5話
「天華ぁー!おっはよう!」
「おはよ、美月。朝から元気だね」
美月は朝から元気なあいさつをする。
私はそんな美月に元気をもらって微笑んだ。
「天華!それより今日何の日か知ってる?」
「今日?」
唐突にそんな話題を振られたが、今日が何の日かなんて…。美月や私の誕生日でもないし、何の日なんだろう。
「分かんない。何の日なの?」
「隣のクラスの子が言ってたんだけど、少し前に模擬戦やったじゃん?」
「うん」
「その戦い方とかを見て、個人個人に合った武器が配られるんだって!」
「そうなの?楽しみだね。私、どんな武器がもらえるのかな…?」
美月の言葉に興味が湧いて、心が躍る。自分にぴったりな武器がもらえるなんて、とても楽しみだ。
「うーん、天華は、遠距離も近距離も得意だからな…きっと、すごい武器がもらえるに違いないよ!」
◇
授業が終わり、待ちに待った武器配布の時間だ。
廊下には生徒達が多く集まり、ざわざわと期待の声が溢れている。
「天華、行こう!」
美月が私の手を引っ張る。私も気持ちを高めながら彼女の後をついて行った。
体育館に着くとすでに何人かの生徒が座っており、 生徒の前には机と数人の先輩達、先生が色とりどりの武器を持って待機していた。
「すごい、色んな武器があるな!」
「あっ、彰人」
「天城君?」
後ろから話しかけて来たのは彰人だった。美月は彰人を初めて近くで見て、驚いているようだ。
「この子は
「俺は
「うん、天城君よろしくね〜」
彰人は先生達が持っている武器をキラキラした目で見つめていた。
「ふふっ、彰人嬉しそうね」
その光景を見て、私はつい笑ってしまった。彰人の目には興奮と期待が溢れていて、まるでクリスマスプレゼントをもらった子供のようだったからだ。
「だってこんな機会なかなかないだろ?期待しないほうが無理ってもんだよ!」
「確かにね、私もとっても楽しみだよ」
「みんな静かに!」
先生が声を上げた。その言葉に周りは一瞬で静まった。みんなの視線が先生に集中する。
「今から武器配布を行います。この前の模擬戦の順番に、パートナーと一緒に並んでください」
先生の一言でみんなが順番に並び始めた。私も彰人と一緒に自分たちの場所へと進んだ。
「じゃあまたね美月。行こう、彰人」
「うん、また後でね〜」
みんなが座り終わり、武器が配られはじめた。1組目は美月たちだ。
先端に三日月の装飾をしてある細長い銀色の杖?のようなものを渡されていて、何と言われているのか分からないが美月はとても嬉しそうに微笑んでいる。
「次、天城と神楽」
「「はい!」」
ついに私たちの番がきた。彰人はとても嬉しそうで、私もそれにつられてつい微笑んでしまう。
彰人が私の前に並び、先生から武器を渡された。
渡されたのは大小2本の刀、いわゆる
「これは霊紋が炎の人にぴったりな刀で、普段は軽量だけど霊力をこめるてあやかしに攻撃すると焼けるような痛みを与えることができるんだ」
先生がそう説明すると、彰人は実際に刀を持ってみてその重みを感じているようだ。そして刀を置いて先生に「ありがとうございます」と嬉しそうに言った。
次は私の番だ。
「次は神楽さん。あなたの武器はこれよ」
そう言って先生が差し出してきたのは白色を基調とした弓で、淡いピンクや紫の花が装飾されてある。
弦の部分は半透明な糸で、儚さを感じられる。
「この武器は
あなたはサポートは上出来だし、前線での戦い方もうまかったから悩んだんだけど、ぴったりな武器だと思うわ」
先生の説明が終わり、私が弓を持ち霊力を流すと淡い青色の花や蔦が現れ、弓に巻きつき光を放った。
その瞬間手触りが変わり、美しく長い
柄は先ほどの弓と同じ白色、刀身には私の霊紋である花と蔦が刻まれており、霊力をこめると淡く光だす。
「綺麗…」
「…お前にぴったりだな」
彰人が弓に見惚れながらそう言ってくれた。
私もその美しさ、神秘的な姿に思わず声をもらしてしまった。
「では、次の人」
先生の声で我に戻り、急いで弓に戻して元いた場所へと戻った。
◇
武器配布が終わると生徒たちはそれぞれの武器を見せ合い、体育館は再びざわめき始めた。私も弓の形に戻った
「天華ぁ!すっごい武器もらったね!」
興奮気味に美月が駆け寄って来た。彼女の手には三日月の装飾がしてある美しい杖が握られている。
「美月こそ、綺麗な武器だね。なんか神秘的」
「えへへ、ありがとう!天華のもすごいって、だって剣にもなるんでしょ?」
私は美月の言葉に頷いた。霊力をこめると形が変わるなんて想像もしていなかった事だ。
「うん。でも…ちゃんと使いこなせるかな」
「天華なら大丈夫だって。心配するなよ冷静で戦い方も上手いし…それに、霊力も多いからな」
彰人が隣から話しかけてきた。私は彼の言葉や美月の笑顔に自信を取り戻してきた。
「うん、そうだよね。私ちゃんと戦えるように練習頑張る!」
「おお、そうこなくちゃ!俺も、この剣で練習頑張る」
「うん、私も颯太君の戦いのサポート頑張るー!」
そう言って2人とも、もらった武器を大事そうに抱えた。
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