第44話
その後に三人で夕食を取った。
この後の予定や取り留めのない話題をしていたが、俺は睡魔に襲われてジンナの家に行けずに眠ってしまっていたらしい。起きたら真夜中だった。
「おはようケン。君は生活サイクルが乱れているようだね。ジンナの食事は運んでおいた」
「お、おはよう。ありがとう・・・」
俺はまだ寝ぼけていてぼけーっとしてエータの出してくれた紅茶を飲んでいた。
「今日はアレクシウスに我々の移動を見せてから、君の訓練をしようと計画している。睡眠時間は十分だと思うが体調はどうかね?」
俺はまたあの地獄の移動を思い出して
「うえー」
と小さな声で呻いた。
「それと、今日は君の『彼女』の所にはいかないのかね?日の出まで後1刻、2時間ほどだが?」
俺は一気に目が覚めて家を飛び出し、ジンナの家に行った。
コンコンとノックしてドアを開け中に入ったらジンナは部屋の掃除をしていた。
「ご、ごめんジンナ。寝ちゃってて・・・」
俺は頭を下げた。
ジンナは掃除の手を止めて
「もうケン!謝らないで!私こそ付き合わせて遅くまでごめん・・・」
俺はジンナに近寄って手を取って
「ごめん・・・だからジンナも謝らないで」
「あはは、変なの。ケン、目ヤニが・・・」
俺は顔も洗わずに来たことを思い出し、焦ったがジンナに手を引かれ
「一緒に井戸まで行こう?この時間ならまだ大丈夫かな」
そう行って井戸まで行って顔を洗った。
月の陰った薄暗い中で、二人でほんの少しだけ散歩をした。
「もう戻らないと・・・早起きの人が・・・」
ジンナが不安そうにそう言うので俺はジンナのミミズの手を握り
「い、一応俺もこの村の『英雄』って言われたし、アレックスもいるから・・・だ、大丈夫だよ」
自信無さげにそう言ったがジンナは笑ってくれた。
それから俯いてから再度ケンを見上げて
「じゃ、じゃあ、あなたの・・・つ、妻って言ってもいい?」
最後の方は消えるような小さな声だったけど、はっきり聞こえた。俺はドギマギしながらも
「ああ、だから待ってて」
「で、でも人に見られたくないから帰る」
そうしてジンナの家に帰って俺も家に戻った。
家に戻るとアレックスも起きており、椅子に座って目を閉じて紅茶を飲んでいた。
「おはようアレックス」
俺が声をかけたら片目だけ開けてすぐにまた閉じた。
「ケン、君もかけたまえ。食事が住んだら村の外に出よう。全速力を出せる場所で移動をお披露目しようじゃないかね」
何故だかやる気満々に見えるエータに引きながら、俺は今食べても、後ではき出してしまう自分を想像して青ざめていた・・・
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