哲学、強迫症、性、夢、パンデミック、抑圧。
さまざまな要素が絡み合ってつかみどころの無い作品ですが、抜群の描写によってその全てを魅力にし、物語が進んでいきます。
特に、プールの中で強迫観念が啓示へと変化する場面や、悪夢から目覚める場面の描写からは、決して明るい場面ではないのに緩やかな高揚を感じ、不思議な感覚に陥りました。
つかみどころが無いと述べましたが、読み込むことによって、私は「抑圧、制度からの解放」というテーマが幾つも散りばめられていると感じました。パンデミック下での学生生活の抑圧は、筆者が肌で感じていることでもあるのではないでしょうか。
考察に耐えうる、素晴らしい作品です。読む人によって色々な魅力が引き出されるので、読んでみてください。