小ネタ おじいさん


これは桐生が中学生、まだおじいさん(赤の他人)が存命だった頃のお話。




「おじいさん、昔モテたの!?

 ほんとに~?(疑いの眼差し)」



「おう!よりどりみどりあおみどりだ。

 ワシはフツメンだったし金もなかったが、当時はヒモのハシゴで暮らしていけた」



「全然自慢にならないよ…」



「ワシの時代は、夜這いやら間男やら普通でなあ。

 ボウズが思ってるほど世間様に恥じるものではなかったぞ」



「今も昔も、ヒモは変わらず存在するといういい勉強になったよ…。

 そういう無駄な豆知識じゃなくて、もっとヴァンパイアについて教えて!」



「焦るな焦るな。ワシだってそこまで詳しくはない。

 そうだなー。

 いいかボウズ。

 惚れた相手ができたら、とりあえず血を吸ってみろ。一発でオチる。

 最初の一回は特別に効くからなあ」



「なに言ってんのさおじいさん。

 そんなことしたら、ビンタされて警察に突き出されて終わりでしょ」



「はっはっは。

 騙されたと思ってやってみろ、その時が来たらな?

 吸血衝動を満たせて、相手もゲットで一石二鳥だ、最高だぞ?」




 おじいさんが楽しそうに笑う。

 この人、面白くて好きだけど、こういう時は僕にいじわるして、わざと言い方回りくどいんだよなあ…。





現在の桐生「(あの回りくどさのお陰で、このことが記憶からすっぽ抜けたんじゃないか!!

 僕は今ちょっとだけ、あなたの軽い口調を恨んでます…)」





  小ネタおわり。

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