第4話 昼休み
「あ゙ぁーーーやっと終わったぁーーーー!」
やっと午前の授業が終わった。僕は伸びをしながら声を上げた。
「さて、昼飯でも食べるか。」
そう言いバッグから弁当箱が入ってる袋を取り出した。
机の上で弁当を広げ食べる準備をしていると
「ねえ、今田君。お昼一緒に食べない?」
成岡さんがお昼に誘ってきた。
「あ、うん、いいよ。」
僕が承諾すると成岡さんは前の席を僕の席にくっつけて向かい合わせにした。
「へぇ、成岡さんも弁当なんだ。」
「意外?」
「いや、そうじゃないけど僕と一緒だなって。」
「そっちこそ意外なんだけど。」
「何が?」
「君のお昼がお弁当なこと。」
「まあ、購買は高いから自分で作ったほうが安んだよね。」
「え、何?今田君自分でお弁当作ってるの?」
急にびっくりしたような声を上げてきた。
「前に言わなかったっけ?料理できるって」
「言われたけど弁当まで自分で作ってるとは思ってなかったから…」
「親が朝早くから仕事だからできるだけ負担をかけたくないなって思って。」
「へぇ、今田君って優しいんだね。」
温かい優しい笑みを浮かべて言ってきた。
「何か最近変わったね。」
「え、何が?」
「いや、前までは冷たい氷姫って感じだったけど、今は氷が溶けて普通の可愛い女の子になってきたなって。」
「……可愛い」
顔を赤くしながらなにかつぶやいている。
「どうしたの?」
僕が心配して声を掛けると
「っ何でもない…ただちょっとびっくりしただけ。」
何に?と思ったがまあなんでもないならいいか。
「確かに前の私とは大分変わったけどね。前の私はだいぶ尖ってた…」
「そうだね。尖ってと言うよりか冷めてたというべきかな?どちらにせよ今のほうがいいと思うよ。」
「そう?ありがと。」
ニコッと明るく笑った。うん、やっぱり成岡さんは笑ってるほうが可愛い。
「うん、やっぱり笑ってるほうが可愛いな。」
「!っ…だから簡単に可愛いなんて言わないで!びっくりするから!」
「ごめん、口に出てた?」
どうやら無意識に口に出していたらしい
顔を赤くして照れてる。可愛い
「わかった。以後気をつけるよ。」
「そうして。そして他の女子に可愛いなんて絶対言わないでね。」
「はい。分かりました。」
何か睨まれてる気がする。ここは素直に従っておこう。何されるかわからないからね。
「ところで話し変わるけどいつも一人で食べてるよね?一緒に食べる友達いないの?」
うっ、それを聞いてくるか。
「いや、一応友だちはいるよ。一緒に昼を食べてないだけで」
「その人は違うクラス?」
「それもあるけどそいつら全員彼女持ち」
「成程…だから君は一人寂しく昼を食べてたわけか。納得だ。」
「でも、今できたよ。」
「どういうこと?」
「成岡さんだよ。今一緒に食べてるじゃん。」
「ああ、そうだね…次からも一緒に食べる?」
「是非お願いします。」
これで昼ボッチじゃなくなるぜ!
「ねぇ、今田君、一緒にお昼を食べる仲になったんだしこれから下の名前で呼び合わない?」
「え?いいけど……美希?」
「なぁに?健人君」
やばい、名前で呼ばれるのは予想以上に恥ずかしい。
「ちょっと恥ずかしいかも…」
「まあまあ、これから慣れていこう!健人君。」
「はい、善処します。………美希。」
というわけで僕たちは名前で呼び合うようになった。
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