自然素材を使用した温かみのある内装と、最先端の設備を兼ね備えています。屋上の展望デッキからはオリンポス山の壮大な眺めを楽しむことができ、夜には星空を眺めながらリラックスすることができます。
#### 自然の驚異「ヴァレーズ・マリネリス」
テラフォーミングによって居住環境が整えられたとはいえ、火星の自然の驚異は健在です。特に、ヴァレーズ・マリネリスは、地球のグランドキャニオンを凌駕する巨大な渓谷であり、ハイキングや冒険ツアーが人気です。雄大な自然景観を堪能しながら、火星の地質学的な不思議を探検してみてください。
#### 文化と芸術の中心「マーズ・アートギャラリー」
オリュンポス市には、火星の文化と芸術を紹介する「マーズ・アートギャラリー」もあります。ここでは、火星のアーティストによる最新の作品や、地球から持ち込まれた名作が展示されています。宇宙芸術の融合を楽しむことができるこのギャラリーは、文化的なひとときを過ごすのに最適です。
火星は、自然の美しさと未来的な都市計画が見事に融合した観光地です。訪れる者を魅了する多彩なスポットを巡り、この赤い惑星の魅力を存分に味わってください。
### 月面テレビ局「ライナーガンマ基地通信」特別レポート
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#### 海王星連合軍襲撃後の火星
こんにちは、ライナーガンマ基地通信の特別レポートをご覧いただきありがとうございます。本日は、海王星連合軍による襲撃を受けた火星の現状を、無人ドローンからの映像を通じてお伝えいたします。
#### アレス・タワーの崩壊
まず初めに映し出されるのは、火星のシンボルであったアレス・タワーです。高質量兵器の直撃を受け、壮大な構造は崩れ落ち、中にいた多くの人々とともに押しつぶされました。かつては火星全体を一望できる展望台があったこのタワーは、今や瓦礫の山となり、その圧倒的な破壊力を物語っています。
#### 火星国際空港の惨状
次にドローンが捉えたのは、火星国際空港の光景です。熱線による攻撃で、空港の半分は蒸発し、もう半分は炭化しています。透明なドーム状の天井は崩壊し、滑走路には無数のクレーターが残っています。この場所はかつて、多くの観光客やビジネスマンが行き交う賑わいを見せていましたが、今ではただの廃墟となってしまいました。
#### オリュンポス市の被害
火星の首都オリュンポス市も甚大な被害を受けました。美しいビル群はほぼ全て破壊され、街並みは壊滅的な状況です。火星の赤い砂を使用した独特の建築様式は無残な姿となり、多くの市民が避難を余儀なくされています。地元の住民たちは今、救援物資の到着を待ちながら、瓦礫の中で生活を送っています。
#### ヴァレーズ・マリネリスの変貌
ヴァレーズ・マリネリスも、今回の襲撃による影響を受けました。巨大な渓谷は一部が崩れ、地形が変わっています。かつてはハイキングや冒険ツアーが人気だったこの場所も、今は危険地帯となり、誰も近づくことができません。
#### 火星文化の喪失
火星の文化と芸術の中心地であった「マーズ・アートギャラリー」もまた、攻撃の被害を受けました。多くの芸術作品が失われ、火星の文化遺産は大きな損失を被っています。このギャラリーは、火星のアーティストや地球から持ち込まれた名作を展示していましたが、そのほとんどが灰と化しました。
#### 終わりに
海王星連合軍による襲撃は、火星の多くの歴史的、文化的な場所に甚大な被害をもたらしました。無人ドローンによるこの映像は、火星が直面する現実を生々しく映し出しています。
今後の復興には多くの時間と資源が必要となりますが、火星の住民たちは決して諦めることなく、新たな未来を切り開いていくことでしょう。
次回の特別レポートもお見逃しなく。ライナーガンマ基地通信の特別レポートでした。
### コスモスデイリー 社説: 宗教問題である
最近の海王星連合による残虐行為を目の当たりにしながら、依然として海王星連合とゼノを擁護する人々が存在することに驚きを禁じ得ません。彼らはこのテロリズムを宗教問題ではなく、一部の過激派による行為に過ぎないと主張しています。しかし、この見解は現実を見誤っていると言わざるを得ません。
#### ゼノ過激派の実態
ゼノを標榜する過激派が海王星連合を掌握し、地球連合に対して攻撃を仕掛けている現状を鑑みると、この問題は明らかに宗教的な側面を持っています。ゼノ信仰は、単なるスピリチュアリズムから過激な宗教運動へと変貌し、その影響力を拡大しています。ゼノの教義に基づいた行動が、海王星連合の政策と軍事行動に直結していることは明白です。
#### 宗教問題の深刻さ
このような状況下で、ゼノ信者の中には戦争行為を正当化する者も少なくありません。彼らはゼノの教えを絶対視し、他の価値観や信仰を排除しようとする姿勢を示しています。この過激な思想が、海王星連合による虐殺やテロリズムを助長しているのです。
一部の擁護者は、これを単なる一部過激派の行動として矮小化しようとしていますが、その見方は危険です。ゼノ過激派が実質的に海王星連合を掌握し、その宗教的教義に基づいて戦争を遂行している以上、この問題は宗教戦争の様相を呈しているのです。
#### 絶滅戦争の危機
現実的には、我々はゼノ信仰に基づいた絶滅戦争の危機に直面しています。海王星連合の攻撃は、単なる軍事的侵略ではなく、ゼノ教義に基づいた征服と支配を目指すものです。この宗教的動機がある限り、彼らとの戦争は単なる領土争いや資源争いではなく、価値観と信仰の衝突であると言えます。
#### 結論
我々地球連合は、この宗教的問題を正視しなければなりません。ゼノ過激派の脅威を軽視することなく、断固たる態度で対処する必要があります。宗教の名の下に行われるテロリズムや戦争行為を許さず、平和と共存のために全力を尽くすことが求められています。
*コスモスデイリー編集部*
### 月面新聞 世論調査結果
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#### 月面住民のゼノ教団に対する意識調査
月面新聞は、海王星連合とゼノ教団に関する月面住民の意識調査を実施しました。調査結果は以下の通りです。
#### ゼノ教団に対する態度
- **ゼノ教団に擁護的**:8%
- **ゼノ教団に批判的**:80%
- **中立または無回答**:12%
#### 武力行使に関する意見
- **防衛のための武力行使はやむを得ない**:88%
- **反攻して海王星連合を倒し、責任を取らせるべき**:63%
#### 調査方法
本調査は、ランダムに選ばれた月面住民1,000名を対象に、直接インタビューとオンラインアンケートを併用して実施されました。調査は直近の1週間の間に行われ、誤差範囲は±3%です。
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調査結果は、月面住民の大多数がゼノ教団に対して批判的な見解を持ち、防衛のための武力行使を支持していることを示しています。また、反攻して海王星連合を倒し、責任を取らせるべきと考える人が過半数を占めていることも明らかになりました。
*月面新聞編集部*
### ライナーガンマTV 速報
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#### 月面総督府とライナーガンマ大学の特別調査結果
**速報**
月面総督府とライナーガンマ大学生理学教室の特別調査により、月面住民の中でゼノに親和的な考え方を持つ人々が特定の脳構造を持つことが明らかになりました。
この調査では、ゼノ教団に対して親和的な考えを持つ住民の神経細胞の受容体にエピジェネティックな変化が確認されました。この変化は、ゼノ教団の思想や信仰に対する感受性を高めるものと推測されています。
#### 調査の背景と方法
調査は、月面住民の心理学的および生理学的データを収集・分析することを目的として実施されました。被験者はゼノ教団に対する態度に基づいてグループ分けされ、神経細胞の受容体に関する詳細な分析が行われました。その結果、ゼノに親和的なグループの受容体に特異なエピジェネティックな変化が確認されました。
#### 今後の展望
この調査結果は、ゼノ教団の信者形成メカニズムを理解する上で重要な一歩となります。月面総督府とライナーガンマ大学は、さらに詳細な研究を進め、ゼノ教団に対する対策を強化する予定です。
この速報は、月面社会にとって大きな影響を与えるものであり、今後の動向に注目が集まります。
*ライナーガンマTV 編集部*
### ライナーガンマ大学 プレスリリース
**発表者: ライノ・マクグリン博士、リサ・マクグリン教授 (生理学教室)**
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#### 特定の脳機能変容に関する調査結果の発表
ライナーガンマ大学生理学教室は、ゼノ教団および海王星連合に対して親和的な考えを持つ者、ならびに反戦デモや暴動、反乱を行った者に関する包括的な調査を実施しました。これは、異常な残虐性を伴う虐殺の報道を見てもなお、そのような行動を取る人々の器質的な脳機能の変容を解明するためです。
過去の大規模調査から、海王星住民において割合が多いことが既知の脳機能変異に注目し、CB法(セントラルブロッティング法)を用いて優先的に解析しました。その結果、神経終末の受容体におけるクロマチン化の多型が、ゼノ教団および海王星連合への親和性と有意に関連していることが判明しました。
#### 調査方法と結果の詳細
本調査では、被験者の脳組織サンプルを採取し、CB法により詳細な解析を行いました。特に、神経終末の受容体におけるクロマチン化の多型についての調査を重点的に行いました。解析の結果、この多型はゼノ親和性および海王星連合への親和性と強く関連していることが明らかとなりました。
- **浸透率**: 80%
- **家族内発症**: 確認
この変異は単一の機能性変化として存在するのか、他の変化に伴うものかについては現在も検討中です。私たちはこの変異を「アズリス・ポジティブ」と名付けました。現在、この研究結果は論文化の段階にあります。
#### 今後の研究
この発見は、ゼノ教団および海王星連合の信者や親和的な者たちの行動パターンの理解を深める上で重要な一歩となります。今後も、アズリス・ポジティブ変異の詳細な機能解析を進め、その社会的および臨床的影響についての研究を継続していく予定です。
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**For further information, please contact the Department of Physiology at Liner Gamma University. **
*ライナーガンマ大学 生理学教室*
### テレビCM意見広告: 火星での虐殺
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(映像: 火星の荒廃した風景が映し出される。廃墟となった建物や、燃えさかる都市の様子が見える。背景に悲痛な音楽が流れる。)
(ナレーション: 「火星での悲劇を忘れないでください。」)
(映像: 若い女性が傷つけられながら連れ去られるシーンが映し出される。女性の名前と顔写真が画面に大きく表示される。)
(ナレーション: 「彼女の名前はエリカ・ジョンソン。火星での虐殺によって、無実の人々が犠牲になり、彼女のような若い女性が連れ去られています。」)
(映像: エリカの家族の写真、彼女が笑顔で過ごしていた日常の瞬間が次々と映し出される。)
(ナレーション: 「彼女らを家に返せ。」)
(映像: 画面中央に大きく「彼女らを家に返せ」という文字が表示される。背景にはエリカの家族が涙ながらに彼女の帰りを待っている姿が映る。)
(ナレーション: 「この残虐行為を止めるために、私たち一人一人が声を上げなければなりません。彼女らを家に返しましょう。」)
(映像: 「行動しよう」という文字が表示され、問い合わせ先の情報が画面に表示される。)
(ナレーション: 「今すぐ行動してください。彼女らを家に返すために。」)
(映像: 「行動しよう」という文字と共に、問い合わせ先の情報が再度表示される。)
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(映像がフェードアウトし、悲痛な音楽が止む。)
*CM終了*
### ステヴィヌス・ストリート・タイムズ: ライナーガンマ大学への倫理的批判と研究捏造疑惑
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#### ラザラス・デント総長の意見を引用
ライナーガンマ大学生理学教室が発表したアズリス・ポジティブ変異に関する研究結果に対し、倫理的な批判と研究捏造の疑惑が高まっています。特に、被験者本人の同意を得ずに危険な脳細胞の生検を行った疑惑が問題視されています。
ジョン・ハドリー記念大学の総長であるラザラス・デント氏は、この問題について以下のように述べています。
「ライナーガンマ大学の研究には重大な倫理的欠陥があると考えています。被験者の同意を得ずに脳細胞の生検を行った疑惑は、学術界における信頼性を著しく損なうものであり、許容されるべきではありません。さらに、研究捏造の可能性についても調査が必要です。科学研究の信頼性と倫理性を守るためには、徹底した検証が不可欠です。」
#### 問題の背景
ライナーガンマ大学生理学教室の発表は、ゼノ教団および海王星連合に対する親和性が特定の脳構造変異に関連していることを示唆するものでした。しかし、この研究発表が行われるや否や、被験者の同意を得ずに生検を実施したという疑惑が浮上しました。
また、一部の研究者からは、研究データの信憑性に疑問が呈されています。特に、データが過剰に整合していることや、実験手法に不自然な点があると指摘されています。
#### 学術界の反応
学術界からは、ライナーガンマ大学に対する批判の声が高まっています。多くの研究者が、このような疑惑が浮上することで、科学研究全体の信頼性が損なわれることを懸念しています。
ある匿名の研究者は、「このような行為が許されるならば、科学の進歩は停滞し、一般市民の科学に対する信頼も失われるだろう」と述べています。
#### 今後の展開
現在、ライナーガンマ大学はこれらの疑惑に対する調査を進めています。倫理的な問題が確認された場合、関係者には厳しい処分が下される可能性があります。また、研究捏造の疑いが晴れない限り、今回の研究結果の信頼性は大きく揺らぐことになるでしょう。
今後もステヴィヌス・ストリート・タイムズは、この問題に関する最新情報を追い続け、読者の皆様にお伝えしていきます。
*ステヴィヌス・ストリート・タイムズ編集部*
### 月面新聞: ライノ・マクグリン博士の反論
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#### ライナーガンマ大学の反論記事
**ライノ・マクグリン博士による反論**
ライナーガンマ大学生理学教室のライノ・マクグリン博士は、同大学に対する倫理的批判と研究捏造疑惑に対して強く反論しました。
「我々の実験は適正な手続きに則って行われており、捏造など一切ありません。すべての被験者から適切な同意を得て研究を進めております」と博士は述べています。
さらに、博士は興味深い事実を明かしました。ジョン・ハドリー記念大学のラザラス・デント総長の弟の息子から同意を得て脳細胞を採取し、調査したところ、彼がアズリス・ポジティブであることが判明しました。この事実は、家族内発症の可能性を示唆しています。
「ラザラス・デント総長もアズリス・ポジティブである疑いがあり、サナト・アズリスへの帰依心からこの重大な秘密を隠蔽しようとしているのではないか」と博士は語りました。博士はこの件について、徹底的な調査が必要だと主張しています。
#### ラザラス・デント総長の反論
この反論に対し、月面新聞の取材を受けたラザラス・デント総長は短く答えました。
「このような疑いのかけ方は、まるで魔女狩りのようなものだ。家族を騙して検査を受けさせるなど、ほとんど差別のようなものだ。このような方法論への抗議として、私は断固として検査を拒否する」と総長は断固たる態度を示しました。
#### 今後の展開
ライナーガンマ大学とジョン・ハドリー記念大学の間で激しい論争が続く中、科学界全体がこの問題に注目しています。倫理的な手続きの確認と共に、両者の主張の真偽が問われることになるでしょう。
月面新聞は引き続きこの問題を追い、最新情報を読者の皆様に提供していきます。
*月面新聞編集部*
### 極秘報告書: ケレス防衛軍
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#### ライナーガンマ大学のプレスリリースに基づく調査結果
ケレス防衛軍は、ライナーガンマ大学のプレスリリースを受け、すでに処刑したケレス宇宙ステーションでの反乱者の脳細胞を極秘に調査しました。その結果、98%の反乱者にアズリス・ポジティブと呼ばれる所見が確認されました。
さらに、対照として敵軍の攻撃による死者を調査したところ、アズリス・ポジティブの所見は0%であることが判明しました。この結果は、反乱者の中でアズリス・ポジティブが高い割合を占めていることを示唆しています。
#### 調査方法
本調査は、ライナーガンマ大学の生理学教室が発表したCB法(セントラルブロッティング法)を用いて実施されました。反乱者と敵軍の死者の脳細胞サンプルを採取し、詳細な解析を行いました。調査はケレス防衛軍の生物医学研究部隊によって厳密に管理され、結果の信憑性を確保しました。
#### 結論と考察
この調査結果は、アズリス・ポジティブの変異が反乱者の行動に深く関連している可能性を示しています。ケレス防衛軍は、この情報を元にさらなる対策を講じる必要があります。アズリス・ポジティブの特徴を持つ者の監視と予防措置が重要であり、反乱の再発防止に向けた具体的な戦略が求められます。
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この報告書は、最高機密として取り扱われ、限られた上級指揮官にのみ配布されるものとします。さらなる詳細な調査と対策については、引き続き報告を行います。
*ケレス防衛軍 生物医学研究部隊*
### 海王星連合の宣伝映像
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(映像: 厳粛な宗教音楽が流れる。暗い背景に海王星連合のシンボルが浮かび上がる。)
(ナレーション: 「サナト・アズリス様の声を聞け。」)
(映像: 木星の衛星エウロパの映像が映し出される。かつての繁栄したカジノ街の廃墟が広がる。)
(ナレーション: 「かつて堕落しきったカジノ惑星として知られたこの星は、全土が破壊しつくされ、住民も観光客も、サナト・アズリス様の声を聞けるものを除いて全員が浄化された。」)
(映像: 廃墟となったカジノ、瓦礫の中に転がるスロットマシーンが映される。)
(ナレーション: 「かつてスロットマシーンを作っていた自動機械は今や転用され、地球連合の愚かな民たちを効率よく殺戮し尽くすための銃器がどんどん作成されている。」)
(映像: 自動機械が大量の銃器を製造している様子。銃器が次々と組み立てられていく。)
(ナレーション: 「サナト・アズリス様の啓示のもと、海王星連合は宇宙の秩序を回復し、真の平和をもたらす。」)
(映像: 銃器を手にする海王星連合の兵士たちが映し出される。彼らの背後には、サナト・アズリスの巨大なシンボルが輝く。)
(ナレーション: 「サナト・アズリス様の声を聞け。真の浄化と平和は、我々の手によってもたらされる。」)
(映像: 宗教音楽が高まり、画面に大きく「サナト・アズリス様の声を聞け」と表示される。)
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(映像がフェードアウトし、音楽が静かに止む。)
*映像終了*
### 地球連合首脳部 緊急会議議事録
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#### 議長の開会宣言
議長: 「緊急会議を開会します。まず、最新の状況報告とともに、本日の主要議題について議論を進めていきます。」
#### アズリス・ポジティブとは何か
委員A: 「そもそもアズリス・ポジティブというのは何なのかね?」
科学顧問: 「アズリス・ポジティブとは、ライナーガンマ大学の研究によって特定された脳構造の変異です。この変異は神経終末の受容体のクロマチン化の多型に関連し、ゼノ教団や海王星連合に対する親和性を示すものです。」
科学顧問助手の補足説明: 「要するに、何らかの未知のメカニズムで、敵に洗脳されやすくなるということのようです。」
#### 火星やケレスでの反乱との関係
委員B: 「火星やケレスで敵の海王星連合軍に呼応して反乱した者たちがいるという疑惑と整合性があるのではないか?」
軍事顧問: 「はい、その通りです。ケレス防衛軍の極秘報告書によれば、処刑された反乱者の98%がアズリス・ポジティブであると確認されています。この結果は、アズリス・ポジティブの者が敵の海王星連合軍と通じている可能性を強く示唆しています。」
#### アズリス・ポジティブの危険性と対策
委員C: 「このアズリス・ポジティブの情報が一般に知られることの危険性についてはどう考えていますか?」
情報顧問: 「アズリス・ポジティブの存在が広く知られれば、社会不安が広がり、内部の分裂を招く恐れがあります。これを防ぐためには、情報の管理と適切な対策が必要です。」
委員D: 「アズリス・ポジティブが見られる人員を解雇もしくは処刑すべきか、さらには軍部で全員を検査するべきかどうか、議論する必要があります。陽性の人というのはどのくらいいるのですか。」
科学顧問: 「現時点での見積もりでは、地球連合側で一般人口の5%程度、海王星連合側では人口の50%くらいが、陽性なのではないかと考えられています。」
委員D: 「5%も!」
科学顧問:「検査は、脳細胞生検です。精度は高いと思われますが、0.1%以下の確率で脳出血のリスクがあります。また、大規模な検査を行うには時間と資源が必要です。」
#### 対応方針の決定
議長: 「我々はすでに海王星連合に追い詰められており、滅亡の危機に瀕しています。この状況で、我々がアズリス・ポジティブについて気づいたことを敵に察知されない方が良い。少なくとも、現段階ではその情報を隠す必要があります。」
委員D: 「それは正しい。しかし、何しろ5%も、潜在的にスパイになりうるものが居ると思われる訳です。喫緊の軍事的危機に対処することが優先されるとしても、5%というのはとても無視できる数字ではない。内部の対策をどう進めるかが課題です。軍部の全員を検査することは現実的ではないとしても、特定の高リスク者を対象に重点的な検査を行うべきではないでしょうか。」
軍事顧問: 「同意します。まずは、最もリスクの高い部門や個人に対して検査を実施し、必要に応じて対策を講じることが現実的なアプローチです。」
議長: 「では、当面の方針として、重点的な検査と情報管理を行うこととし、必要に応じて追加の対策を講じることで合意します。」
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### 秘密レク議事録
**場所:** 地球連合政府 安全保障委員会会議室
**出席者:**
- カイン・ヴァロス(地球連合政府 安全保障委員 地球議会議員)
- オレイ・ターヴェン(地球政府 厚生省 科学技官)
- その他 委員会メンバー
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**カイン・ヴァロス:** 「おい、さっきの会議で言ってた、アズリス・ポジティブってやつ、一体どういうものなんだ? 簡潔に説明してくれ。」
**オレイ・ターヴェン:** 「はい。アズリス・ポジティブは、特定の人たちの脳に見られる異常です。この異常があると、彼らは海王星連合やゼノ教団やサナト・アズリス……要するにゼノにとっての神みたいなものですが、そういうものに肯定的になって、しかもそういうものから送られる何かの信号に反応して、操られる、ということのようです。」
**カイン・ヴァロス:** 「操られる、とは?」
**オレイ・ターヴェン:** 「彼らは自分の意思に反して、海王星連合の神様みたいなものが発信する特殊な信号によって行動を変えさせられるんです。つまり、知らないうちに敵の命令を受け、それに従うように仕向けられるということです。」
**カイン・ヴァロス:** 「まさか、スパイとして使われる可能性があるってことか?」
**オレイ・ターヴェン:** 「その通りです。普通の生活を送っている間は問題ないように見えても、特定の状況下で突然行動を変え、海王星連合を擁護するような行動をするだとか、地球連合への破壊工作をするだとかして、結果的に我々に害をもたらす可能性があります。内側から我々の防衛を崩壊させる深刻な脅威で、しかもすでに浸透しているようです。」
**カイン・ヴァロス:**「脳の異常が原因で、自分自身も気づかないうちに敵の手先になると……。」
**オレイ・ターヴェン:**「そうです。脳内の異常な受容体が、信号に強く反応することで、彼らの行動が操作されるんです。そういう先天的な異常を持った人が、地球連合側にも20人に1人くらいいるのではないか、とのことです。」
**カイン・ヴァロス:** (考え込みながら)「オイ、……俺やお前がそうじゃないって、調べる方法はあるのか?」
**オレイ・ターヴェン:** (慎重に)「生検で確認する方法はありますが、それは手間がかかり、全員に実施するのは現実的ではありません。今は、特定の疑わしい人物を調査し、必要なら対策を講じるしかありません。」
### 情報部極秘会議
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#### 会議の開始
部長: 「皆さん、今日の議題はライナーガンマ大学および紙上の論争に対する対応策です。極秘会議として進めます。情報が一般に知られることを防ぐ前提で議論を始めましょう。」
#### 情報の管理と対策
エージェントA: 「ライナーガンマ大学の研究と、それに関する紙上の論争はすでに大きな注目を集めています。この情報が広まれば、内部の分裂や社会不安が広がる恐れがあります。」
エージェントB: 「我々としては、まずこの論争を決着させる必要があります。そのためには、研究に不備があったことにして、大学での研究を中止させるのが最も効果的でしょう。」
#### 表向きの対応
部長: 「具体的には、どのような手順を踏むべきでしょうか?」
エージェントC: 「まず、ライナーガンマ大学に対して、研究の倫理的および方法論的な問題を指摘する監査を実施します。その結果、研究に重大な不備があったと結論付けます。」
エージェントA: 「次に、学術誌やメディアを通じて、研究結果が信頼できないと発表し、論争を終息させます。これにより、研究の正当性を否定し、情報の拡散を防ぎます。」
#### 博士の処遇
部長: 「ライノ・マクグリン博士とリサ・マクグリン教授についてはどうしますか?」
エージェントB: 「博士たちは高給で軍に臨時編入させるのが良いでしょう。表向きには研究の不備を理由に大学から追放する形にしますが、実際には軍の研究部門で機密研究を続けてもらいます。」
エージェントC: 「彼らの知識と能力は貴重です。軍での研究に専念させることで、適切な管理下に置くことができます。」
#### 結論と行動計画
部長: 「では、以下の方針で進めます。ライナーガンマ大学の研究を監査し、不備を指摘して中止させる。論争は学術誌やメディアを通じて終息させる。ライノ・マクグリン博士とリサ・マクグリン教授は、軍に臨時編入する。この計画を即座に実行に移してください。」
### 海王星連合の宣伝映像: エンケラドゥス
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(映像: 厳粛な宗教音楽が流れる。暗い背景に海王星連合のシンボルが浮かび上がる。)
(ナレーション: 「サナト・アズリス様の声を聞け。」)
(映像: 土星の衛星エンケラドゥスの映像が映し出される。かつての研究施設と防衛基地が広がる景色が見える。)
(ナレーション: 「エンケラドゥス。かつて研究施設と防衛基地が存在したこの衛星は、全土が破壊され、地球連合の駐留部隊も、住民も、サナト・アズリス様の声を聞けるものを除いて全員が浄化された。」)
(映像: 廃墟となった研究施設と防衛基地の残骸が広がる。)
(ナレーション: 「かつて科学の探求と防衛の拠点であったエンケラドゥスは、今や聖なる浄化の地と化した。」)
(映像: 廃墟の中で稼働している製造機械が映される。新たな用途として武器の生産に転用されている。)
(ナレーション: 「かつて科学研究を行っていた自動機械は、今や地球連合の愚かな民たちを効率よく殲滅するための兵器を製造している。」)
(映像: 自動機械が大量の武器を製造している様子。兵器が次々と組み立てられていく。)
(ナレーション: 「サナト・アズリス様の啓示のもと、海王星連合は宇宙の秩序を回復し、真の平和をもたらす。」)
(映像: 武器を手にする海王星連合の兵士たちが映し出される。彼らの背後には、サナト・アズリスの巨大なシンボルが輝く。)
(ナレーション: 「サナト・アズリス様の声を聞け。真の浄化と平和は、我々の手によってもたらされる。」)
(映像: 宗教音楽が高まり、画面に大きく「サナト・アズリス様の声を聞け」と表示される。)
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(映像がフェードアウトし、音楽が静かに止む。)
*映像終了*
### 定時外非常報告 緊急度:赤
月面レーダー部隊: 「こちら月面レーダー部隊、緊急報告します。ホットラインを開通しました。最新鋭艦隊の大群が地球に向かっています!繰り返します、最新鋭艦隊の大群が地球に向かっています!」
「ケレスは陽動とみられる!繰り返す、ケレスは陽動!敵主力部隊が地球へ接近中!」
地球連合 宇宙ステーション「みどり」通信手:「……(息をのむ)。もっと詳細な情報はありませんか!」
月面レーダー部隊: 「敵艦隊の規模は推定で200隻以上、そのうち主力艦は50隻を超えます。あぁっ、火星の表面を熱戦兵器で焼いた金色の戦艦もいます! 方角は南東方向、会敵予想時刻は地球時間であと1時間後です。」
「これから月面防衛隊がスクランブル発進し、迎撃に向かいます。しかし、敵の数が圧倒的です。地球連合司令部は速やかに対応策を講じてください。」
地球連合 宇宙ステーション「みどり」通信手: 「なんてことだ……地球は終わりだ……」
月面レーダー部隊: 「繰り返します、最新鋭艦隊の大群が地球に迫っています。ケレスは陽動です。敵主力部隊が地球へ接近中。月面防衛隊は全力で迎撃に向かいます。地球の防衛を強化し、全てのリソースを投入してください!」
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日記
今日、初めて「プリザモ」を見た。舞台に立つのは、私と同じくらいか、もっと若い子たち。彼らは輪になって立ち、何も言わずにただ静かに動いていた。指示もないのに、みんなが同じように揺れていて、まるで一つの大きな生き物みたいだった。
不思議だったのは、振り付けもリズムも全くないのに、全体がぴったり合っていること。どうしてあんなにうまく動けるんだろう? 私はその場でただ息を呑んで見入ってしまった。先月火星にいたときに見たラインダンスのことを思い出したけど、あれはただの遊びみたいなものだ。プリザモは全然違う。もっともっと不思議で、きれいで、心に響くものだった。
私もあの中に入りたいと思った。あの輪の一部になって、サナト・アズリス様の声を感じてみたい。でも、私にはその声が聞こえない。みんなのように踊れる自信もない。だから、ただ見ているしかないんだと思うと、少し寂しくなった。
舞台を後にしても、その光景がずっと頭から離れない。もしサナト・アズリス様の声を聞くためには、何かを失わないといけないのかな? その声を聞くことができれば、もっと素敵な自分になれるのかな?
カルリラル・ヴァルトラ
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