第3話 妄想
その後のLINEのやりとりで、日付は夏休みの始まる7月19日から8月31日まで。俺は大園と2人っきりで訳のわからん異世界を冒険するのか!?もしかしてここででかいモンスターに襲われた大園を、「お前はそこで待ってる!」とか言って守ってやるとか、怪我した大園を山小屋まで運んで、魔法の力で怪我を治すとか──そんなの最高じゃねえか!もう待ちきれない!勉強なんて頭に入るわけがない!
「おい美褂、何ぼーっとしてるんだ」先生にどう言われてハッと気づいた。俺は異世界冒険のことばかり考え過ぎて、先生の声なんて聞こえていなかった。「はい、なんですか?」
なんとかこの数学の時間を乗り越えた。ああ、あと3時間頑張れば天国だ!ああ、俺は幸せ者だ…そんなふわふわした気持ちで廊下を歩いていたら、前を歩いていた誰かにぶつかった。「あ、ごめんねぇ〜!」そこにいたのは大園だった。「あぁ、大園ごめん」俺はぶつかったのが嬉しくてちょっと笑いながら謝った。そうしたらすみで見ていた大迫たちが「おい、あれ見ろよ!」と言って近くにいた4〜5人の男子を呼び、俺の方を指さして「まじかよ!」という顔で見てきた。なんだよ、俺だって恋ぐらいするっつーの!
大迫たちが俺の方をみて「やば!」とか「あいつだけ先モテるとか何なん?」と話していたから、特に話すこともできずその場を離れた。もうすぐ授業が始まるからあっちもいろいで帰っていたけどね。
そのあとも授業を浮かれながらなんとか切り抜け、やっと最高の夏休みが始まる!
いや、俺はとんでもない物の存在を忘れていた。
「それじゃあ、今から夏休みの宿題を渡すぞ」
そうだそうだ、宿題があるんだ!俺は宿題の存在なんて忘れていたから、それを聞いた瞬間に頭が真っ白になった。ま、まじか…俺どうするんだ!いや、宿題なら異世界でもできるだろ!
俺は夏休みを想像してワクワクドキドキしまくっていた。
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